「ビール酒造組合」と「発泡酒の税制を考える会」は9月2日、「ビール・発泡酒・新ジャンル商品の飲用動向と税金に関する調査」の調査報告書を公表した。
2002年から毎年実施しているもので、2024年5月2日から6日にWEB上のアンケートページで回答を得たもの。サンプル数は1,200人。調査対象は、「普段からお酒を飲んでいる20歳以上の男女」。
調査では、2023年10月に行われたビールの減税、新ジャンルの増税とそれによる発泡酒と新ジャンルの税率の統一の消費行動への影響などについて聞き取った。
前後でのビール系飲料の消費は、減税となったビールは「増えた」との回答が多く、増税となった「新ジャンル」は「減った」との回答が多かった。
これは、増税・減税の影響を分かりやすく反映している一方で、税率の変化がなく新ジャンルと税率が統一された発泡酒では「減った」割合が新ジャンルに近い結果となった。ビールへの移行も考えられるが、経済状況の厳しさや健康志向を反映して飲酒量そのものを減らす回答があった。ビールでも同様の理由での減少の回答が見られた。
経済的理由や健康志向などの減少傾向の流れの中で、“減税”のインパクトによりビールの消費が「増えた」人が減少傾向を上回ったことが分かる。
こうした調査の結果からビール酒造組合らは、「消費者はビール系飲料の販売価格の変動に対し、敏感に反応する」と分析。販売価格が高くなると、「生活防衛意識が働き、消費の停滞が懸念される」としている。
〈アンケート結果〉
以下はアンケート結果の一部を抜粋したもの。
◆家庭で飲むお酒は「ビール」61.5%で5ポイント増加
「家庭で飲むお酒の種類」は、複数回答で、「ビール」61.5%、「チューハイ・サワー」45.8%、「発泡酒・新ジャンル」39.4%となった。2023年調査と比較すると、「ビール」は5ポイント増加した。酒税改正(ビールは減税、発泡酒は税率が変わらず、新ジャンル・第3のビールは発泡酒と税率を統一)により減税となったビールを家庭で飲む割合は増加している。
◆ビールを「おいしいから」飲むのは79.4%
家庭で「ビール」を飲んでいる人に、その理由を聞くと、「おいしいから」が79.4%、「品質がよいから」23.3%、「価格が手頃だから」20.6%と続く。「おいしいから」との回答がほとんどだった。
発泡酒・新ジャンルでは、「価格が手頃だから」が63.8%と最も多く、「おいしいから」は53.7%と2番目となった。こちらあは価格面が飲用理由となっている。
◆酒税改正前と比較し、ビールは「増」、発泡酒と新ジャンルは「減」の回答が多い
酒税改正前と比較して、家庭でビール系飲料を飲む量の増減を聞いた。
家庭でビールを飲む量は、「変わらない」が80.2%とほとんどだが、「減った」6.2%に対して、「増えた」13.0%の方が多い。
「増えた」理由は、2023年10月に減税されたこともあり、「価格面での理由(手頃と感じる、以前より下がった)」が62.5%と突出して多い。
発泡酒では、「変わらない」69.6%、「減った」12.1%、「増えた」6.6%、「飲んでいない」11.8%となった。2023年10月に発泡酒の税率は変わらなかったが、ビールとは反対に「減った」割合が高い。
新ジャンルでは、「変わらない」75.9%、「減った」13.5%、「増えた」6.6%、「飲んでいない」4.0%だった。新ジャンルでは、2023年10月に増税となり、新ジャンルと税率が同じになった。このため、ビール、発泡酒、新ジャンルの3種類の中で最も「減った」割合が高い。
◆今後の販売価格とビール系飲料の飲酒行動の変化
「ビール350ml6缶パック」が50円程度安くなった場合、ビールを飲む量はどうなるかを聞いた。ビール飲用者は、「増える」16.8%、「減る」2.3%、「変わらない」80.9%となった。
一方、「発泡酒・新ジャンル350mlパック」が50円程度高くなった場合、発泡酒を飲む量はどうなるかを聞くと、発泡酒・新ジャンル飲用者は、「増える」5.7%、「減る」18.0%、「変わらない」76.3%となった。
発泡酒・新ジャンルのかわりにどのお酒を飲むかを聞いたところ、「ビール」が37.6%だった。一方、「他のお酒の量は増えない」との回答が17.6%となり、値上げによって他酒類への移行だけではなく、飲酒量そのものの減少につながるとしている。