ヤマザキ 山崎社長
(画像=ヤマザキ 山崎社長)

チルド惣菜市場が前年並みで推移する中、ヤマザキ(静岡県榛原郡吉田町)では看板商品の「もう一品」シリーズが順調に推移し、グループ合計の売上は2ケタ伸長となったようだ。同社の強みであるジャガイモを使った冷凍食品の提案も強めており、ジャガイモに強い会社というイメージをより広げるべく、提案を進める。山崎朝彦社長に聞いた。

――2023年における売上は。

2023年のチルド惣菜における当社の売上は2%増となった。2024年4~5月については前年同期比で13%増と大きく伸長している。23年の前半は厳しい市況だったが、10月から大きく伸長し始めた。看板ブランドの「もう一品」シリーズが順調に推移しており、今後もまだ伸ばせると感じている。中でも、ファミリー向け中容量サイズの「ファミリー」シリーズが2ケタ台で伸長したほか、本格おつまみの「撰(せん)つまみ」シリーズも順調な動きを見せた。ただ、「撰つまみ」については、和惣菜のコーナーに多く導入されているが、今後はおつまみ商品を陳列しているコーナーでの導入も目指したい。

冷凍食品にも力を入れている。1食完結タイプのグラタン商品は市場的にもまだ成長させる余地がある。ここ3年ぐらい大きく伸長し、23年は前年から4割ほど伸びた。自社ブランドでの展開に加えて、PBとしても引き合いは多い。

戦略的には、他社がまだあまり取り組んでいないニッチな市場の開拓を進めている。当社が強みとするジャガイモやサツマイモなど、素材に近い料理の市場はまだ空いていると感じており、そこへの提案を進めたい。

――注力した取り組みは。

「撰つまみ」シリーズでは増量キャンペーンを実施し、販売増につながった。色々取り組んでいるが、やはりおつまみ関連の商品を陳列している売場での採用がカギだと思う。家庭で晩酌をする人は今も一定数いる。自分で作るのが面倒と感じる方に最適な商品だ。こうした方々へのアプローチを今後も行っていく。また、「撰つまみ」シリーズも、当社が強みとするジャガイモを使った商品を展開できればと考えている。

――強みのポテトサラダの動向は。

ポテトサラダはいまだに伸び続けている。2023年に15周年を迎えており、いろどり・ファミリーシリーズを合わせると2ケタ伸長となった。ポテトサラダは惣菜の中で根強い人気がある。その中でブランドの育成を進めており、売場をからめた販促企画などで認知の拡大を進めている。他にも増量企画を実施したほか、静岡や中京、関西で引き続きCMを放映し、よりブランドを知ってもらえるよう取り組んでいる。最終的には「ポテトサラダと言えばヤマザキ」と言われるぐらいの存在感を発揮できるよう、市場全体の底上げにもつながる取り組みを進められればと思う。

――今後の施策は。

将来的には、ポテトサラダを通じてジャガイモ全体が強い、というイメージにつなげていきたい。そのためにも、ポテトサラダの更なる育成と共に、ジャガイモを使った特色ある商品の投入は重要だと考えている。

例えば、ポテトサラダはただ惣菜として食べるだけでなく、パンのフィリングのように上に乗せて食べるなど、さまざまな活用方法が見られる。食べ方提案や、新しい味付けもしっかり紹介したい。

2024年5月には、冷凍食品で本格的なグラタン「北海道産男爵芋のポテトグラタン」を発売した。契約牧場から生乳を直接仕入れたホワイトソースを使い、ジャガイモ本来の味も楽しめる商品だ。実は乳製品は得意で、日本では珍しく牧場で採れた生乳をホワイトソースまで加工できる工場を持っている。そのため、冷凍グラタンのホワイトソースは生乳100%と明記している。今、冷凍グラタンは3商品を展開しており、認知の向上を進めていく。

他にも、手軽に食べられる商品として、「レンジでほっくほくじゃがバター」を投入している。レンジで温めるだけで本格的なじゃがバターを楽しめる商品は他にないと思っている。今後は国産のジャガイモを使っていることをより打ち出していくほか、お客様のニーズを捉え、さらなる展開も進めていければと思う。

また、チルド惣菜の新商品として合計で5商品を投入予定だ。「プラスもう一品シリーズ」から、9月に「ほっくりさつま芋炊き」、10月に「栗いむのさつま芋スイーツサラダ」を投入する。「もう一品世界の食卓シリーズ」からは、9月に「ふっくらお豆のチリコンカン」、「ヤンニョムチャプチェ」を発売する。さらに、9月に看板商品のポテトサラダをたっぷり大容量サイズで楽しめる「毎日のポテトサラダ」の販売も予定しており、家庭で支持される商品になればと思う。

「もう一品」シリーズの支持をより広げると共に、新たに提案を強めている冷凍食品の拡大を進めて、ジャガイモに強い会社というイメージを広げて行ければと思う。

〈冷食日報2024年8月1日付〉