事業承継士は、事業承継を専門に扱うための資格である。相続の問題なら司法書士、節税対策なら税理士など、個別の問題について相談できる専門家はいても、事業承継のプロセス全体を扱うことができる専門家が不足していたことから、2015年に民間団体によって創設された。この記事では、事業承継士とは何か、また事業承継士に依頼すべきかについて詳しく見ていこう。
目次
事業承継士とは?
近年、中小企業においてもM&Aが盛んに行われるようになってきた。「事業承継士」と呼ばれる資格について聞いたことがある人もいるのではないだろうか。事業承継士の認定団体である一般社団法人事業承継協会は、事業承継士を以下のように説明している。
事業承継とは、会社の理念/儲かる仕組み/独自のノウハウ/企業文化を承継し、後継者による更なる成長を図ることです。事業承継士は、これらの諸問題を総合的に解決することのできる唯一の資格です。「社長個人の相続」と「会社の事業承継」の両方の分野を融合させたものであり、単なる相続対策、節税対策にとどまらず、弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士といったそれぞれの専門家をコーディネートする立場にあり、個別最適ではなく全体最適を目指して支援することができます。
出典:一般社団法人 事業承継協会
近年の新型コロナウイルス感染症の影響により休業を余儀なくされた企業が、これをきっかけに廃業するケースも多い。帝国データバンクの調査による全国企業「休廃業・解散」動向調査(2021 年)においても、政府の雇用調整助成金や持続化給付金などの経済支援策により倒産、休業・廃業の件数は大きく抑制されたものの、2021年に全国で休業・廃業、解散を行った企業は5万4,709件発生していることが報告されている。
新型コロナウイルス感染症による影響もさることながら、特に中小企業においては、財務内容やキャッシュ・フローに余力を残しているにもかかわらず、事業承継の時期が到来しても後継者がいないために休業・廃業を余儀なくされるケースも多い。団塊世代が引退する時期を迎えたため、近年の日本では事業承継が火急の課題となっており、中小企業庁や各自治体、金融機関なども、本腰を入れて事業承継の取り組みを始めている。
しかし、日本がかつて経験したことがない、膨大な数の事業承継案件を前にして、事業承継を扱うことができる専門家が圧倒的に不足していることが明らかになった。その不足を補うことを目的に、事業承継の専門家集団により創設された民間資格が事業承継士である。
企業の休業・廃業は、何も経営状態が悪いからという理由だけで起こるものではない。なかには、技術やノウハウを有しており経営状態に問題がないにもかかわらず後継者不在のために廃業する企業もあるのだ。企業経営においては、状況によって現在問題となっていない企業の課題が将来顕在化することがある。このような目に見えない課題まで予想して、企業の資産、名義、権利や義務、ノウハウ等を整理して企業の価値を測ることができなければ、事業承継を円滑に行うことはできない。
事業承継士は、このような企業が事業承継を契機に衰退するリスクを軽減・防止するだけの知識と経験を有する資格者である。弁護士・公認会計士・税理士・中小企業診断士などの専門家と連携をしつつ、最適な事業承継をコーディネートできる専門家といってよいだろう。
以下で詳しく解説するが、事業承継士になるためには、中小企業診断士や税理士、公認会計士、弁護士などの資格をすでに取得していることが求められる。その上で30時間におよぶ講座を受講し、認定試験に合格しなければならない。3年ごとの資格更新時は、セミナーや研修を受講する必要もある。
事業承継士の資格を取得するプロセスでは、他の士業など、事業承継に関するさまざまな専門家と知り合いになれるような配慮がなされている。事業承継士は、事業承継についての知識だけでなく、人的ネットワークも有することが求められるのだ。「事業承継についての相談を誰にしたらいいか」と悩んでいる場合、事業承継士は有力候補になるだろう。
認定団体『事業承継協会』設立まで
