矢野経済研究所
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2020年第1四半期の住宅リフォーム市場規模は約1.3兆円と前年同期比4.8%増の底堅い需要

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、住宅リフォーム市場の短期的な市場トレンド調査を実施し、2020年第1四半期及び2019年度の市場規模(速報値)を公表する。

図1. 住宅リフォーム市場の四半期別の市場トレンド推移

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1.市場概況

2020年第1四半期(1~3月)の住宅リフォーム市場規模は1兆3,329億円(速報値)、前年同期比で4.8%増と推計する。消費税増税の特例措置による大型リフォームの駆け込み需要のあった前年同期よりも上回る結果となった。

消費税増税後の反動減、新型コロナウイルス感染症の影響で中国に生産拠点のある日本の住宅設備機器メーカーの一部製品に納品遅れの発生、日本国内での新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う需要の低迷、といったマイナス要因があったが、底堅い需要がみてとれた。

2.注目トピック

2019年度の住宅リフォーム市場は 6.6兆円 前年度比4.3%増

住宅リフォーム市場規模を年度ベースで算出すると、2019年度(2019年4月~2020年3月)は、6兆5,565億円(速報値)、前年度比で4.3%増と推計する。上期(4-9月)は、夏場に消費税増税前の駆け込み需要があり前年度同期比9.4%増となったが、下期(10-3月)は同0.7%減と反動減は軽微にとどまった。

一方、2020年度はスタート時の4月から緊急事態宣言が発出され、対面での営業活動ができないなどの制限があるなか、不要不急の外出だけではなく、概して一般消費者においては消費活動を控える傾向にあり、2020年度は大幅な市場規模の縮小という局面になる可能性が高いものとみる。

2020年度の見通しについては、リーマンショック時と同等、もしくはそれ以上の影響を想定すると、5.5~6.0兆円になるものと予測する。

3.将来展望

2020年の市況は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が今後徐々に大きく浸透していくものと考える。

家計の収入減による住宅リフォーム投資の減少や外出自粛、及び営業活動等の接触機会の減少といったマイナス要因は夏ごろまで続くものと考える。

その一方で、在宅時間が長くなることによる「新しい生活様式」や在宅勤務の拡大等による「働き方の多様化」に対応するための新しいリフォームや新生活スタイルの提案をすることで、従来の水回り中心のリフォームではない新たなリフォーム需要を引き出す大きな契機でもあるとみる。

家事支援家電の活用を想定したリフォームや家庭内個人のプライベート空間確保のためのリフォームなど、新しい生活様式に向けた需要を想起、定着させるなど、将来的なリフォーム市場の成長に繋げるタイミングとなる可能性がある。