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2025年7月のNFT市場は、6月の調整局面から一転し、力強い回復を見せました。月間取引高は約5億8,500万ドルに達し、前月比でおよそ50%の大幅な増加を記録しています。暗号資産市場全体の好転とリスクオンの雰囲気が、NFT市場にも資金を呼び込む結果となったのです。
市場の主役も一ヶ月で大きく変わりしました。6月はゲーム関連NFTが市場を席巻しましたが、7月は再びイーサリアム基盤のブルーチップNFTへと注目が集まる形に。一部のウォレットによる「CryptoPunks」の大量購入が引き金となり、PFP全体のフロアプライスが上昇しました。市場が再び高額なアセットに注目し始めたことが、数字の上で明確に表れた一ヶ月だったと言えるでしょう。
本レポートでは、NFT市場の全体動向と内部の構造変化を、チェーン別・マーケットプレイス別・主要コレクション別に分解し、国内の動きも交えながら多角的に整理していきます。
市場概要
2025年7月のNFT市場は、6月の調整局面から一転して力強い回復を見せました。CryptoSlamのデータによれば、7月の月間総取引高は約5億8,500万ドルに達し、前月比で約50%の大幅増を記録したのです。

特筆すべきは、取引件数が約528万件へと微減する中、平均取引額が前月の約68ドルから約111ドルへと大幅に上昇した点です。市場の回復が高額アセットの取引によって牽引されたことが分かります。
この動きは市場参加者の構成にも表れています。購入者数は約74万人へと減少した一方、売却者数は約42万人へと増加しました。取引高が回復する中でも参加者層の拡大には至っておらず、一部のコレクターによる高額取引が市場を押し上げた構図がうかがえます。
また、6月に市場を席巻したゲーム関連NFTに代わり、7月はCryptoPunksを筆頭とするイーサリアム基盤のブルーチップNFTが取引高上位に復帰しました。市場の関心が再び高額なPFPコレクションへと回帰したことが、平均取引額を押し上げる主な要因と言えるでしょう。
チェーン別動向
7月のチェーン別動向は、市場の主役が再びイーサリアムへと劇的に回帰したことが最大の特徴です。取引高は2.86億ドル(前月比+168%)へと急回復し、市場シェア48%以上を占める圧倒的な首位に返り咲きました。

背景には、PFP系コレクションの取引高が軒並み上昇したことが挙げられます。6月はCryptoPunksのみが上位に留まっていた状況から一変し、7月はPudgy PenguinsやBAYCなど複数のコレクションが取引高を急増させたことがあります。ブルーチップNFT全体への資金流入が、イーサリアムの復活を支えました
一方で、6月に首位を記録したゲーム特化型チェーン「Immutable」は、前月の熱狂が落ち着き取引高が82%減と急落しました。ビットコインは複数のコレクションが安定した需要に支えられ2位に浮上。PolygonはRWA系プロジェクトが好調だったものの、他に市場を牽引する大型プロジェクトを欠き、イーサリアムへ向かった資金の受け皿になれませんでした。
ユーザー数の面では、レイヤー2のBaseが30.6万人で首位を維持しました。
Coinbaseは7月17日に決済やソーシャル機能を持つ統合アプリ「Base App」を発表。
SNS感覚でトークン発行や取引ができる環境を整え、ユーザー基盤を固めています。

さらに現代アーティスト村上隆氏による、デジタルトレカパックのローンチ発表も話題になりました。
🌸 108 Flowers Revised is joining Onchain Summer on @base
— Murakami.Flowers Official (@MFTMKKUS) July 24, 2025
Takashi Murakami’s iconic trading cards return — now as digital collectibles you can mint directly inside the new @baseapp.
💳 Pay with credit card or 0.0014 ETH per pack
📦 Packs open instantly
📱 No wallet or crypto… pic.twitter.com/XZm4eN4IZd
マーケットプレイス別動向
7月のNFT市場の回復は、マーケットプレイス間の競争環境に著しい変化をもたらしました。これまでOpenSeaが独走していた取引高において、Blurがイーサリアム市場の回復を追い風に急追し、両者の差が大幅に縮まった点が今月のハイライトです。

首位のOpenSeaは、取引高こそ約1.7億ドルへと112%超の成長を見せたものの、Blurの猛追により市場シェアは約40%から約33%へ低下しました。しかし、ユーザー数では36.5万人(シェア約71%)と依然として他を圧倒しており、特にBaseチェーンのユーザーの97%以上がOpenSeaを利用するなど、幅広い層への影響力は健在です。