事業承継士の認定団体である一般社団法人事業承継協会の代表理事は、内藤博氏だ。内藤氏は、中小企業診断士としてキャリアをスタート。事業承継のエキスパートとして経験を積み、専門家集団である事業承継センター株式会社を設立。さらに、専門家の養成を行うために一般社団法人事業承継協会も設立している。
中小企業診断士として事業承継の専門家に
出版社に勤務していた内藤氏は40歳で独立を決意し、42歳で中小企業診断士に合格、出版社の取締役を経て49歳に独立した。自身が祖父の事業を承継できなかった経験から、事業承継を専門とすることを決め、金融機関の事業承継担当としてキャリアをスタート。東京商工会議所の事業承継専門家も務め、1,000件を超える事業承継の相談に対応している。
事業承継センター株式会社を設立
数年間個人として活動していた内藤氏は、東日本大震災をきっかけに「ノウハウなどの目に見えない財産をしっかり残していかなければならない」と痛感。同じ思いをもった専門家が集まって、経営者の相談相手になることや、後継者の育成支援を目的として事業承継センター株式会社を設立し、代表取締役社長に就任する。
一般社団法人 事業承継協会を設立
さらに、事業承継を支援する専門家の養成を目的として一般社団法人事業承継協会を設立し、認定資格として事業承継士を創設した。創設された2015年から3年間で、資格取得者は300人以上になった。内藤氏は自身の事業承継も行い、事業承継センター株式会社の社長に若い世代を抜擢し、一般社団法人事業承継協会の代表理事に専念することになっている。
事業承継士の資格を取得するための要件
事業承継士の資格を取得するための要件は、以下の通りだ。
・一定の資格をすでに取得しているまたは同等の知識と能力があると判断されること
・30時間の講座を受講すること
・認定試験に合格すること
・一般社団法人事業承継協会へ入会すること
「一定の資格をすでに取得しているまたは同等の知識と能力があると判断されること」が要件となっていることから、誰もが簡単に取得できる資格ではないことがわかる。
要件1 一定の資格をすでに取得していること
事業承継士の資格を取得するためには、原則として以下の資格をすでに取得している必要がある。
中小企業診断士、税理士、公認会計士、弁護士、司法書士、社会保険労務士、行政書士、土地家屋調査士、一級建築士、不動産鑑定士、宅地建物取引士、ファイナンシャル・プランニング技能士など
要件2 30時間の講座を受講すること
事業承継士の資格取得にあたっては、30時間におよぶ以下の講座の75%以上に出席しなければならない。
・事業承継士とは何か?(1.5時間)
・事業承継概論(2時間)
・ヒアリング・状況分析・課題発見・解決策の提示(3.5時間)
・株式と経営権/財産権(2時間)
・社長個人としての相続&争族防止(2時間)
・後継者にまつわるあれこれ(2時間)
・会社を強くする技術伝承(1時間)
・後継者のための労務管理(1時間)
・保険/オペレーティング・リースを駆使した事業承継(2時間)
・実践に基づくケーススタディ①~③(7時間)
・中小企業経営承継円滑化法の解説(2時間)
・事業用資産としての土地/建物対策(2時間)
・信託の最新事業(2時間)
出典:事業承継センター
講座の内容は、事業承継センター株式会社が10年にわたってコンサルティングを行った、2,000件以上の案件によって培われたノウハウが盛り込まれているという。また講座に出席することで、同席しているさまざまな専門家と知り合い、実際にコンサルティングを行う際にチームを作りやすくなるよう配慮されている。
要件3 認定試験に合格すること
上記の講座に75%以上出席すると、事業承継士認定試験の受験資格が得られる。講座で使用したテキストが試験範囲となり、出題形式は択一式と記述式の混合形式だ。60点以上の得点をもって合格となる。
要件4 事業承継協会へ入会すること
一般社団法人 事業承継協会への入会をもって、事業承継士の資格取得が認定される。入会にあたっては、倫理規定や懲罰基準、資格要件などに照らして審査が行われる。協会に入会することで、研修や機関紙・Webサイト、メルマガなどで最新情報が提供され、Facebookグループによる会員同士の交流促進が行われる。
事業承継士の資格を更新するための要件
事業承継士の資格は、3年ごとに更新が必要だ。更新にあたっては以下を行い、計30単位を取得しなければならない。
