2020年度の防水材市場規模は、前年度比96.2%の7,966万㎡の見込
~安定推移してきた防水材市場も、新型コロナウイルスの影響で様々な変化が生じる見通し~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の防水材市場を調査し、防水材市場の概況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。
防水材市場規模推移・予測
1.市場概況
2019年度の防水材市場規模(施工面積ベース)は前年度比99.4%の8,282万6,000㎡と推計する。 2018年度は新築向け需要の安定推移や大型台風災害による補修・改修需要の増加で市場拡大が見られたが、それらが特需的な動きであったことから、2019年度は減少に転じている。
2.注目トピック
新型コロナウイルス感染拡大における防水材市場動向
2020年度における防水材市場動向について、新築向けに関しては既に着工し現場が稼働している案件に向けたものであるため、需要そのものが立ち消えてはいない。2020年の緊急事態宣言下における現場の一時停止やその後のスケジュール遅れ・変更の影響はあったものの、概ね予定通りの動きとなっている。
一方、改修向けにおいては、商談期間や施工期間が新築と比較して短期であるため、新型コロナウイルス感染拡大による計画の延期や中止の影響が多く見られた。特にマンション改修においては、管理組合や理事会の会合や打ち合わせができないために案件が進まないことのほか、改修の緊急性が低ければ、コロナ禍の動向等をみながら判断するというマインドが働き、当初の計画から延期や中止になるケースが増加している。ビルや工場などの非住宅建築物についても、企業の設備投資マインドの低下等を背景に、住宅向けと同様に改修計画の延期や中止が出ている。
3.将来展望
2020年度の防水材市場規模(施工面積ベース)は、前年度比96.2%の7,966万2,000㎡を見込む。
防水材市場の将来動向については、新築と改修では大きく様相が異なる。
新築向けについては、新型コロナウイルス感染拡大以前では都市部の再開発やインバウンド(訪日外国人客)需要による宿泊施設向けなどが需要を牽引していた。しかし、新型コロナウイルスにより、需要は一気に冷え込み新規需要の増加は期待しづらい状況であるほか、製造業についても工場など生産設備に対する設備投資マインドの低下も見られることから、新築向けの需要回復には時間を要すると予測する。
改修向けについては、改修計画があったとしても、コロナ禍のようなイレギュラーな事態が発生した際には計画の変更や延期など、フレキシブルに判断を下しやすいことから、短期的な観点では需要の減少は現れやすい。一方、長期的な観点では、建物の防水性能維持のためにいずれは改修を行う必要があり、また、改修を行わなければ建物の資産価値減少に繋がることから、改修は「必然の需要」という位置づけでもある。
2020年度は改修需要の落ち込みが見られるが、これは需要の喪失ではなく先送りの意味合いが強い。実際に、2020年度後半より防水材メーカーへの引き合い状況は回復傾向を見せていることから、新築向けと比較して需要の回復は早く、市場全体として新築向けの落ち込みを改修需要がカバーしていくと予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2020年10月~12月 2.調査対象: 防水材メーカー、防水材関連事業者、その他関連業界団体等 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話によるヒアリング、ならびに文献調査併用 |
<防水材市場とは> 本調査における防水材市場とは、建築物における降雨水を遮断し、漏水を防ぐことを目的とする工事に用いられる下記の工法・材料を対象とする。但し、土木専業メーカーの遮水シート、ケイ酸質系塗布浸透性防水材は含まない。 《アスファルト系防水材》・・・アスファルト・改質アスファルト(熱工法、常温工法、トーチ工法) 《シート防水材》・・・加硫ゴムシート、非加硫ゴムシート、塩ビシート、エチレン酢ビシート、ポリエチレンシート、ウレタンシート、TPE/TPO系シート 《塗膜防水材》・・・ウレタン、FRP、ポリマーセメント系(EVA/アクリル+セメント混和)、アクリル、その他樹脂・合成ゴム、ゴムアスファルト、外壁塗膜化粧防水材(アクリルゴム、1液性ウレタン) |
<市場に含まれる商品・サービス> アスファルト系防水材、シート防水材、塗膜防水材 |
出典資料について
資料名 | 2021年版 各種防水材市場の現状と有力メーカーの戦略 |
発刊日 | 2020年12月28日 |
体裁 | A4 275ページ |
定価 | 150,000円(税別) |
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