【コラム】事業再開への準備を
(画像=【コラム】事業再開への準備を)

(渡辺林治 リンジーアドバイス代表)

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、国民の外出自粛を求める非常事態宣言が5月末まで延長されることになりました。百貨店の皆様におかれましては、休業や営業縮小などを余儀なくされ、本当に大変なことだと存じます。また、ウェブサイトを活用した北海道物産展の開催など、取引先を守ろうとする取り組みには敬意を表したいと思います。

表1
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みなさまのご尽力のおかげもあり、感染拡大は沈静化に向かっているようです(図表)。5日前と比べての感染者の増加率は、4月初旬に80%近くまで上昇しました。どこまで感染が広がるのか、皆さんも心配されたことでしょう。しかし、うがいとマスクの励行、1~2m間隔を空けて行動するソーシャルディスタンシング、ビジネス抑制などの対策が取られ、この結果、5月10日には増加率が3%台にまで低下したのです。

この鈍化ペースだと、間もなく非常事態宣言は解除されるでしょう。事業再開の機運が高まります。再開のタイミングや内容も、地域によって異なりそうです。消費者の行動変化についても情報を集めましょう。衛生面の確保、テレワークを併用しながら、効率的なシフト、ローコスト運営など、事業再開への準備が必要です。

政府は、新しい生活様式を公表しました。買い物に当たっては、通販の利用、電子決済の推進、短い時間、予約、一人か少人数で、展示品は触らないことなどが推奨されました。政府から助成金や支援が出る可能性も考えられるので、情報を集めましょう。

ストレス対策には、人と人との心のつながりが大切になっています。大切な方へのギフトは、百貨店のお家芸です。工夫したビジネスに期待が高まります。

さて、株式市場です。日経平均株価は4月1日の1万8065円から、30日には2万193円へと回復しました。世界的に感染拡大が収まってきたことが背景の一つです。加えて、日本、アメリカ、ヨーロッパの中央銀行が、一致団結して、大量に資金を供給。これによって、投資家が安心しました。

最後に今後の株価展開を考えてみましょう。日本株は再び売られる展開が懸念されます。1万6690円からの回復は、統計学的に、2万500円~2万1500円前後まででいったん収まりやすいと思われます。そして再下落が始まると、6月~8月にかけて日経平均株価は、1万8000円台~1万4000円台以下へ弱含むかもしれません。いずれにしても、短期的な値動きに一喜一憂することなく、事業再開に向け、準備を進めることが大切です。

(5月10日時点)

月刊ストアーズレポート連載中「奴雁」より