・事業承継センター株式会社が主催、共催、後援、するセミナー・研修等に出席すること(1~2単位)
・事業承継センター株式会社が主催、共催、後援、するセミナー・研修等で講師または講師補助をすること(2単位)
・一般社団法人事業承継協会が発刊する「ツナグ」誌上に掲載されている継続研修問題を解いて合格すること(2単位)
・事業承継士としてセミナー講師を務めること(単独開催、各機関との共同開催を含む)(1~10単位)
・事業承継に関するコンサルティングを行うこと(1社あたり1~10単位)
など
出典:一般社団法人 事業承継協会
事業承継士の他の資格と異なる特徴
国家資格・民間資格を含め、現在はさまざまな資格があるが、事業承継士の資格にはどのような特徴があるのだろうか。
1. 事業承継に特化した資格である
事業承継士の最大の特徴は、事業承継に特化した資格であることだ。これまでは、事業承継にまつわる相続や節税など、個別の問題を解決する専門家はいたが、事業承継全体についての専門家はいなかった。
そのため、事業承継士が創設されたのだ。
2. 事業承継についての実践的な知識を継続的に学んでいる
事業承継に関連する実践的な知識を継続的に学んでいることも、事業承継士の特徴といえるだろう。資格取得のための講座では、事業承継の実例が取り上げられる。また、会員専用のWebページからは、実際の事業承継現場で使用されたさまざまな資料や提案書、診断書などをダウンロードして使用することができる。
さらに、資格取得後の更新に際しても、研修への参加などによる単位取得が求められる。これらによって、事業承継に関する知識を最新のものにアップデートすることができる仕組みになっているのだ。
3. 他の士業など専門家とのネットワークを構築することができる
他の士業などの専門家とのネットワークを構築できることも、事業承継士の特徴といえるだろう。事業承継にはさまざまな問題が含まれるため、コンサルティングを行う際にはさまざまな専門家と協力し、チームで対応する場面が多くなる。そのチームは、事業承継士が編成する。したがって他の士業などとの人的ネットワークは、事業承継士の活動に不可欠なのだ。
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事業承継プランナーとの違いは?
事業承継士は、企業の事業承継に関するさまざまな問題を総合的に解決する唯一の資格である。事業承継士の他にも「事業承継プランナー」と呼ばれる資格があることはご存じだろうか。ここでは、事業承継士と事業承継プランナーの違いを解説していく。
事業承継プランナーとは
事業承継を進めるにはさまざまな準備が必要となるため、準備に10年程度を要することも珍しくない。一見問題がないような事業承継でも潜在的な課題を抱えていることも多いのだ。そのため事業承継を進めるには、余裕をもって準備を進めていかなければならない。事業承継プランナーは、こうした企業の抱えるさまざまな課題を発見して、一次判断として課題の整理と専門性の判断をする役割を果たしている。
課題の本質をとらえ、課題解決のために最適な専門性を持つ事業承継士へつなぐいわばトスアップ機能を持つのが事業承継プランナーだ。当然、事業承継プランナーは、事業承継全般に関する専門的な知識を有していなければ務まらない。そのため必要な講習を受講し試験に合格しなければ事業承継プランナーの資格を取得することはできないのだ。
ファーストコンタクターとして顧客との最初の接点を持ち個人から会社経営に関することまで幅広い相談に乗ることができなければ事業承継プランナーとしての役割を果たすことは難しいだろう。
事業承継士と事業承継プランナーとの違い
事業承継士と事業承継プランナーのどちらも事業承継に特化した資格だ。事業承継全体についての専門家に変わりはないがその役割には違いがある。
・事業承継士:事業承継にかかわるさまざまな問題を総合的に解決する役割を果たす
・事業承継プランナー:ファーストコンタクターとして顧客との最初の接点を持ち、一次判断を行い課題解決のために最適な事業承継士へつなぐ役割を果たす
