近年、企業におけるコンプライアンス意識の高まりとともに、コンプライアンス研修のニーズが上昇しているという。

1990年代~2000年代にかけて粉飾決算や顧客情報の流出、過労死などの不祥事が相次いだことを背景に、企業の社会的責任が厳しく問われるようになり、コンプライアンス遵守の徹底が企業存続の鍵となっている。

コンプライアンス研修の必要性について日本人材ニュース編集部が解説し、人事担当者が評価するコンプライアンス研修を紹介する。(文:日本人材ニュース編集部

相次ぐコンプライアンス違反を未然に防ぐ。人事担当者が評価するコンプライアンス研修を紹介

目次

  1. 2023年度にコンプライアンス違反で倒産した企業は350件超
  2. ダイハツ不正問題の一因にはコンプラ意識の希薄化も
  3. 人事担当者が評価するコンプライアンス研修
    1. 労務コンプライアンス研修~2024年4月改正に備えて(Labor Field)
    2. コンプライアンス研修~SDGs時代に求められる前向きなコンプライアンスとは(インソース)
    3. ハラスメント研修(ベリタス・コンサルティング)
    4. ひとりずつの認知バイアス調査を踏まえたコンプライアンス・ハラスメント研修(セレクションアンドバリエーション)
  4. 社内のコンプライアンス意識を高める

2023年度にコンプライアンス違反で倒産した企業は350件超

帝国データバンクが実施した「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査(2023年度)」によると、2023年度にコンプライアンス違反で倒産した企業は351件に上り、前年度から 16.6%増加していることが分かった。

◆違反類型別 「コンプライアンス違反」倒産件数 上位5

業法違反 84件
粉飾 81件
資金使途不正 56件
不正受給 30件
雇用 16件
(その他) 56件

2022年度からは50件(前年度比16.6%)増加し、3年連続で前年度を上回り、比較可能な2003年度以降で初めて350件を超えたことからも、コンプライアンスを遵守することの重要性が見えてくる。

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ダイハツ不正問題の一因にはコンプラ意識の希薄化も

2023年12月、ダイハツ工業が車両の安全性に関する認証試験における174件の不正行為が判明したことを受けて、国内全工場の生産を停止したことは記憶に新しい。

当時公表されたダイハツの第三者委員会の「調査報告書」の中で、不正問題の原因として「短期開発を至上命題とする過度にタイトで硬直的な開発スケジュールによる極度のプレッシャー」や「現場担当者のコンプライアンス意識の希薄化、認証試験の軽視」などを挙げている。

なお、2024年4月1日付でダイハツ工業は再発防止の一環として、トヨタ自動車と連携して改革実行を牽引する「三つの誓い改革推進部」と、コンプライアンスなどに関する社内横断的な統括管理を推進する「GRC推進部」を設置している。

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人事担当者が評価するコンプライアンス研修

こうしたコンプライアンス違反による問題を未然に防ぐためにも、従業員のコンプライアンス意識を高めることは喫緊の課題である。

従業員のコンプライアンス意識を高める手法の1つとして、コンプライアンス研修がある。
人事専門誌「日本人材ニュース」が人事関係者からのヒアリングによって厳選した、人事担当者が評価するコンプライアンス研修を4つ紹介する。

労務コンプライアンス研修~2024年4月改正に備えて(Labor Field)

Labor Fieldの「労務コンプライアンス研修~2024年4月改正に備えて」では、労務コンプライアンス違反が発生した場合のリスク認識や最近の法改正(労働関連)のキャッチアップを提供する。

【解決したい課題・悩み】
・経営層に労務リスクを意識してもらいたい
・長時間労働やハラスメント等の労務問題が発生しているが、管理部門でフォローするには限界がある
・2024年4月に施行予定の改正法の内容をキャッチアップして、管理に問題がないか確認したい

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労務コンプライアンス研修~2024年4月改正に備えて(Labor Field)

コンプライアンス研修~SDGs時代に求められる前向きなコンプライアンスとは(インソース)

インソースの「コンプライアンス研修~SDGs時代に求められる前向きなコンプライアンスとは」では、法令遵守などの守らなければならないことを理解するコンプライアンス研修ではなく、「目指すべき姿を掲げ、企業価値を上げていくためのコンプライアンスのあり方」を考えるプログラムを提供する。

【解決したい課題・悩み】
・コンプライアンスに対する従業員の受け止め方が後ろ向き。単なる制約としてではなく「進むべき方向」として理解させたい
・SDGsが求められていることは理解できるが、自身の仕事との関連付けが難しい
・コンプライアンスを経営戦略の中にどのように位置付けるかを学び、SDGs実現のための具体的な取り組みを検討したい

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コンプライアンス研修~SDGs時代に求められる前向きなコンプライアンスとは(インソース)

ハラスメント研修(ベリタス・コンサルティング)

ベリタス・コンサルティングの「ハラスメント研修」では、現状や課題をヒアリングして、マッチした研修内容を提案し、一般的な知識インプットではなく、社内で起こり得るハラスメントをケースにより学習する。

【解決したい課題・悩み】
・労働施策総合推進法の義務化に伴い、管理職や社員へどのような教育をすべきなのか相談したい
・管理職がパワハラを不要に恐れて、適切な部下マネジメントができていない
・ハラスメントの問題が起こらない/未然に防止できるような組織にしたい

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ハラスメント研修(ベリタス・コンサルティング)

ひとりずつの認知バイアス調査を踏まえたコンプライアンス・ハラスメント研修(セレクションアンドバリエーション)

セレクションアンドバリエーションの「ひとりずつの認知バイアス調査を踏まえたコンプライアンス・ハラスメント研修」では、個別の無意識の認知バイアス調査から実施し、理論学習とケース実践による研修プログラムを提供する。

【解決したい課題・悩み】
・コンプライアンス意識・行動の浸透・定着
・オールドタイプのマネジメントからの脱却
・ハラスメント課題の具体的解消

▼詳細はこちら
ひとりずつの認知バイアス調査を踏まえたコンプライアンス・ハラスメント研修(セレクションアンドバリエーション)

社内のコンプライアンス意識を高める

従業員のコンプライアンス意識を高めることは、不祥事を未然に防ぐだけでなく、企業価値を高めることにも繋がる。コンプライアンス研修を導入し、全社的にコンプライアンス遵守を徹底することで企業価値を守りたいものである。

日本人材ニュースでは、コンプライアンス・ハラスメント対策を支援する人事コンサルティング会社も紹介している。信頼できるパートナー会社を選定する一助となれば幸いだ。

▼コンプライアンス・ハラスメント対策を支援する人事コンサルティング会社一覧
https://jinzainews.net/jinjiguide/category/030/