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前編 では、株式会社GALLUSYSの取締役である大塚 敏之さんから、SNPITの概要や開発のきっかけについてお伺いしました。この中で出たキーワードが、「写真のデータベース」です。
後編では、この写真のデータベース化を目指す「ワールドリポジトリー」という構想を中心として深堀りします。生成AIが台頭する中での価値の見つけ方やH.I.S.との共創についてお聞きし、SNPITが目指す中長期的なビジョンを語っていただきました。
大塚 敏之(おおつか としゆき)株式会社GALLUSYS 取締役。 大阪府出身。アパレルやコンサルの業界を経て、新規事業の立ち上げに挑戦したキャリアを持つ。その過程でブロックチェーンの将来性に着目 その後は上場企業であるギグワークスに参画し、子会社としてGALLUSYSの設立に携わった。近年では、スマホカメラを活用したSnap to Earnゲーム「SNPIT」の普及に向けて尽力している。 |
小林 憲人(こばやし けんと) 株式会社NFTMedia 代表取締役 2006年より会社経営。エンジェル投資を行いながら新規事業開発を行う株式会社トレジャーコンテンツを創業。2021年にNFT Mediaを新規事業として立ち上げる。「NFTビジネス活用事例100連発」著者。ジュンク堂池袋本店社会・ビジネス書週間ランキング1位獲得。 |
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目次
SNPITが目指す「ワールドリポジトリー」とは

小林: 前編では、写真を活用したバトルについて伺いました。その中で、「写真のデータベース」を構築するというお話もありましたね。
このSNPITの構想について、詳しく教えてください。
大塚: 我々の最終的なゴールとして目指しているのが、「ワールドリポジトリー」です。ありのままの世界をデジタル空間に保存していくという壮大なプロジェクトです。
このプロジェクトの第一歩として、人(カメラマン)と写真データを集めるために「SNPIT」を世に送り出しました。
小林: ワールドリポジトリー構想の足がかりとして、SNPITが位置づけられているのですね。
大塚: その通りです。SNPITでは1日に3〜4万枚の写真が、世界中から絶え間なく集まり続けています。これらの写真には、いつ、どこで撮られたかというタイムスタンプが刻印されており、改ざんできません。
これにより、世界で唯一無二の写真データベースが日々、自動的に構築されているのです。
小林: 非常に面白い構想ですね。
近年、AIによる画像生成技術が急速に進化しています。その中で、なぜ人間が撮影した「本物の写真」を収集しているのでしょうか。
大塚: これからAIがさらに進化すると、ネット上にある画像が本物かAIによる生成物か、見分けるのが困難な時代が来ます。その時に、改ざん不可能で、撮影情報が明確な「本物の写真」を集めたデータベースを持っていることが、絶大な価値を持つのです。
イーロン・マスクがX(旧Twitter)を買収したように、クローズドで良質なデータベースを持つことが、これからの時代の大きな勝負の鍵になると考えています。 我々はこのデータベースの価値を、SNPITユーザーの皆さんと一緒に作り上げていきたいのです。
AIでは表現できない「人間らしさ」が価値になる

小林: AIの進化は加速度的で、人間の生き方そのものを変えていく可能性を秘めていますよね。
大塚: おっしゃる通りです。
計算や分析といった頭脳労働の多くは、いずれAIに取って代わられるでしょう。そうなった時、人類は「何のために働くのか」という問いに直面します。
これからの時代、生産性や効率とは別の軸で、人間としての価値が問われるようになるはずです。例えば、「懐かしさ」や「思い出」といった人間ならではの感情は、AIには表現できない価値です。実際に、一枚の写真を見た瞬間にこみ上げてくる感情や思い出は、AIには再現できません。
このように人間らしい感情を揺さぶるプロダクトが、これからの時代に求められると確信しています。
小林: なるほど。生産性を追い求めるのではなく、人間の感情や思い出といった、ある意味「非効率」な部分に価値を見出していくのですね。
大塚: 生産性に関わる部分はAIに任せ、人類はもっと人間らしい幸せを追求していくはずです。
SNPITのデータベースを使えば、数十年後にありのままの過去の世界をメタバースに再現することも可能になるかもしれません。そして、そのデータベース構築に貢献してくれた協力者に、トークンという形で利益が還元される。
このような世界観を実現するために、ワールドリポジトリーという構想を進めています。
小林: 壮大なビジョンですね。ただ、ユーザーの皆さんがそこまで理解してプレイしているわけではないかもしれません。
大塚: もちろん、今の時点でユーザーの皆さんにこの全体像を完全に理解してもらう必要はないと思っています。
まずは純粋にゲームを楽しみ、ポイントを稼いでもらう。そして後々、「自分たちが遊んで集めた写真が、こんな価値を生んでいたんだ」と実感してもらえれば良いのです。
小林: 話は変わりますが、最近、SNPITでは不正対策としてSMS(ショートメッセージ)認証が導入されました。これにはどのような理由があったのでしょうか。
大塚: 一部のユーザーによる不正行為への対策のためです。特に最近、ベトナムでユーザーが急激に増えているのですが、それに伴い、ゲームの公平性を損なう不正行為も目立ってきました。
国によっては技術的な課題で導入が難しかったものの、健全なゲーム環境を守るために導入に踏み切った形です。
H.I.S.との共創で生まれた「新しい旅行体験」

小林: 次に、他の企業とのコラボレーションについて、お伺いします。
SNPITでは、大手旅行会社のHISと提携しています。H.I.S.との取り組みでは、どのような活動をされているのでしょうか。
大塚: コラボNFTを販売した他に、「アルバムNFT」という企画も実施しています。

