2024年度に正社員の採用予定がある企業は61.5%となり、3年ぶりに前年を下回ったことが、帝国データバンクの「2024年度の雇用動向に関する企業の意識調査」で明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

2024年度正社員の「採用予定がある」企業は61.5%、「2024年問題」が懸念されている「運輸・倉庫」が69.7%と最も高い

2024年度(2024年4月~2025年3月入社)の正社員の採用状況について聞くと、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と考えている企業は、前回調査(2023年2月実施)から1.5ポイント減の61.5%となった。3年連続で6割を超えたものの、3年ぶりに前年を下回った。

また、採用予定がある企業の内訳は、採用人数が「増加する」企業が同2.0ポイント減の23.7%だった一方、「減少する」企業は同1.5ポイント増の8.6%となり、雇用動向は前年度までの勢いがやや鈍化した。

【正社員の雇用動向】
採用予定がある 61.5%(前年63.0%)
  増加する  23.7%(同25.7%)
  変わらない 29.2%(同30.3%)
  減少する   8.6%(同7.1%)
採用予定はない 27.0%(同26.1%)
分からない   11.5%(同10.9%)

規模別に正社員の「採用予定がある」割合をみると、「大企業」は84.9%と全体(61.5%)を大幅に上回った。一方、「中小企業」は57.5%、うち「小規模企業」は39.9%となり、企業規模が小さいほど割合が低くなる傾向がみられる。

【規模別 正社員の「採用予定がある」割合】
大企業   84.9%
中小企業  57.5%
小規模企業 39.9%

業界別に正社員の「採用予定がある」割合をみると、「2024年問題」が懸念されている「運輸・倉庫」が69.7%で最も高く、同様に人手不足が深刻化している「建設」のほか、「サービス」(ともに66.6%)も7割近くで続いた。

【業界別 正社員の「採用予定がある」割合】
農・林・水産 57.8%
金融    65.9%
建設    66.6%
不動産   40.8%
製造    65.3%
卸売    55.7%
小売    50.5%
運輸・倉庫 69.7%
サービス  66.6%

非正社員の採用状況について聞くと、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)企業は45.9%(前年度比1.4ポイント減)と3年ぶりに低下した。

経年の変化について帝国データでは「コロナ前の2018年度に52.4%の高い水準にあったが、2021年度には36.8%にまで低下した。その後は需要の回復とともに上向いてきたが、ここにきてペースダウンした」と指摘する。

一方、「採用予定はない」企業は同1.2ポイント増の40.4%となり、2年ぶりに4割を超えた。

【非正社員の雇用動向】
採用予定がある 45.9%(前年47.3%)
  増加する  11.9%(同13.4%)
  変わらない 28.3%(同28.5%)
  減少する   5.7%(同5.4%)
採用予定はない 40.4%(同39.2%)
分からない   13.7%(同13.5%)

将来的な労働力不足に対して多様な人材の活躍が期待されるなか、今後の「外国人」「高齢者」「女性」「障害者」の「採用予定がある」割合をみると、「女性」は72.6%で最も高く、「高齢者」が50.2%で続いた。

また、「採用を拡大」企業についても「女性」(19.4%)が最も高かった。一方、「外国人」(16.7%)と「障害者」(13.8%)の割合は「高齢者」(10.9%)を上回る結果となり、特に「外国人」は「採用を拡大」する企業の割合が「変わらない」を上回っている。

【人材別「採用予定がある」割合】
女性  72.6%(うち「採用を拡大」19.4%)
高齢者 50.2%(同10.9%)
外国人 31.6%(同16.7%)
障害者 30.4%(同13.8%)

調査は、2024年2月15日~29日、全国の2万7443社を対象に実施し、1万1267社の有効回答を得た。

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