取引高3位のMagic Edenは、SolanaとBitcoinで高いシェアを維持しつつ、イーサリアムでも存在感を増し、取引高を約8,270万ドルに伸ばしました。また、プラットフォームとしての収益面では130万ドルでトップに立っており、ビジネスモデルの健全性を示しています。
主要NFTコレクションの動向
7月のコレクション動向は、6月とは対照的に、イーサリウム基盤のブルーチップNFTが力強く復調した一ヶ月でした。その象徴となったのがCryptoPunksで、取引高は約6,284万ドルと前月の5倍以上に急増し、首位に返り咲きました。

7月21日には単体のアドレスが45体のCryptoPunksを購入したことで大きな話題となり、それが市場の起爆剤となり、PFP全体の地合いを好転させた模様です。
Someone just swept 45 CryptoPunks for $7,833,185 USD (2081 ETH)!
— VanGoya (@vangoyaa) July 20, 2025
NFTs will skyrocket!
This person has bought 105 Punks over the past 2 years. pic.twitter.com/lJ2Ra3DPWq
Morning vibes 🚀
— Wise InvestorX 💼🧸 (@Wiseinvestorx) July 26, 2025
The NFT market just sent a strong signal CryptoPunks floor is now above 50 ETH, and over $3.9M was dropped on Hoodie Punks in a single sweep. Absolute madness 😮💨
Quietly eyeing @MeebitsNFTs today… they’ve been sleeping giants for too long.
Are we seeing the… pic.twitter.com/80UcT0vA9e
そして、この動きは他のコレクションにも波及し、Pudgy Penguinsが約2,679万ドルで3位、BAYCが約1,798万ドルで6位にランクインするなど、主要PFPが軒並み取引高を伸ばしています。RWA系の「Courtyard」も前月比で26%ほどの減少を記録したものの、約5,327万ドルと高い水準を維持し、2位につけています。
一方で、6月に市場を席巻したゲーム関連NFTは大きく順位を落としました。前月首位だった「Guild of Guardians Heroes」の取引高は約1,352万ドルへと85%近く減少し、7位に後退しています。
国内のNFT市場動向
7月の国内NFT市場では、ランキング上位の顔ぶれに変化が見られました。
「Moriusa」は取引高95.7ETHで首位を維持したものの、6月の156.8ETHからさらに数値を落としており、ブームの落ち着きがうかがえます。これまで上位を維持してきた「Murakami.Flowers Official」や「CNP」も取引が低調な一方、「Skeleton Amulet Partners」といった新たなプロジェクトが上位に登場しました。

ランキング上位の取引が落ち着きを見せる一方、NFTを社会実装する継続的な動きが7月の国内市場を特徴づけました。旅行会社JTBが「推し活×観光」の共同研究を開始したほか、神奈川県や日本郵便によるNFTスタンプラリーも開催。
大阪・関西万博では、HashPortが万博ミャクミャクとの撮影券をNFT(SBT)として配布するなど、様々な活用事例が引き続き注目を集めました。
主要IPの取引が落ち着きを見せる一方で、実用的な活用事例が着実に根付いていることから、国内市場が投機から社会実装へと、関心の中心を移しつつあることが示唆されています。
2025年7月のNFTニュース5選
ここでは、2025年7月に話題になったNFT系ニュースの中から、特にインパクトのあったものを5つに厳選してご紹介します。
1. 人気BCG「TOKYO BEAST」がサービス終了 2. Azuki、米国にアニメスタジオ「Studio Azuki」を設立 3. Pudgy Penguins、NTTドドコモのメタバース「MetaMe」と提携 4. スヌープ・ドッグのNFT、約100万点が30分で完売 5. RWA特化のレンディングサービス「HARVEST FLOW」がローンチ |
各ニュースの概要を見ていきましょう。
人気BCG「TOKYO BEAST」がサービス終了

7月22日、初日に30万ダウンロードを記録するなど大きな期待を集めていたブロックチェーンゲーム「TOKYO BEAST」が、リリースからわずか76日でサービス終了を発表しました。
運営は理由を「運用コストとのバランスが困難になった」と説明。ゲームは終了しますが、基軸トークン「TGT」や運営母体は活動を継続し、すでに次期タイトルの開発も進行中としています。
本タイトルのサービス終了は、BCGの収益性とゲーム性を両立させることの難しさを改めて浮き彫りにする出来事となりました。
詳しくはこちら▼
【TOKYO BEAST終了】背景と補填内容を解説&税金周りを専門家に聞いてみた
Azuki、米国にアニメスタジオ「Studio Azuki」を設立

