正社員と非正規社員の待遇差是正のために「基本給」を改定した企業は45.7%で、調査開始以来過去最高となったことが、マイナビ(東京・千代田、土屋芳明社長)が実施した「非正規雇用の給与・待遇に関する企業調査(2024年)」で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

正規・非正規間での待遇差是正のため「基本給」を改定した企業は45.7%

正社員と非正規社員間での待遇差是正の状況について聞くと、「改定済み」と回答した割合は、「基本給」が45.7%(前年比2.1ポイント増)で最も高く、2021年の調査開始以来最高となった。

企業規模別でみると、従業員300人以上の大企業で55.5%(前年比5.6ポイント増)、中小企業で41.5%(前年比1.0ポイント増)となり、2021年の調査開始以来、3年連続で過去最高を更新している。

現況についてマイナビは「最低賃金の引き上げや、“同一労働・同一賃金”への対応もあり、非正規雇用の給与の待遇差は徐々に解消されつつあるが、大企業と中小企業では進捗に差が出る結果となった」と指摘する。

【「同一労働同一賃金」の「改定済み」割合】
基本給に関する対応  45.7%
賞与に関する対応   36.2%
時間外、深夜、休日労働手当の割増率 33.5%
役職手当       27.6%
通勤手当出張旅費   36.0%
教育研修に関する対応 33.3%

直近半年間で、アルバイトの時給を上げた企業の割合は60.5%で、2年連続で6割を超えた。

業種別でみると、「コンビニ・スーパー」が70.1%と最多で、次いで「保育」69.8%、「飲食・フード」69.7%となった。

上げた金額を聞くと、全体では平均278.6円で、業種別では、「建設・土木・設備工事」が平均491.5円と最も高く、全体に比べ1.7倍以上の上げ幅だった。

時給を上げた理由は、「人材確保が難しくなったため」が40.2%で最多で、業種別でみると「建設・土木・設備工事」では57.8%と全体より17.6ポイント高かった。

建設業の現況についてマイナビは「“2024年問題”により、残業の上限規制がかかり、人手不足への対応は急務となっている。その打開策として、時給アップを行った」とした。

【アルバイトの給与を上げた理由】
人材確保が難しくなったため 40.2%
最低賃金の改定のため    40.1%
既存社員のモチベーションアップのため 28.0%
市場動向・同業他社動向を踏まえて   26.6%

非正規雇用を行っている企業のうち、直近半年間でスポットワーカーを募集した企業は、65.1%だった。そのうち、直近半年以内にスポットワーカーの給与を上げた企業は40.9%となった。

業種別にみると、「飲食・フード」が53.6%で最も高く、「コンビニ・スーパー」で50.8%、「介護」で48.2%と続いた。

上げた時給金額は、全体で平均314.1円となり、アルバイト雇用(平均額278.6円)を、35.5円上回る結果になった。

また、非正規社員の採用基準を上げた割合は、スポットワーカーで56.4%、アルバイト雇用で45.6%となった。

この背景についてマイナビは「アルバイト雇用と比較すると、スポットワーカーの新規採用基準が時給額に影響していると思われる。スポットワーカーを募集する業種の中には、特定の資格保持者や(正社員・アルバイトで補えない)特定の時間帯で勤務できる方、勤務経験者を募集する求人も多い。質の高い人材をピンポイントの時間帯に獲得するため、時給条件と採用基準を上げた」と指摘する。

調査は、2024年5月17~28日、直近半年(2023年12月~2024年5月)以内に非正規雇用の採用業務に携わった20~69歳の男女を対象にWEBで実施し、1496件の回答を得た。

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