近年では、新卒採用が早期化・長期化・複雑化するなかで、就活生の内定辞退が生じやすくなっている。こうしたなかで自社に合う優秀な人材を入社につなげるためには、魅力的な内定式を通じて入社意欲を高めてもらうことも大切だ。
今回は、特徴ある内定式の事例と近年における内定式の実態、内定者の特徴を紹介する。そのうえで、内定式とあわせて重要となる内定者フォローの必要性を日本人材ニュース編集部が解説する。(文:日本人材ニュース編集部

10月1日内定式実施、内定者を入社までつなぎとめる施策とは

目次

  1. ユニークな内定式の事例
  2. 内定式の開催連絡と学生が抱える不安の実態
  3. 内定者(2025年入社新入社員)の特徴とは
  4. 内定式後も内定者フォローを続ける必要性
  5. 内定者を入社までつなぎとめるには、丁寧なフォローが大切

ユニークな内定式の事例

近年では、優秀な内定者の入社意欲を高めるために、以下のようにユニークな内定式を行い、競合との差別化を図る企業が多くなっている。

企業名 内定式タイトル 概要
昭和産業 体験型内定式・天ぷら研修 ・天ぷら粉をはじめとする食品の製造・販売を行なう企業
・体験型内定式「天ぷら研修」では、経営陣が天ぷらの揚げ方をレクチャー
・代表製品の天ぷら粉に触れることで、企業文化の理解や愛着が深まる
・調理実習でのコミュニケーションを通じて、内定者同士(同期)の団結力もアップ
インビジョン 凧あげ内定式 ・毎年、趣向を凝らしたユニークな内定式を実施
・2016年度は、内定者と全社員でのバーベキュー後に写真撮影会&凧あげ
・過去には「火おこしからの内定式」や「登山内定式」などの開催実績もあり
ネスレ バージンロード内定式 ・バージンロードと見立てた道を内定者と採用担当者が歩き、その先で牧師役の社長から自社の代表製品である「キットカット」を受け取るというもの
・「自社とも一生を添い遂げてほしい」という想いで生まれた内定式
GMOペパボ ボーイスカウト風内定式 ・ボーイスカウトの入隊式から着想を得たもの
・ボーイスカウト風にコスプレした隊長(社長)から、入社の証である特性ネッカチーフが渡される
・社長がキャンプにはまったことで、ボーイスカウト風内定式が誕生
・社長の趣味の影響を受けて入社式が変化することから、メディアでもよく取り上げられている
JTB東北 お座敷列車で内定式 ・秋田内陸縦貫鉄道のお座敷車両を使った体験型の内定式
・お座敷車両のなかで、社長から内定通知書を受け取るというもの
・東北地方の観光資源を体感することで、旅行会社や自社サービスの魅力を再認識してもらえる

内定式の開催連絡と学生が抱える不安の実態

マイナビ キャリアリサーチLabでは、「2025年卒大学生活動実態調査(8月)」のなかで、2025年卒業予定の大学生・大学院生に、2024年8月末時点での内定式連絡状況や、内定式に向けた不安などのアンケートを実施している。

まず、入社予定先の企業から内定式の実施連絡がきた学生は、2024年8月末時点で約8割だった。内定式の詳細が決定している企業のうち、87.7%が対面での実施予定となっている。

ただし、内定式に参加する学生には、さまざまな不安がある。

なかでも特に多かったのは、「他の内定者と仲良くなれるか」の62.5%だった。また、2番目は「内定先の社員や役員とうまく話せるか」が47.5%となっており、多くの学生が内定式に参加するうえで、コミュニケーションに関する不安を抱えていることがわかる。 また、上記の不安と連動する形で、内定式でやってほしいことには、内定者同士や社員との交流・コミュニケーションを希望する声が特に多かった。

(出所)2025年卒大学生活動実態調査(8月)(マイナビ キャリアリサーチLab)

内定者(2025年入社新入社員)の特徴とは

内定式を迎え、2025年4月より入社予定の内定者はどのような世代になるのだろうか。

2025年4月より入社予定の内定者の多くは、以下のような時代を生きてきた世代だ。

・2002年(平成14年)~2003年(平成15年)生まれ(留年や浪人をせず、4年制大学を卒業した場合)
 2002年は、初の日朝首脳会談(9月17日)が開催、デフレ不況で東京の株価がバブル後の最安値に
・2021年大学入学(※留年や浪人をしなかった場合)、高校3年生の大学受験期に新型コロナウイルスが流行し、混乱の中大学に入学。入学時点ではコロナ禍であったが、大学3年生時に5類感染症に移行され、徐々に元の生活に戻ってきた

2025年入社の新入社員となる内定者は、生まれたときからインターネットに触れてきた世代だ。いわゆるZ世代でもある。スマートフォンやSNSが普及したのは、彼らが幼稚園(保育園)年長~小学生ぐらいの頃だ。

そのため、この年代は子どもの頃からインターネットを通じた情報収集や発信を身近に行ってきた。また、中高生の頃にはYouTubeが普及し、視聴メディアもTVから動画の時代に突入していく。情報発信に長けたインフルエンサーが多いのも、この世代の特徴だ。

いわゆるZ世代は、親が就職氷河期世代のケースが多い。また、自身も幼少期にリーマンショックなどの不景気を経験している。 大学生になるとコロナ禍に突入し、オンライン授業などを余儀なくされてきた。ただ、就職活動をする時期になると新型コロナウイルスも5類へと移行し、最近では徐々に通常の生活を取り戻しつつある。

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内定式後も内定者フォローを続ける必要性

優秀な学生の場合、応募段階ですでに数社の内定を保持していることも珍しくない。こうした背景から、採用担当者の頑張りで良い学生を内定式参加につなげても、入社前に内定辞退を告げられるケースが多くなっている現状がある。

自社に合う優秀な学生を入社につなげるうえでポイントになるのが、内定者の不安解消につながる「交流系施策」の実施だ。

なかでも特に高い効果が期待できるのは、いわゆるリクルーターや先輩社員やなどが内定承諾者と主体的に接点を持つことだ。良きお兄さん・お姉さん的な存在が入社まで伴走することで、さまざまな不安が緩和され内定承諾者に心強さを感じてもらいやすくなる。

また、近年の新卒採用では、活動開始時期の早期化や内定者フォローの長期化によって、採用担当者の負担が増大しやすくなっている。こうしたなかで内定者フォローに注力するためには、EDGEが提供する「エアリーフレッシャーズクラウド」などの内定者フォローシステムを活用し、採用業務の効率化を図ることも一つとなる。

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内定者を入社までつなぎとめるには、丁寧なフォローが大切

2024年は対面での内定式を実施する企業も多かった。一方で、近年の就活生には、新卒採用の長期化・早期化・複雑化の影響から、入社前に内定辞退をすることが多い実態がある。

こうしたなかで自社に合う学生を入社につなげるためには、多くの内定者が不安に感じている内定者同士や社員との交流・コミュニケーションの施策を内定者フォローに盛り込むことも大切だ。

また、優秀な学生に丁寧な内定者フォローを続けるためには、外部のサービスなども活用して採用担当者の負担を減らし、コア業務に注力することも必要だろう。

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