転職者を受け入れる企業が、採用決定時に個人に対して提示する決定年収は年々増加傾向にあり、2019年度から2023年度の5年間で32万円上昇したことが、総合人材サービス会社のパーソルキャリア(東京・千代田、瀬野尾裕社長)がまとめた「2023年度 業種版 決定年収レポート」で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部)
業種別に過去5年間の決定年収の上がり幅を見ると、最も増加したのは62万円増の「金融」業界だった。
この要因についてパーソルキャリアは「年収帯が相対的に高い傾向にある専門人材、40代の採用ニーズの高まりが、金融業界の決定年収の増加につながっている」と分析する。
2023年度と、2022年度の転職成功者のデータをもとに、15の業種別に平均決定年収額を算出すると、上昇幅が最も高かったのは、客足回復が続く「外食」となった。2022年度の決定年収は395万円、2023年度の決定年収は424万円で、その差分は29万円増だった。
次いで顧客争奪戦がより激化し、人材投資への必要性が増す「エネルギー」(17万円増)、2024年問題が差し迫り、就業条件やはたらく環境の見直しを急ぐ「運輸・物流」(12万円増)が続いた。
唯一減少したのは、15位の「旅行・宿泊・レジャー」(6万円減)だった。その要因についてパーソルキャリアは「コロナ禍でニーズが高かったポジションよりもフロント職の急激な需要回復に対応するべく、未経験採用をさらに拡大させた結果、決定年収が下がった」と推測する。
【業種別 決定年収上昇幅】
1位 外食(29万円増)
2位 エネルギー(17万円増)
3位 運輸・物流(12万円増)
4位 商社(11万円増)
5位 コンサルティング・専門事務所・監査法人・税理士法人・リサーチ(10万円増)
6位 金融(9万円増)
6位 建設・プラント・不動産(9万円増)
8位 IT・通信(7万円増)
9位 人材サービス・アウトソーシング・コールセンター(6万円増)
10位 医薬品・医療機器・ライフサイエンス・医療系サービス(5万円増)
11位 インターネット・広告・メディア(3万円増)
12位 メーカー(機械・電気)(2万円増)
12位 メーカー(素材・化学・食品・化粧品・その他)(2万円増)
14位 小売(1万円増)
15位 旅行・宿泊・レジャー (6万円減)
調査は、2019年4月~2024年3月、「doda」のエージェントサービスを利用して転職した個人(正社員)のデータをもとに集計した。