矢野経済研究所
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デジタル化の加速と新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、2020年度は印刷需要の低迷が深刻化する見込

~印刷需要が本格的に縮小する中、抜本的な構造改革待ったなし~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は国内の一般印刷市場の調査を実施し、印刷分野別の市場動向や将来展望を明らかにした。

国内一般印刷市場規模推移と予測

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1.市場概況

 2018年度の国内一般印刷市場規模は、事業者売上高ベースで3兆4,531億9,900万円、前年度比1.2%減となった。ビジネスフォーム印刷分野におけるDPS(データプリントサービス)※やBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の減少幅が小さくなったことに加え、証券市況の活況が続いたことでディスクロージャー関連の需要も更に拡大したものの、出版印刷が引き続き減少、また商業印刷も印刷物の需要縮小が加速したことにより、減少推移となっている。

 一方、2019年度の同市場規模は、前年度比0.4%減の3兆4,390億9,100万円と減少推移が続くが、その減少幅は縮小している。
 分野別にみると、出版印刷や商業印刷は2018年度と同様の推移となったが、消費税率10%への引き上げに伴う政府の消費下支えのためのさまざまな施策により、キャッシュレス決済関連サービスやそれに係るICカード関連の需要が増加、またプレミアム商品券の需要も大幅に拡大した。加えて、ディスクロージャーサービスも引き続き好調に推移、ビジネスフォーム印刷分野では、BPO市場は減少しているものの、ビジネスフォームが横ばい、DPS市場は引き続き拡大している。これらのプラス要因が市場規模の減少幅を縮小させたと推測する。
※ 請求書や明細書等の通知物制作において、データ処理から印刷、封入封緘、発送(局出し)まで一連の作業を一括して請け負うサービスを指す。

2.注目トピック

新型コロナウイルス感染症拡大の影響について

 新型コロナウイルス感染症の拡大は、印刷産業においても大きな影響を及ぼしている。大手クラスの印刷企業においても、2020年4~5月は、単月売上高が30~50%減という企業が多い。
 各印刷分野によって受けたマイナス影響の大きさは異なるが、特に商業印刷分野については、その影響が大きく、外出が制限されている中で、販促需要は大幅に減少している。
商業印刷分野では、自宅にこもりがちにならざる得ない消費者の購買意欲を喚起すべく、個別にアプローチしやすいデジタルメディアが重宝されることで、販促施策のデジタル化が更に加速することも想定される。そのため、これを契機に印刷需要の減少がより一段と強まる可能性も出てきている。

3.将来展望

 2020年度の一般印刷市場は大幅な縮小が避けられない見込みである。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、印刷企業各社が見通しを立てられていない中、現時点では市場がどの程度の減少幅になるか、予測するのは難しい。
 最大マーケットである商業印刷分野が厳しい状況にあることを踏まえると、リーマンショック後と同等の減少幅(10%前後)が想定されるが、一方で、コロナ禍によって発生した需要もあることから、減少幅は若干小幅となる見通しで、2020年度の一般印刷市場(事業者売上高ベース)は前年度比7.1%減の3兆1,940億円を見込む。いずれにせよ、2020年度は印刷産業にとって、更に厳しさが増す1年になるだろう。

調査要綱

1.調査期間: 2020年6月~8月
2.調査対象: 印刷企業、及びその関連企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面接取材、及び電話取材、郵送アンケート調査併用
<一般印刷市場とは>
 本調査における一般印刷市場とは、出版印刷、商業印刷、証券関連・カード印刷、ビジネスフォーム印刷の4つの印刷分野を指す。印刷・加工高に加え、デジタルサービスや付帯サービスなどの関連サービス売上高も含み、ビジネスフォーム印刷にはDPS・BPO市場を含む。
<市場に含まれる商品・サービス>
出版印刷、商業印刷、証券関連・カード印刷、ビジネスフォーム印刷(DPSやBPOサービスを含む)

出典資料について

資料名2020年版 印刷企業の徹底分析
発刊日2020年08月27日
体裁A4 670ページ
定価150,000円(税別)

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