矢野経済研究所
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2025年3月末のオートリース車両保有台数は約435万台で前年同期比プラスの見込

~法人向けリース車両はコロナ禍前の水準まで回復、個人向けリース車両は堅調に推移~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のオートリース市場の調査を実施し、現況や参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

オートリース車両保有台数の推移と将来予測

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1.市場概況

一般社団法人日本自動車リース協会連合会によると、2024年3月末時点の国内オートリース車両保有台数は前年同期比プラスを維持した。

法人向けオートリース需要はコロナ禍以降、リモートワークの浸透や経済活動の低迷により減車が見られていたが、社会活動が正常化に向かうにつれ増加に転じ、2024年3月末時点の法人向けオートリース車両保有台数はコロナ禍前をわずかに上回る水準まで回復している。

一方、個人向けオートリース需要は堅調に拡大を続けている。各事業者による新規サービスの投入や新規事業者の参入などにより注目度は増している。

2.注目トピック

脱炭素社会に向けた「HEVへの入れ替え促進」と「BEV提供・取り扱いノウハウの蓄積」

日本政府は、2050年までにカーボンニュートラル(脱炭素社会)を実現する目標を掲げており、2035年までに乗用車の新車販売における電動車100%、2040年までに小型商用車の新車販売における電動車・脱炭素燃料車100%を目指すなど、国内自動車メーカーも電動化に力を入れている。

このような状況の中、オートリース業界においても電動車のオートリース車両保有台数は着実に増加しており、今後更に拡大していくことが予想される。国内自動車メーカーの製造するハイブリッド車(HEV)は燃費性能の高さで業界をリードしていると言われるなか、電気自動車(BEV)を取り巻く市場環境や様々な課題などを考慮すると、今後数年間の国内オートリース事業における最適解は、ガソリン車からハイブリッド車(HEV)への入れ替え促進であるとみる。

一方、脱炭素社会の実現に向け、中長期的には未だ電気自動車(BEV)の普及が既定路線であり、環境意識の高い大手企業や自治体を中心に電気自動車(BEV)の導入に関する相談件数は着実に増加している。しかし、検討の結果導入を断念するケースや一部の導入にとどまるケースが多いとされる。その主な要因としては、車両コストの高さ、国内自動車メーカーの限定的な車種、中古車再販売価格(リセールバリュー)、充電インフラの整備状況などが挙げられる。こうした課題はあるものの、今後の内燃機関車(ICE)から電気自動車(BEV)への移行ニーズの急拡大に備えて、現時点から電気自動車(BEV)の提供やこれに伴う取り扱いノウハウの蓄積を行っていくことが重要と考える。

3.将来展望

2025年3月末のオートリース車両保有台数は約435万台(前年同期比103.8%)を見込む。

法人向けリースにおいては、コロナ禍以降続いていたサプライチェーンの混乱に伴う新車供給不足の解消からリース保有車両の新車への入れ替えが進んでいる。一方、一部の車種で今なお続く新車納期の長期化の影響も続いている。したがって、法人向けリースの車両保有台数は横ばいから微増傾向を維持すると考える。

また、個人向けリースにおいては、各事業者による個人向けリース保有車両及びサブスクリプションサービスの商品ラインアップ増加に加え、一部では対面販売の強化に力を入れる姿勢が見られるなど競争の激しさが増しているなか、現在の成長率を維持しながら堅調に推移するとみる。

今後は、法人向けリースにおける地方部を中心とした新規顧客の開拓や個人向けリースの継続的な成長が期待される。

調査要綱

1.調査期間: 2024年8月~11月
2.調査対象: オートリース主要企業、自動車メンテナンス受託企業
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、電子メール・電話によるヒアリング、ならびに郵送アンケート調査併用
<オートリース市場とは>
オートリースはユーザーが自身で指定した車両をリース会社に代理購入してもらい、それを賃借する契約である。オートリースは、設備投資に掛かる初期費用の軽減・平準化という会計面、金融機関の借入枠保全や資金の効率運用という財務面、車両管理業務の負担軽減という管理面のメリットなどから、法人ユーザーを中心に拡大してきた。現在は法人顧客のみならず、個人の利用者(個人事業主含む)を対象にした個人向けオートリース市場も順調に拡大している。

なお、オートリース車両保有台数につき、2017年3月末~2024年3月末実績値は一般社団法人日本自動車リース協会連合会データより引用、2025年3月末見込値、2026年3月末予測値、2027年3月末予測値は矢野経済研究所算出値である。

出典資料について

資料名2024年版 オートリース市場の現状と展望
発刊日2024年11月29日
体裁A4 277ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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