15分で儲かる会社に変わる! ~ぐるぐるフセン会議の魔法~
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(本記事は、牧野 剛氏の著書『15分で儲かる会社に変わる! ~ぐるぐるフセン会議の魔法~』=ぱる出版、2020年8月24日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

「まず『粗利』の理解、それから実践」が鉄則

「ぐるぐるフセン会議」を成功させるために、ぜひお伝えしておきたいことがあります。それは「なぜ会社は粗利総額アップにこだわるべきなのか」を、まずは社長自身が完全に理解しておくこと、そして社員みんなに心から納得してもらうことです。

多少時間がかかっても、ここはしっかりと腰を据えて取り組んでいただきたいのです。というのもこの段階を飛ばしてしまうと、とたんに社員の心が離れてしまうからです。

今はもう、かつてのように「理屈はともかく、みんなで会社のために頑張ってくれ」が通用する時代ではありません。「会社の粗利総額を増やすことで、どう自分が幸せになるのか」というイメージがリアルに想像できないと社員はついてきてくれないのです。社員全員が、「粗利総額アップが自分の幸せに関係してくる」とイメージできていない状態で社長がいくら頑張っても、会社改善の効果は出ず、かえって孤立無援の状況に陥ってしまうことさえあり得ます。

というのも、これは、私自身が過去に経験したことだからです。

かつての私は、この「粗利総額の大切さを社員に共有してもらう」ことの重要さに気づいていませんでした。当時は、社長と社員がビジョンを共有することの大切さを知らなかったためです。基本を固めずに成果を急いだ結果、社員のなかに「どうして社長は、そんなに粗利にこだわるのか。これまでどおりではいけないのか」と反発が生まれました。

社員の反発を受け、当時の私は「いったいどうすれば、みんなは会社を良くするために協力してくれるのだろう」と悩みました。そして試行錯誤を繰り返した結果、たどり着いたのが、まずは自分自身が「粗利」の持つ意味を見つめ直すことでした。それは「粗利総額を増やすことが、関わった人全員の幸せを増やす」ということです。

そして自分自身がしっかりと粗利の価値を理解したあとで、自分のなかでまとめた考え方を社員にもわかりやすいよう流れに沿って整理して話をしました。すべての社員に問題意識を共有してもらうために、きちんと内容が伝わるように工夫をしたのです。私自身が意識を変え、粗利総額を増やすことがみんなを幸せにする、という信念を持って話をしました。

まとめた内容を社員にていねいに伝えると、前回とは異なり、今度は社員たちは驚くほど前向きに受け入れてくれました。「粗利」の価値を自分たちのものにした社員たちは、自発的にイキイキと働くようになり、粗利総額も目に見えてぐんぐんと上がっていったのです。〝急がば回れ〟とは、まさにこのことでした。

今ではもう、取引先との交渉から収益アップの施策立案、実行まで、安心して社員たちの自主性に任せられるようになりました。

社内一丸となって良い会社に生まれ変わるには、まず社長自身が基盤をしっかりと固めておく必要があります。少しでも早く「ぐるぐるフセン会議」を始めたいと思う方もいらっしゃるでしょうが、ここは逸(はや)る気持ちをぐっと抑え、結果をきちんと出すためにも、まずは粗利総額アップについての理解を深めていただきたいのです。

15分で儲かる会社に変わる! ~ぐるぐるフセン会議の魔法~
牧野 剛(まきの つよし)
1961年、静岡県生まれ。静岡大学卒。1989年に社会保険労務士の資格を取得。2007年に社会保険労務士法人ロームを設立。同社は静岡でナンバー1の社労士事務所であり、全国でも20番目の規模。モットーは「地域に密着した中小企業支援で日本を元気にしたい」。社会保険労務士としての業務以外に、企業の研修講師なども行っており、これまでに1000社以上の人材教育に関わる。特に人材育成に悩んでいる中小企業の経営者が多いことから、「できました」教育のメソッドを開発。多くの経営者の悩みを解決してきた。現在601社の顧問先の労務管理に従事。顧問先のリフォーム会社の役員になり、1年で赤字から黒字にV字回復させた実績も持つ。「経営」がわかる労務士。

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