2023年度の福祉用具・介護用品の市場規模(9分野計)は前年度比107.9%の3,624億円
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の福祉用具・介護用品の市場を調査し、製品別の動向、参入企業動向、今後の方向性を明らかにした。
福祉用具・介護用品の市場規模(9分野計)推移
1.市場概況
2023年度の国内福祉用具・介護用品の市場規模(9分野計、事業者売上高ベース)は前年度比107.9%の3,623億9,000万円と推計した。2023年度の伸長は主に大人用紙おむつ市場の伸びが影響しているもので、中長期的にみれば介護保険制度のもと支出は抑制されており、市場はほぼ横ばいで推移している。
2.注目トピック
福祉用具貸与・販売の選択制導入
2024年度の介護保険制度改定では、福祉用具の一部品目について、貸与と販売の選択制が導入された。可搬型を除く固定用スロープ、歩行器(歩行車除く)、杖(単点杖・多点杖)がその対象となった。利用者やその家族にとっては、選択肢が増えたというメリットがあると考える。現時点では、貸与と販売の選択制の対象となっている品目は、比較的単価が安い品目である。
特殊寝台(介護ベッド)など、購入しようとすると利用者や家族の経済的負担が大きくなる品目にまで、将来的に選択制が導入されるかは不透明だが、介護保険制度を持続させることを考えれば、支出抑制の方向で進んでいく見込みである。
3.将来展望
福祉用具は、加齢や身体機能の衰えに対する支援器具という観点に加え、QOLを維持・向上するために利用するといったポジティブな観点で開発された製品が必要である。身体の状態や、住居状況、バリアフリーの進展具合に加え、家族や同居者の状況、利用者個人の好みなど、福祉用具への課題や嗜好も多様になる。
また、国内の福祉用具・介護用品の市場は、高齢化の進展により利用者数が増加傾向にある。参入企業においては国内市場のみならず、将来高齢化が進展する海外市場への進出や、介護状態になる前の高齢者向けの製品開発など、新たな事業領域を模索していると考える。
一方、国内では高齢化が進み、公的支出が増加している。需要(高齢者人口)が増加を続ける状況でも、介護保険支出を抑制し、サービスや製品の提供主体である民間企業の成長機会も確保するという、複雑な課題を乗り越えなければならない。
調査要綱
1.調査期間: 2024年6月~8月 2.調査対象: 福祉用具・介護用品を取り扱うメーカー 3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用 |
<福祉用具・介護用品市場とは> 福祉用具・介護用品とは、在宅や医療・介護施設を問わず、高齢者や障害のある人々の日常生活における自立及び介護を支援する機器、用具、用品である。 本調査における福祉用具・用品の市場は、在宅用介護ベッド、エアマット・体圧分散マット、車いす、歩行車・歩行器・シルバーカー、移動用リフト、特殊浴槽、大人用紙おむつ、入浴・排泄用品、階段昇降機を対象とし、事業者売上高ベースで算出した。 なお、医療・介護施設用介護ベッドは市場規模には含まない。 |
<市場に含まれる商品・サービス> 在宅用介護ベッド、エアマット・体圧分散マット、車いす、歩行車・歩行器・シルバーカー、移動用リフト、特殊浴槽、大人用紙おむつ、入浴・排泄用品、階段昇降機 |
出典資料について
資料名 | 2024年版 介護福祉用具用品市場の現状と方向性 |
発刊日 | 2024年09月06日 |
体裁 | A4 154ページ |
価格(税込) | 132,000円 (本体価格 120,000円) |
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