人事職に特化したフリーランスマッチングサービスを行うコーナーの調査によると、リモートワークで働く社員の半数以上が「静かな退職」の状態にあることが分かった。

リモートワーク社員の半数以上が「静かな退職」、不満は給与や評価

従業員数100人以上の企業に1年以上在籍している正社員を対象に実施した調査によると、現在の仕事に対する向き合い方を聞いたところ、「積極的(15.7%)」「やや積極的(47.6%)」「やや消極的(25.2%)」「消極的(11.5%)」となった。

同社は、「積極的:キャリアアップや成長機会を積極的に求め、与えられた仕事以上の取り組みにも前向き」、「 やや積極的:与えられた役割と責任を果たしつつ、必要以上の負荷は控えたい」、「やや消極的:最低限の業務だけ行い、仕事を通じた成長や新たなチャレンジに関心がない」、「消極的:職場環境や仕事内容に大きな不満があり、消極的に仕事を続けている」と定義し、「やや消極的」「消極的」と回答した36.7%の人を「静かな退職」層としている。

「静かな退職」層の割合をワークスタイル別に見ると、「リモートワーク中心型」は57.3%と半数を超え、「出社型」(36.0%)、出社とリモートワークを組み合わせて働く「ハイブリッド型」(18.6%)に比べて多くなっている。

調査を行ったコーナーはワークスタイル別のモチベーション低下要因を考察し、リモートワーク中心型では「直接の対人関係よりも制度や組織全体の信頼低下や将来への不安が多く選択されており、制度や評価基準、会社の方向性の理解を深める上で、物理的距離や情報不均衡といったリモート特有の環境が影響している可能性がある」と指摘している。

「静かな退職」層が離職を考える理由については、「給与・報酬が期待に見合っていない(47.0%)」がトップで、「評価・昇進の基準が不明瞭(30.4%)」も多い。

次いで「会社の将来性や成長可能性の不安(21.7%)」、「業務量や仕事の進め方に問題がある(21.7%)」、「ハラスメントや人間関係不安(20.0%)」、「経営理念・パーパスに共感できない(19.1%)」、「上司・同僚とのコミュニケーション不足(19.1%)」などが続いた。

コーナーの門馬貴裕代表取締役CHROは、「『静かな退職』は、離職として表面化する前の、社員のモチ ベーション低下やエンゲージメント喪失を指し、企業にとっては見えにくいリスクです。会社として、この潜在的な状態を放置することで、組織全体の活力低下や業績への影響を招く可能 性を認識する必要があります」と解説している。

「静かな退職と人事の認識ギャップ調査」の詳細はこちら
https://www.corner-inc.co.jp/news/2025-06-04/

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