人気NFTプロジェクト「Azuki」は7月2日、日本のアニメ制作会社コミスマ、ゼノトゥーンの2社と共同で、ロサンゼルスを拠点とするアニメスタジオ「Studio Azuki」の設立を発表しました。
さらに、ウィル・スミス氏率いるメディア企業Westbrookとも戦略的パートナーシップを締結。
Azukiは以前から「Anime 2.0」という構想を掲げており、今回のスタジオ設立は、NFT発のIPがアニメという巨大市場へ本格的に参入し、Web3の枠を超えてグローバルなエンターテイメントブランドを目指すという意志を明確に示したものと言えるでしょう。
詳しくはこちら▼
Azukiがコミスマ、ゼノトゥーンと共同で米国アニメスタジオ「Studio Azuki」の設立に合意
Pudgy Penguins、NTTドドコモのメタバース「MetaMe」と提携

世界的な人気を誇るNFT発のIPブランド「Pudgy Penguins」が、NTTドコモのメタバース「MetaMe」と戦略的パートナーシップを締結したことが7月3日に発表されました。
この提携により、MetaMe内でのゲームコラボや、ファン参加型のアニメ制作プロジェクト「アニメDAO」との連携などが計画されており、Pudgy Penguinsの日本市場におけるIP展開が本格化します。
海外の有力なNFTブランドが日本の大手通信キャリアと手を組むという今回の動きは、Web3と既存大手企業の連携が新たな段階に入ったことを示す事例として注目されます。
詳しくはこちら▼
「MetaMe」とNFT発のIPブランド「PudgyPenguins」の間で戦略的パートナーシップの基本合意書を締結
スヌープ・ドッグのNFT、約100万点が30分で完売

アメリカの人気ラッパー、スヌープ・ドッグ氏が7月9日、メッセージアプリTelegram上で約100万点のNFTコレクションを発売し、わずか30分で完売しました。
売上は合計1,200万ドルに達し、TONブロックチェーンを基盤としたこのコレクションは、Telegram独自のデジタルギフト形式で提供されました。
低迷が指摘されていたNFT市場において、著名人の影響力と大規模なプラットフォームを組み合わせることで、依然として巨大な需要を生み出せることを証明し、「NFTは終わった」との悲観論に一石を投じる明るいニュースとなりました。
詳しくはこちら▼
スヌープ・ドッグのNFTコレクション約100万点が即完、売上は1,200万ドルに
RWA特化のレンディングサービス「HARVEST FLOW」がローンチ

7月28日、Web3発プロダクションカンパニーのApas Portが、RWA特化型チェーンのPlume上でレンディングサービス「HARVEST FLOW」をローンチしたことを発表しました。
本サービスは、暗号資産を現実世界の事業者へ貸し出し、社会貢献しつつ収益を得る仕組みで、初回は東南アジアのトゥクトゥク事業者を支援するとのこと。
支援者には貸付の証明としてアーティストと協業したNFTが発行され、利息の受け取り等にも利用されます。金融とNFTを結びつけたRWAの新たな事例として注目されます。
詳しくはこちら▼
HARVEST FLOW、Plume Network上にRWAモビリティ向け新ローンプールを開設——初回は東南アジアのトゥクトゥク
まとめ
2025年7月のNFT市場は、月間取引高が約5.85億ドルへと急回復し、6月の調整局面から力強く反発しました。
今月の主役は、6月のゲームNFTからイーサリウム基盤のブルーチップPFPへと劇的に回帰しました。「CryptoPunks」の大量購入が引き金となり、市場の関心は再び高額なコレクションへと向かっています。このイーサリアムの復調はマーケットプレイスの勢力図にも影響を与え、Blurが取引高を急増させてOpenSeaを猛追する展開となりました。
国内市場では、海外のような投機的な盛り上がりとは対照的に、主要IPの取引は落ち着きを見せ、NFTを地域活性化やイベントで活用する「社会実装」の流れが着実に進んでいます。
7月の市場を総括すると、グローバルでは投機的な需要がブルーチップNFTを再び主役へと押し上げた一方で、国内では社会実装を目指す実用的なプロジェクトが着実に根付くという対照的な動きが見られました。この両者の動向が、今後のNFT市場の多面的な成長を示唆していると言えるでしょう。
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