矢野経済研究所
(画像=PIXTA)

2019年度のドライコーティング受託加工市場規模は、前年度比2.9%増の343億円の見込

~ユーザ企業のニーズに応え、受託加工メーカーの膜種開発による用途の拡大が続く~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のドライコーティング受託加工市場を調査し、市場規模推移・予測、膜種別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

ドライコーティング国内受託加工市場規模推移・予測

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1.市場概況

ドライコーティングとは、主に金属基材の表面に耐摩耗性やそのほかのトライポロジー性といった高機能特性を付与するための薄膜加工である。本調査では、金属基材を対象とした、CVD、PVD、DLCの3つの皮膜による国内の受託加工市場規模を算出した。2018年度のドライコーティングの受託加工実績は333億3,000万円であった。
膜の種類別で比較してみると、CVDコーティングのみほぼ横ばいで、PVDコーティングとDLCコーティングは伸長している。CVDコーティングは金型分野における信頼性が高いものの、ハンドリングの難しさなどから新たな市場参入はない。一方、PVDコーティングとDLCコーティングについては、ユーザ企業のニーズに応え、受託加工メーカーが膜種開発による用途の拡大が続いている。

2.注目トピック

需要分野別では金型分野がトップ

2018年度のドライコーティング国内受託加工市場を需要分野別にみると、金型分野が40.6%でトップであり、次いで切削工具で26.3%、以下自動車部品20.7%、機械部品8.3%、その他4.1%となっている。
なお、DLCコーティングのみでみると自動車部品が需要分野の半数以上を占めるなど、膜の種類によって様相が異なる。

3.将来展望

2022年度のドライコーティング国内受託加工市場規模を434億8,000万円と予測※する。新型コロナウィルスの影響は中国や世界経済へ大きな影響を及ぼしており、日本国内の製造業の業績も下方修正される見通しである。
一方で、中期的に今後のものづくりを考えると、金属基材に高機能特性を付与するドライコーティング加工のニーズは各需要分野ともに高く、コーティング受託加工メーカーの事業経営を成り立たせるためにも、上記の成長性が求められていくと予測する。

※予測値には、新型コロナウイルスの影響を考慮していない。