矢野経済研究所
(画像=DragonImages/stock.adobe.com)

2030年度のパーソナルミールソリューション市場規模は2,885億円と予測

~少量多品種生産で食材のアップサイクルにも貢献~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のパーソナルミールソリューション市場を調査し、セグメント別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

パーソナルミールソリューションの市場規模予測

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

ライフスタイルが多様化する中で、その中心にある食についてもパーソナライズが進んでいる。フードテック・キッチンテック(フードや調理とテクノロジーを融合させた技術)の進展に伴い、食材の買い出しや調理における利便性を追求するだけでなく、個人の健康状態や嗜好に合わせて食事を最適化することがウェルビーイング(幸福)につながると考えられている。また、DXで食のパーソナライズ(少量多品種生産)を実現することは、フードロスを削減するだけでなく、地域食材や未利用食材の認知度向上や活用にもつながり、地球環境への負荷軽減も期待できる。

パーソナルミールソリューション市場を構成するパーソナライズフード、献立(レシピ)提案アプリ、スマートキッチン家電は、いずれも市場導入期から成長期に向かう段階にあり、参入プレーヤーが少なく、対象となる商品やサービスも限定的ではあるものの、新しいテクノロジーへの関心や社会貢献意識が高いとされる若年層を中心に支持が高まっている。

パーソナライズフード、献立(レシピ)提案アプリ、スマートキッチン家電、フードデリバリーサービスの4市場から構成される、2022年度のパーソナルミールソリューション市場規模は事業者売上高ベースで948億円と推計した。

2.注目トピック

3Dフードプリンターの動向

食品の製造に利用される3Dプリンターは「3Dフードプリンター(3DFP)」と呼ばれ、プリンターのインクに食品素材を用いる。その利点としては、高いデザイン性と安全性(ほとんど人手を介さず、衛生的であること)に加え、食べる人の好みや健康状態に合わせたパーソナライズ(少量多品種生産)が容易であることが挙げられる。また、食品のデザインやレシピを共有して同じ食材を使用する限り、どこで何度プリントしても同じ食品(食事)を安定的に製造することができる。

3DFPは食材をインク(ペースト状)にして利用するという特性から、廃棄(未利用)食材のアップサイクルや代替肉などのサステナブルフードの製造にも活用されるなど、環境負荷の低減に有効な食品製造装置としても注目されている。

3.将来展望

パーソナルミールソリューション市場は、構成する市場の多くが立ち上がって間もないことから現状は市場規模も限定的であるが、コロナ禍を契機として健康への関心がより高まり、ライフスタイルの変化や多様化に後押しされて食のパーソナライズが進んでいる。今後は、献立(レシピ)提案アプリとスマートキッチン家電、生協やネットスーパーなどのフードデリバリーサービスの連携が進み、キッチンテックプラットフォームの構築に向けた動きが加速すると考える。

パーソナルミールソリューションの市場規模は、事業者売上高ベースで2025年度には1,600億円に成長し、2030年度には2,885億円まで拡大すると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2024年1月~3月
2.調査対象: パーソナライズフードメーカー及び販売業者、献立(レシピ)提案アプリサービス事業者、スマートキッチン家電メーカー及び販売業者、フードデリバリーサービス事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング調査、ならびにアンケート調査併用
<パーソナルミールソリューション市場とは>
本調査におけるパーソナルミールソリューション市場は、パーソナライズフード市場、献立(レシピ)提案アプリ市場、スマートキッチン家電市場、フードデリバリーサービス市場の4市場を対象とし、いずれも事業者売上高ベースで算出した。
<パーソナライズフード市場とは>
パーソナライズフードは、ユーザーの趣味・嗜好やライフスタイル、体質、アレルギー、健康状態、改善目標(ダイエットやボディメイク等)などに合わせて、個別最適化した食品や飲料を提案・提供するサービスである。
本調査におけるパーソナライズフード市場は基本的に調理・加工済みで、そのまま食べる(飲む)ことができる(喫食にあたって温める、水を加える等の簡単な作業を必要とするものは含む)ものを対象として、サービス事業者売上高ベースで算出した。なお、ホール(素材のまま)の生鮮食品や調理・加工を必要とする食材、健康食品、ペットフード等は含まない。
<献立(レシピ)提案アプリ市場とは>
献立(レシピ)提案アプリは、AI技術を駆使し、主としてスマートフォンのアプリを活用してユーザーに最適な食事の献立(レシピ)を提案するサービスである。
<スマートキッチン家電市場とは>
スマートキッチン家電市場は、インターネットに接続するキッチン家電(オーブンレンジ、冷蔵庫、IHヒーター等)を対象としている。キッチン家電がインターネットにつながることで、メーカーは家電販売後も機能やサービスを追加・更新することができ、自社のIoT家電やサービスとつながるだけでなく、他社の製品やサービスと連携することも可能。ユーザーは、スマートフォンやタブレット端末からキッチン家電を遠隔操作でき、アプリから気に入ったメニューを調理家電に送信することで自動調理も可能になる。
<フードデリバリーサービス市場とは>
本調査におけるフードデリバリーサービス市場とは、主に高齢者を対象としてカロリー、塩分などを調整した食事を配達する在宅配食サービス、献立に合わせた人数分の食材セット(ミールキット)や調理済み食品を届ける食材(惣菜)宅配、生協(個配)、ネットスーパーを対象として、事業者売上高ベースで算出した。
<市場に含まれる商品・サービス>
パーソナライズフード、献立(レシピ)提案アプリ、スマートキッチン家電、フードデリバリーサービス(在宅配食、食材宅配、生協個配、ネットスーパー)

出典資料について

資料名2024年版 パーソナルミールソリューション市場の展望 ~食のパーソナライズとサステナブルの両立を目指す未来の食卓~
発刊日2024年03月29日
体裁A4 214ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

お問い合わせ先

部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号03-5371-6912
メールアドレスpress@yano.co.jp

©2024 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。