このアルバムNFTは、HISからご提案いただいた企画です。複数の写真をデッキのように組んで戦う、トレーディングカードゲームのようなバトル形式を実現しました。
小林: 旅行会社であるHISにとって、SNPITと提携する意義はどの部分にあったのでしょうか。
大塚: やはり、旅行と写真の親和性が一番大きな要因だったようです。
HISはWeb3という先端分野で業界のリーディングカンパニーになる、という挑戦の意図があったと伺っています。
単にSNPITを使って自社のツアーに集客するという話ではなく、Web3の技術を使って「全く新しい旅行の形」を一緒に作っていきたい、という非常に大きな構想をお持ちです。
このような理由から、新しい旅行体験の実現に向けて、両社で知恵を絞っています。
小林: 単なる送客ではない、新しい価値の共創を目指しているわけですね。
リアルな繋がりがつくる熱狂

小林: SNPITは、オンラインだけでなく、オフラインでの交流も活発ですよね。オフ会を各地で開催されていますが、どのような目的があるのでしょうか。
大塚: リアルな場でのユーザーさん同士の繋がりが、アプリの楽しさを何倍にもしてくれると考えているからです。2ヶ月に一度は公式オフ会を開催していますし、ユーザーさんが主催するオフ会は全国各地で活発に開かれているんですよ。
そこで写真の撮り方を教え合ったり、一緒に撮影に出かけたり。アプリ内でフレンドバトル機能を使って、その場で撮った写真で腕を競い合ったりもしています。
小林: ユーザーさん主導のコミュニティが生まれているのは素晴らしいですね。オフ会でユーザーさんから直接話を聞くと、やはり嬉しいものですか。
大塚: それはもう、本当に嬉しいです。カップルやご家族で参加してくださる方もいて、楽しんでいる姿を直接見ると、「このプロジェクトをやっていて本当に良かった」と心から実感します。何より我々のモチベーションになりますね。
ゲーム領域でWeb3の普及が加速する

小林: Web3ゲーム全般について、お伺いします。
一時期の熱狂が落ち着き、冬の時代とも言われたWeb3ゲームの現状と将来性について、どのようにお考えですか。
大塚: 確かに、かつてSTEPNのようなバブルを経験した人から見れば、今の市場は物足りなく感じるかもしれません。いわゆるガートナーのハイプ・サイクルにおける「幻滅期」にいる状態です。
しかし、Web3の根幹にある「プロジェクトへの貢献が、運営だけでなく、広くユーザーに分配される」という思想は、ゲームと非常に相性が良いです。
このような理由から、Web3の社会実装に最も近い場所に位置しているのはゲーム領域だと確信しています。これまでの課題を乗り越え、改善されたプロダクトが出てくれば、まだまだ大きな可能性があると考えています。
小林: NFTという技術自体には、どのような可能性が秘められているのでしょうか。
大塚: NFTは、価格の側面だけが注目されがちです。しかしNFTの本質とは、デジタルデータを現実の資産のように唯一無二のものとして扱える点にこそあります。これは、デジタルとリアルの世界の境界線を無くしていく上で、絶対に欠かせないものです。
ゲームを入り口にWeb3が広まることで、最終的にはNFTの本当の価値も社会に浸透していくと考えています。
最後に

小林: SNPITについて、今後の展望を教えてください。
大塚: 今後の展望としては、日本国内とグローバルで戦略を分けて考えています。
国内では、Web3に馴染みのないライト層にいかにアプローチするかが課題です。そこで、ブロックチェーンの怪しさを払拭し、より日常に近いところで使ってもらえるような施策を考えています。
一方のグローバルでは、今まさに熱が高まっているベトナム市場に注力していきます。若年層が多くウォレット保有率も高いこの市場で、しっかりと火を大きくしていきたいですね。
小林: Web2とWeb3の双方で新規事業に挑戦された中で、Web3ならではの「面白さ」はどんなところに感じますか。
大塚: まだ誰も「勝ちパターン」を見つけられていないところですね。法律や会計など、表からは見えない数多くの制約がある中で、どうすれば突破できるのかを試行錯誤するプロセスが、たまらなく面白いんです。
ユーザーからは、「なぜこうしないんだ」という真っ当なご意見をたくさんいただきます。しかし一方で、我々が社内で抱えている課題も多く、現実と理想の間には途方もないギャップがあります。
その表と裏の両方を知りながら、パズルを解くように最適解を探していく。この感覚は、他の事業ではなかなか味わえないWeb3ならではの醍醐味だと思います。
小林: ここまでお仕事についてお聞きしましたが、プライベートの面でお休みの日は何をされているのでしょうか。
大塚: 休みの日も、結局は写真を撮っています。特に、なくなりそうな昭和のビルや古い街並みを撮るのが好きなんです。普段なら通り過ぎてしまう景色も、被写体として捉えることで全く違って見えてくる。その感覚が面白くて。
ただ、自分の撮る写真は渋すぎて、バトルでは全然勝てないんですけどね(笑)。
小林: まさに、仕事でもプライベートでも写真一筋なのですね。それでは最後に、この記事を読んでいる読者の方へメッセージをお願いします。
大塚: ブロックチェーンの分野はまだまだ黎明期で、我々もスタートしたばかりです。
しかし、我々が思い描いている構想が実現すれば、間違いなくもっと成長できるプロダクトだと確信しています。ぜひ、今後のSNPITにご期待ください。
小林: 本日は貴重なお話をいただき、本当にありがとうございました。
大塚 :ありがとうございました!
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