トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術
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(本記事は、浅田 すぐる氏の著書『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』=日本実業出版社、2022年9月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

オフィスワーカーにおける「7つのムダ」

少々踏み込んだ話を吐露してしまいましたが、それでも何とか再起して今日まで頑張ってこれているのは、ごく一部の怨望(えんぼう)など霞(かす)むほどに、応援や激励、何より仕事で実践してビフォーアフターを実現したことへの感謝のメッセージ等を、日々受け取り続けているからです。

たとえば数年前、実際にトヨタで働いている読者の方から、次のようなメッセージをもらう御縁がありました。

「これは浅田さんの書籍がベストセラーになった影響なのだろうと勝手に理解していますが、会社に貼られていたポスターを見て、思わず感謝の気持ちを伝えたくなってしまいました。最近は本質を見失った人が上にも下にも増えていて困っています。これからも目が醒めるような本を世に残していってください」

『トヨタに学ぶカイゼンのヒント71』(野地秩嘉/新潮社)という本に、下記のポスターと同内容の記述がありましたので引用しておきます。

なお、「事技系職場」と書かれている部分は、とりあえず「ホワイトカラー」や「オフィスワーカー」といった言葉に置き換えてもらえば大丈夫です。

たしかに「③資料のムダ」の項目に、「A4/A3一枚以上の資料を準備していませんか?」と書かれています。

『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』より
(画像=『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』より)

「2枚以上」とはなっていませんし、かといって「紙0枚=資料なし=口頭・手ぶら」も推奨されてはいません。

拙著が何かしら役に立ったのかどうかの真偽はわかりませんし、そこはくれぐれも謙虚でありたいとは思います。ただ、トヨタ社内にこういった感想を寄せてくれる人が現在進行形でいることは、本当にうれしいです。

こうした出来事からも垣間見えるように、今でも「紙1枚」文化=「考え抜く力」の育成文化を残そうとする気風はやはり残っているのだと思います。

ここまで書いてきたような本質を見失わず、良識として継承し続ける限り、「考え抜く力」は今後もトヨタの強みであり続けるはずです。

そのことを願って、本章を終えておきたいと思います。

トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術
浅田 すぐる
「1枚」ワークス株式会社代表取締役。「1枚」アカデミアプリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。作家・社会人教育のプロフェッショナル。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、グロービスへの転職を経て、独立。現在は社会人教育のフィールドで、ビジネスパーソンの学習を支援。
研修・講演・独自開講のスクール等、累計受講者数は10000名以上。大企業・中小企業問わず、登壇実績多数。2017年には海外中国・広州登壇、2018年にはルーツであるトヨタとパナソニック合同の管理職研修への登壇も実現。
2015年からは、作家としてのキャリアもスタート。デビュー作『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』は年間ビジネス書ランキング4位、海外5カ国翻訳のベストセラー・ロングセラーに。これまでに7冊、文庫化も加えれば9冊を上梓し、著者累計は45万部超。独立当初から配信し続けているメールマガジンは通算1000号以上。読者数20000人超。

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