事業承継プランナーが経営者の悩みを聞きながら課題を発見して事業承継のニーズや目的を喚起し、事業承継士が実務的な諸問題を解決していくと考えるとわかりやすい。そのため事業承継プランナーは、状況に応じて経営者に寄り添ったり、後継者の見方になったりすることが必要だ。個人的な悩みや会社の悩み、家族の悩みなどあらゆる相談に乗って本質を見抜き、それぞれの心理を読み解き中立公正な立場から提言することが求められる。
事業承継プランナーになるためのステップ
事業承継プランナーの資格を取得するための要件は、以下の通りだ。
・全24章からなるカリキュラムの講座を受講すること
・認定試験に合格すること
・一般社団法人事業承継協会へ入会すること
事業承継プランナーになるには、全24章からなるWEB型または教室型の取得講座受講が必要だ。遅刻早退は、1時間以内といった条件がある。講座の受講は、認定試験を受験する要件となっており、合格には60点以上の得点が必要。中小企業診断士、税理士などの一定の資格があることは条件となっていない。また受講料が5万5,000円と事業承継士(33万円)と比較して大幅に費用が抑えられているのが特徴だ。
これらを踏まえると実務に役立つ資格として受験しやすい資格といえるだろう。また一般社団法人事業承継協会へ入会する要件は、事業承継士と同様だ。入会金5,500円、年会費5,500円と入会金と年会費は事業承継士の半分となっている。
事業承継士を取得するメリット
事業承継士を取得する主なメリットは、以下の3つ。
・事業承継士を名乗ることで専門性をアピールできる
・法律・制度・税務などの最新情報、活動に必要な最新ツールが手に入る
・仕事の紹介、講師の紹介により仕事が増える
事業承継士を名乗ることで専門性をアピールできる
事業承継士は、事業承継全体の専門家としての資格であり、広くその専門性をアピールできる。資格取得時の講習や試験だけではなく3年ごとの更新時の単位取得に必要な講習や実務経験を積むことで、身につけた知識や経験もさまざまな分野で役立つことだろう。事業承継士の分野は、税務、会計、相続、財務、会社法など多岐にわたる。個人のスキルが上がれば、個人のみならず勤務している会社の評価もアップすることが期待できるだろう。
また認められた方法であればロゴのデザインを名刺や会社案内に印刷することや、ホームページへの掲載することも可能であり、事業承継士を名乗ることで得られるメリットは大きい。
法律・制度・税務などの最新情報、活動に必要な最新ツールが手に入る
一般社団法人事業承継協会や事業承継センター株式会社が主催するセミナーおよび研修会に会員価格で参加することが可能だ。協会の会員である特典を活かすことで法律・制度・税務などの最新情報を得ることができる。コンサルタントの業務に携わる者にとって、法改正や新制度の創設など最新情報を得ることは、一般の会社の商品や原材料の「仕入れ」に該当するともいえるため、極めて重要だ。
また事業承継士資格講座で配布された資料は、ワードやエクセルなどのファイルで加工して使用できるため、実務に役立つツールが手に入り仕事に活かすことができる。補助ツールとして会員価格で購入できる「事業承継ガイドブック」も有効に使うことができるだろう。
仕事の紹介、講師の紹介により仕事が増える
事業承継士の資格取得後においても事業承継センター株式会社が主催、共催、後援するセミナー・研修などに参加して更新時に必要な単位を取得することが必要だ。事業承継に関連する実践的な知識を継続的に学び、アップデートできる仕組みになっている。そのため一般社団法人事業承継協会が培ったノウハウを活用すれば、依頼者との信頼関係を築くことが期待できるだろう。依頼者からの口コミで仕事の紹介や講師の紹介につながることも多い。
また事業承継には、さまざまな分野がかかわるため、コンサルティングを通じて多くの専門家と協力体制が構築できる。他の士業などとの人的ネットワークができれば仕事の紹介をされることもあるだろう。さらに事業承継センター株式会社から仕事を紹介されたり講師として声をかけられたりすることもある。
事業承継士取得にかかる費用
事業承継士の資格取得には、次のような費用がかかる。
項目 | 費用(すべて税込み) |
---|---|
