
2024年度のクリニック・薬局向け医療ICT国内市場規模は、前年度比5.5%増の644億4,300万円と予測
~2030年度の同市場は788億2,400万円と、2021年度の1.53倍にまで拡大を予測~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、クリニック・薬局向けの医療ICT国内市場を調査し、主要セグメント別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。
クリニック・薬局向け医療ICT国内市場規模推移・予測

1.市場概況
クリニック(無床の一般診療所)や薬局(調剤薬局)向けのICTサービスは、基幹システム(電子カルテ・電子薬歴)の普及やスマートフォンの普及に伴い、徐々に導入が進んでいる。
クリニック向けのICTサービスは20年以上の歴史がある診療予約システムに加え、ここ10年ほどでオンライン診療システムや電子問診(Web問診/タブレット問診)システムなどの普及も進みつつある。これら3システムは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて3密(密閉空間、密集場所、密接場面)回避へのニーズや補助金施策から、2020年度から2021年度に導入が加速した。さらに近年では、予約・問診・オンラインなど幅広い機能をもつ総合ICTサービスを展開する企業がみられ始めている。
また、薬局向けのICTとしては、2020年度のオンライン服薬指導の解禁や服薬フォローアップの義務化を受け、オンライン服薬指導や服薬フォローアップができる薬局ICTサービスの市場が、2020年度後半より急速に形成された。薬局はクリニックと異なりチェーン薬局単位での導入がみられること等から、急速な普及が可能であった。
以上のような状況のなか、2023年度のクリニック・薬局向けの医療ICT国内市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比108.4%の611億800万円と推計した。
2.注目トピック
クリニック向けICTにおいてはシステム間の垣根が相対化、総合ICTもみられるように
近年、クリニック向け医療ICTにおいては各システム・サービスの垣根がなくなってきている。診療予約システムでは簡易問診ができるシステムが多く、オプション機能としてオンライン診療や決済機能を展開する例が増えてきている。
また、基幹システムである電子カルテのオプション等で、診療予約・簡易問診やオンライン診療などの機能を展開する例もみられる。
このような事例は電子カルテのクラウド化に伴い一層増加しているおり、さらに前述のように、診療予約・簡易問診・オンライン診療など幅広い機能をもつ総合ICTサービスを展開する企業がみられ始めている。
3.将来展望
2024年度のクリニック・薬局向け医療ICT国内市場規模は、前年度比105.5%の644億4,300万円になると予測する。その後も市場は徐々に拡大し、2030年度の同市場は788億2,400万円と、2021年度市場の1.53倍にまで拡大すると予測する。
調査要綱
1.調査期間: 2024年11月~2025年2月 2.調査対象: 医療ICT参入企業 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<クリニック・薬局向け医療ICT市場とは> 本調査におけるクリニック(無床の一般診療所)・薬局(調剤薬局)向け医療ICT市場とは、クリニック向けおよび薬局向けのICTサービスおよび基幹システムとして下記の8品目を対象とし、事業者売上高ベースで国内市場規模を算出している。 クリニック向け6品目 ・診療予約システム ・電子問診(Web問診/タブレット問診)システム ・オンライン診療システム ・総合ICT(予約・問診・オンラインなど幅広い機能をもつICTサービス)システム ・PHR関連サービス(主にクリニック向け) ・基幹システム(オンプレミスおよびクラウド型の電子カルテ) 薬局向け2品目 ・薬局ICT(オンライン服薬指導や服薬フォローアップができるICTサービス)システム ・基幹システム(オンプレミスおよびクラウド型の電子薬歴) |
<市場に含まれる商品・サービス> クリニック・薬局向けのICTサービスおよび基幹システム |
出典資料について
資料名 | 2025年版 医療ICT市場の現状と展望 ~クリニック・薬局市場編~ |
発刊日 | 2025年02月28日 |
体裁 | A4 181ページ |
価格(税込) | 198,000円 (本体価格 180,000円) |
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