矢野経済研究所
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国内バイオプラスチック市場もいよいよ本格成長期に

~旺盛な世界需要と法規制を背景にブランドオーナーの採用相次ぐ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のバイオプラスチック市場の調査を実施し、市場動向や将来展望を明らかにした。

バイオプラスチックの国内市場規模推移

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1.市場概況

 2019年の国内バイオプラスチック市場規模(国内出荷量ベース)は5万9,865t(前年比14.2%増)と2013年(前年比25.9%増)以来の高い伸び率となった。
市場は、2018年から再び活気を取り戻しているが、2018年は記録的猛暑の影響から、清涼飲料水の需要拡大に比例したバイオPET(ポリエチレンテレフタレート)の伸びが全体を底上げした形であり、実際には新規採用が滞っている状況を抜け出せていなかった。

 しかし、2019年は海洋プラスチックのごみ問題が契機となり消費者の関心高まる中、国の施策を背景に企業の環境意識も向上した。市場において採用機運が醸成されてきたことや、数年前から欧州を中心に使い捨て容器包装に生分解性プラスチックを採用する動きが活発化していた流れがようやく日本市場にも波及してきたことなどにより、本格的な成長を遂げたと言える。

2.注目トピック

バイオPEの採用急増

 2019年のバイオプラスチック市場を活性化させた主役はバイオPE(ポリエチレン)と言える。大口ブランドオーナーによる新規採用の一巡に伴い2015~18年までは伸び悩んでいたが、今では市場に登場した頃の勢いを取り戻している。
最大の要因は、2019年に「プラスチック資源循環戦略」が策定され、使い捨てプラスチック削減を進める第一歩として、レジ袋の使用を規制する方針が示されたことにある。これをきっかけにスーパー・GMS(総合スーパー)だけでなく、これまで慎重な姿勢を見せていたコンビニエンスストアやドラッグストア、百貨店などの業界も、レジ袋の素材としてバイオPEを積極的に採用するようになった。更に2019年12月には、2020年7月からの有料化が決定し、その中でバイオマスプラスチックを25%以上配合したレジ袋が規制の対象外になったことが採用に拍車を掛けている。

3.将来展望

 2020年に入っても需要拡大の勢いは更に加速しており、2020年の国内バイオプラスチック市場規模(国内出荷量ベース)は7万2,185t、前年比20.6%増が見込まれる。新型コロナウイルス感染症の影響から一部のブランドオーナーでは採用スケジュールに遅れを生じているものの、それを感じさせない勢いで推移している。
2020年以降も国内バイオプラスチック市場は更なる成長が見込まれるが、法規制次第では市場はこれまでにない成長曲線を描くと考えられる。レジ袋有料化に次ぐ法規制が、いつ、どのような内容で実施されるのかが注目される。

調査要綱

1.調査期間: 2020年4月~9月
2.調査対象: バイオプラスチック原料メーカー、その他関連メーカー、エンドユーザー企業
3.調査方法: 当社専門研究員による面接取材、電話によるヒアリング、および郵送アンケート併用
<バイオプラスチック市場とは>
 バイオプラスチックとは、使い終わったら水と二酸化炭素に還る「生分解性プラスチック」と原料に植物など再生可能な有機資源を含む「バイオマスプラスチック」の総称であり、本調査においても、この2つの環境調和型のプラスチックを対象としている。なお、市場規模にはバイオPE製輸入レジ袋を含む。
<市場に含まれる商品・サービス>
ポリ乳酸、バイオPE、バイオPET、バイオPC、バイオPA、バイオポリウレタン、バイオPBS他

出典資料について

資料名2020年版 バイオプラスチックの市場動向と需要実態
発刊日2020年09月29日
体裁A4 357ページ
定価150,000円(税別)

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