キリンビバレッジは、2020年の事業方針のビジョンを「CSVの実践を軸とした成長による利益創出」と掲げて活動してきた。CSV経営を活動の基盤とし、「健康」と「環境」領域に積極的に取り組んでいる。
戦略の幹は3つあり、『強固なブランド体系の構築』では、ブランドポートフォリオ戦略のさらなる強化に取り組み、「午後の紅茶」「生茶」に資源を集中する。また、「摂りすぎない健康(無糖・低糖)」、「プラスの健康」カテゴリーの拡売を行い、「iMUSE(イミューズ)」などに注力する。
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2つめは、『将来への種まき』として、健康チャレンジと海外チャレンジを挙げる。
3つめは、『事業基盤の強化』で、持続可能な物流体制の再構築とキリングループプラスチックポリシー「2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂に」の実現に向けた活動を推進している。
キリングループの独自素材「プラズマ乳酸菌」を使用した「iMUSE(イミューズ)」ブランドの飲料やサプリメントなど6品が、機能性表示食品で初めて“免疫機能”を含む表示で消費者庁に届出受理された。
そこでキリンビバレッジは、「キリン iMUSE レモン」、「キリン iMUSE 水」、「キリン iMUSE ヨーグルトテイスト」(各500mlPET)を11月24日から発売する。届出表示内容は、「本品には、プラズマ乳酸菌(L.lactis strain Plasma)が含まれます。プラズマ乳酸菌はpDC(プラズマサイトイド樹状細胞)に働きかけ、健康な人の免疫機能の維持に役立つことが報告されています」。機能性関与成分は「プラズマ乳酸菌」、1000億個/日。
2020年は新型コロナの影響で「免疫」への関心が高まり、乳酸菌の食品や飲料の市場が伸長している。「iMUSE」ブランドの飲料の売上も、1〜9月累計で前年比2倍以上となった。無糖の「iMUSE 水」はゴクゴク飲みやすく、ヘビーユーザーが多い。
キリングループは35年間にわたり免疫研究を続け、2012年には世界で初めて免疫細胞の司令塔とされる“プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)”を活性化できるプラズマ乳酸菌を発見した。今回、機能性表示食品になり、機能が自分向きかを確認できることで生活者への浸透が進むことが期待できる。人々の健康に貢献するという目標に向けて前進したといえるだろう。
〈レインフォレスト・アライアンス認証、ベトナムのコーヒー農園も〉 キリングループは、生産地の農家とともに、将来にわたり良質な原料を安定的に使用する取り組みとして、ベトナムのコーヒー農園のレインフォレスト・アライアンス認証取得を支援する活動を4月から本格化した。
キリングループは、2013年からスリランカの紅茶農園で同様の取り組みを継続し、2019年末時点で87の紅茶大農園が認証を取得した。これは、スリランカ全土の同認証を取得した紅茶大農園の約3割に相当する。2018年からは小農園の認証取得支援と紅茶農園の中の水源地保全活動も開始した。2025年末までに1万超の小農園がレインフォレスト・アライアンス認証を取得予定だ。
今年から本格的に取り組むベトナムは、世界第2位のコーヒー豆生産国。2019年キリングループが輸入したコーヒー豆の約3割がベトナム産で、キリンビバレッジが販売するコーヒーブランド「キリンファイア」などに使用された。
ベトナムのコーヒー農園の大半は小農園で、適切な教育機会がないために収量の減少が見舞われたり、不適切な化学肥料の使用などを行う農家も存在する。
キリンは、認証取得支援のトレーニングを通じて、現地の農家が農業に関する多様な知識を習得し、より合理的な天然資源使用と気候変動などの環境変化にも柔軟に対応できる体制をつくり、生産コストを下げながらコーヒーの品質向上を図れるように支援する。
まず、400軒の小農園農家を対象に支援を開始し、将来的には、コーヒー農園のある地域の水リスクに関する支援にも広げる考えだ。
〈食品産業新聞 2020年11月5日付より〉