日本食肉流通センター 川崎卸売取引施設建て替え、高度な衛生管理できる新部分肉流通施設の着工へ
(画像=川崎センター 卸売取引施設A棟・B棟 建て替え外観図/日本食肉流通センター)

公益財団法人日本食肉流通センター(小林裕幸理事長)は、神奈川県川崎市の東扇島にある川崎センター敷地内で現在稼働している卸売取引施設A棟およびB棟施設の老朽化等に伴う建替えの計画を進めている。9月末に工事入札を実施したところ、鹿島建設(株)横浜支店が約50億円(税込)で落札し、同社と工事契約を締結し10月中旬に本工事に着手することになった。竣工は2022年2月末日、新棟開業は2022年4月1日を予定している。

日本食肉流通センターは1981年、増大が見込まれる部分肉について、多数の売買当事者に大量かつ品揃えされた部分肉の取引の場を提供するとともに、これらの売買当事者間の相対取引などにより部分肉の適正な部位別卸売価格の形成とその公表を行うことを目的として、川崎の東扇島に「部分肉センター」として開業した。

同時期に建設した卸売取引施設A棟およびB棟の2棟施設は、2020年で40年近く経過し、施設の老朽化が進行していること、HACCPに十分対応できない施設構造であることから、現在の大駐車場跡地に同施設の機能を有する新たな部分肉流通施設(以下「新棟」)を建設し、その後に同施設を解体撤去することにした。

新棟は一部4階建て、延床面積1万278平方メートル、1階は、A棟およびB棟の出店者などが物流・加工業務が行えるテナント施設合計22小間を配するほか、福利厚生施設として食堂(どん八)が現在の共同利用棟から移転する予定。3階には出店者が必要に応じて利用できる事務室・倉庫を備えるほか、センターの事務管理機能を現在の管理棟から移転する。

食肉の加工処理が行える加工エリアでは、加工室内は小間ごとに陽圧換気システムや結露防止機能を備えるほか、専用のサニタリー室を設け、腰壁は清掃しやすいステンレス仕様にするなど衛生管理レベルを上げる。また、入居者の要望に対応し、小間ごとに事務室・加工室・冷蔵庫・荷さばき室を一体化することにより、入居者が使いやすい構造とした。また、水平かつワンウェイ動線により原料の搬入から製品の製造・出荷を効率的に行うことができ、HACCPにも対応できるなど、人・物・空気の動線を十分考慮した施設構造とした。

一方、物流業務が行える物流エリアでは、省エネ設備や結露防止機能を備えた荷捌室・冷蔵庫・冷凍庫を一体化し、水平動線による効率的な荷物の保管や出し入れが行える施設構造とした。

さらに、新棟完成後は、一時的に駐車場が不足することから、少しでも駐車場を確保するため、現在の管理棟および共同利用棟の機能を新棟に移転した後、当該施設を解体撤去し、跡地を専用駐車場に整備する予定。合わせて、A棟およびB棟出店者が移転した後空き小間となった時点で2棟を順次解体撤去し、跡地を専用駐車場に整備する。

〈畜産日報2020年10月12日付〉