トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術
(画像=Pakin/stock.adobe.com)

(本記事は、浅田 すぐる氏の著書『トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術』=日本実業出版社、2022年9月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

煎じ詰めれば、すべては「3つ」でできている

洞察といってもやることは単純で、新しい資料に出会うたびに、その構成や各項目を他の資料と見比べ、「何か共通点はないだろうか」と観察していくことでした。

その数、といっても1枚1枚数えていたわけではありませんので概算ですが、それでも最低3000枚以上は見てきたと思います。

その間、いろいろな切り口を試し過ぎて迷走する時期もあったのですが、何年も考え抜いた末にたどり着いた「最も感度のよい切り口」は、この3つでした。

What? Why? How?

まずは、会議の議事録で考えてみましょう。

細かく挙げれば、バリエーションは限りなく増えていってしまいますが、逆にできるだけ大きなくくりで、少ない数になるように煎じ詰めていけば、どの議事録も要するに次の3つのことしか書いていないと捉えることが可能です。

・なぜ、集まったのか? :Why?

・何を話し、何が決まったのか? :What?

・で、どうする? :How?

あるいは、企画書についても同じような捉え方が可能です。

・なぜ、この企画をやりたい? :Why?

・企画の概要、内容は? :What?

・どうやって実現していく? :How?

この切り口は、上司とのキャリア面談の資料にも当てはまりました。

・これまで何をしてきたか? :What?

・今後はどうしていきたいか? :How?

・その理由は? :Why?

見ての通り、「What?」「Why?」「How?」の順番については、入れ替え自由だと捉えてください。

最大のポイントは、「議事録」「企画書」「面談資料」といったまったく目的の異なる資料が、すべて同じ考え方で構成できる点です。

何だか標準化できそうだと、感じてきたのではないでしょうか。

他にも、たとえば研修等に参加したときの「報告書」だったらどうでしょうか?

・何を学んだ? :What?

・なぜ、学んだと感じた? :Why?

・業務にどう活かす? :How?

あるいは、参加目的が明確なら、次のまとめ方でも成立するでしょう。

・なぜ、参加したのか? :Why?

・何を、学んだのか? :What?

・業務にどう活かす? :How?

この例は2つのパターンで作成可能となってしまいましたが、相変わらず捉え方自体は「3つの疑問詞を組み合わせること」に変わりありません。

これだけ当てはまる事例が多いのであれば、もう十分に型化してしまってよさそうです。すなわち、資料の種類や目的が変わっても、構成レベルでいえば「What?」「Why?」「How?」の3つの疑問を解消していく点では同じ。

「1枚×フレーム×テーマ」における「テーマ」については、この「3つの疑問を解消」という考え方で、再現性のある型化が可能だと気づいたのです。

トヨタで学んだ「紙1枚!」で考え抜く技術
浅田 すぐる
「1枚」ワークス株式会社代表取締役。「1枚」アカデミアプリンシパル。動画学習コミュニティ「イチラボ」主宰。作家・社会人教育のプロフェッショナル。名古屋市出身。旭丘高校、立命館大学卒。在学時はカナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学留学。トヨタ自動車入社後、海外営業部門に従事。同社の「紙1枚」仕事術を修得・実践。米国勤務などを経験したのち、グロービスへの転職を経て、独立。現在は社会人教育のフィールドで、ビジネスパーソンの学習を支援。
研修・講演・独自開講のスクール等、累計受講者数は10000名以上。大企業・中小企業問わず、登壇実績多数。2017年には海外中国・広州登壇、2018年にはルーツであるトヨタとパナソニック合同の管理職研修への登壇も実現。
2015年からは、作家としてのキャリアもスタート。デビュー作『トヨタで学んだ「紙1枚!」にまとめる技術』は年間ビジネス書ランキング4位、海外5カ国翻訳のベストセラー・ロングセラーに。これまでに7冊、文庫化も加えれば9冊を上梓し、著者累計は45万部超。独立当初から配信し続けているメールマガジンは通算1000号以上。読者数20000人超。

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