事業承継士資格取得講座 | 33万円 ※受講料には、教材費3万3,000円のほか、資格取得後も実務に役立つ「事業承継ノート」2,200円、「後継者ノート」1,980円、「仕事の手仕舞いノート」1,650円、「事業承継と保険のはなし」880円相当の費用が含まれている |
認定試験受講料 | 9,900円 |
入会金 | 1万1,000円 |
年会費 | 1万1,000円 |
この他にも3年ごとに資格を更新する必要があり、その際には更新料が5,500円かかる。また事業承継センター株式会社が主催するセミナーや研修会に参加すると参加費用が別途必要となるが、会員価格で参加できるので有効に活用したい。協会の会員となることで次のようなサポートを受けることができるのも魅力だ。
・継続研修による法律/制度などの知識のブラッシュアップ
・機関誌『ツナグ』による事例・業界情報の提供
・メルマガやWEBサイト・Facebookページによる旬な情報提供
・各種メディアにおける、執筆機会の提供(但し適正/能力による選別あり)
・Facebookグループ、LINEによる会員の交流促進
・クライアント後継者に対する学びと交流の機会(後継者塾・後継者クラブ)の提供(別途有償)
出典:事業承継センター|事業承継資格取得講座
事業承継士資格取得講座の無料説明会が開催されており、オンラインを利用したWEBガイダンスも行っているので、気になる人は以下のサイトを参照されたい。
事業承継士の難易度
事業承継士は、前述した通り協会が認めた一定の国家資格の取得もしくはそれと同等の知識と能力があると認められる者に限られる。つまり非常に幅広い領域の知識が必要となるため、事業承継コンサルティングと相性の良い実務的な資格に限られ、資格取得には基礎的な知識と能力が必須だ。合格点は60点以上で幅広い領域から出題されることを考えると決して難易度が低い試験ではない。
しかし受験対象者は、すでに難易度の高い国家資格を取得した人たちだけのため、事業承継士の試験自体の難易度が高いわけではない。認定試験の出題範囲は、資格取得講座で使用したテキストやその関連する内容から出題される。そのため資格取得講座をしっかりと受講して復習しておけば問題はないだろう。
M&Aを考える人が事業承継士に相談するメリット
ここまで事業承継士について解説してきた。では、M&Aを考える人が事業承継士へ相談するメリットはどのようなものがあるだろうか。事業承継では、経営者の理念、伝統、文化などの抽象的なもの、精神的なものまで含めて受け継ぐことになる。つまり目に見えるお金や不動産などの財産だけではなく特許などの知的財産やその事業のノウハウ、取引先との関係なども含めて引き継ぐことになるのだ。
後継者不足で悩む経営者が多い現代、永年培った中小企業ならではの技術とノウハウから好成績を残している企業もある。しかしこのまま後継者不足や後継者育成の問題で廃業するのは経営者だけでなくわが国にとっても残念な話である。このように後継者難を理由に事業の継続を断念するべきか悩む経営者は少なくない。そのためM&Aによる事業譲渡や会社の売却により企業価値を承継し経営者に資金を残す事業承継の方法は、メリットがあるのだ。
もちろん事業承継士として後継者の育成に悩む経営者やM&Aを検討している経営者へアドバイスをすることで円滑に後継者へ事業を引き継ぐことも可能である。事業承継に関する問題を解決することができれば経営コンサルタントとして事業承継が終了した後も良好な関係を築くことができるだろう。事業承継士は、個別の問題を解決するだけではなく全体最善を目指して支援することが目的の専門家なのである。
事業承継士にコンサルを依頼すべきか?
事業承継士は、事業承継に特化した資格である。一定の資格を保持していることが事業承継士の資格取得の要件となっており、誰もが簡単に取得できるものではない。
また事業承継士は、資格取得時や更新時に行われる講座や研修などを通して、実践的かつ最新の知識を習得し、他の士業などとの人的ネットワークを構築できるようになっている。
「事業承継をしなければならないが、誰に相談すればいいのだろう…」と悩んでいる人は、少なくないはずだ。その場合は、事業承継士に相談することをおすすめする。
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文・THE OWNER編集部