証券会社
(画像=moonrise/stock.adobe.com)

証券会社は大きく「店舗証券」と「ネット証券」に分類される。店舗型は店舗を有する証券会社で、ネット証券はインターネットでのサービス提供に力を入れている証券会社だ。店舗証券とネット証券のそれぞれの特徴やメリットについて解説する。

証券会社は2種類に分類される

従来、証券会社は基本的には各地に店舗を有し、対面で顧客対応をしていた。ただ2000年ごろからインターネットをフル活用した証券会社が日本国内でも登場するようになった。現在ではすでに多くのネット証券会社が国内に存在している。

店舗証券の概要は?

店舗を有している証券会社は一般的に、「店舗証券」「対面証券」「総合証券」などと呼ばれる。日本における「五大証券」といえば、「野村證券」「大和証券」「SMBC日興証券」「みずほ証券」「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」だ。

これらの証券会社もオンライン取引ツールを有しているので、「店舗証券=オンライン取引ツールを提供していない」というわけではなく、あくまで店舗も構えて顧客対応をしている証券会社だと理解しておこう。

ネット証券の概要は?

一方でネット証券は、主にインターネットでサービスを提供している証券会社のことだ。「オンライン証券」と呼ばれることもある。

日本国内における「五大ネット証券」は「SBI証券」「楽天証券」「マネックス証券」「松井証券」「auカブコム証券」で、これらのネット証券はオリコン顧客満足度調査でも毎年上位にランクインしている。

ネット証券会社としてはそのほかにも、「DMM.com証券」や「岡三オンライン証券」などがある。すべてのネット証券が店舗を全く構えていないというわけではなく、あくまでインターネット中心で事業を行っているということだ。

店舗証券とネット証券、手数料を比べてみると…

店舗証券とネット証券では事業スタイルの違いから、手数料やメリット・デメリットなどが異なる。

国内株式の現物取引手数料を比べてみると、店舗証券よりもネット証券の方が圧倒的に安い。それは当然であると言える。店舗を構えているということは土地・建物に関する費用がかかるほか、窓口対応などで人手も多くかかるからだ。

試しに大手証券会社の野村證券と大手ネット証券会社のSBI証券の取引手数料を比較してみると、以下のようになる。

<野村證券/店頭・電話での手数料(税込)>※国内株式・現物取引
〜20万円 2,860円
〜50万円 1.4300%
〜70万円 1.1000%+1,650円
〜100万円 0.9460% + 2,728円
〜300万円 0.8800% + 3,388円
〜500万円 0.8470% + 4,378円
〜1,000万円 0.7040% + 11,528円
〜3,000万円 0.5720% + 24,728円

<SBI証券/ネット取引での手数料(税込)>※国内株式・現物取引
〜5万円 55円
〜10万円 99円
〜20万円 115円
〜50万円 275円
〜100万円 535円
〜150万円 640円
〜3,000万円まで 1,013円

例えば「〜20万円」で比較すると、野村證券は2,860円だがSBI証券ではわずか115円と、20分の1以下となっている。このように、店舗証券とネット証券では手数料の差は非常に大きい。

店舗証券とネット証券、メリットやデメリットを比べてみると…

ただ、手数料の差だけで店舗証券とネット証券の優劣を判断するのは早計だ。店舗証券には手数料以外でメリットもある。それぞれのメリットとデメリットを挙げていこう。

店舗証券のメリット・デメリット

店舗証券のメリットは、営業担当者がつき、対面や電話で丁寧に対応してくれる点であると言える。口座開設の方法などだけではなく、資産運用する際の金融商品の選び方やリスクヘッジなどの相談にも乗ってくれる。コンサルティング的なサービスも受けられるわけだ。

一方で一番のデメリットはやはり手数料が高いことであると言えよう。日本国内では少子高齢化がさらに進むことで一層人件費が高くなっていくことが考えられる。そのため、今後も手数料はネット証券に比べて高い状態が続くことも考えられる。

ネット証券のメリット・デメリット

手数料という面では、先ほど説明したようにネット証券側に分があり、メリットであると言える。また、インターネットで申し込みや取引も完結できることから、忙しい人でも時間を見つけて資産運用に取り組みやすいという点も魅力だ。

一方でネット証券の場合、基本的には顧客1人1人に営業担当者がつくわけではないため、必要な情報は自らで探す手間が多くかかる。電話対応などで分からないことは質問できるが、投資のアドバイスを受けたい場合は店舗型に分があると言える。

店舗証券、ネット証券、どちらを選ぶ?

これから新たに株式や投資信託で資産運用を始めようとする場合、最初に店舗証券かネット証券のどちらかに口座を開くことになる。こうした手数料やメリット・デメリットに関する違いを理解した上で、自分に合った方を選ぶようにしたい。

近年はネット証券の手数料の値下げ競争も過熱しており、手数料で選ぶならネット証券一択だろう。一方、信頼感やサポートを重視するなら店舗証券で株取引をしていくのもありだ。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

無料会員登録はこちら