〈平和堂・一般食品事業部日配品課バイヤー簗脇裕信氏インタビュー〉

平和堂 簗脇裕信氏
(画像=平和堂 簗脇裕信氏)

――今期(24年2月期)の冷食の販売状況上期は1.3%増で着地、下期は約2%増で推移している。

上期は値上げの影響による数量の苦戦に加え、卵不足によるチャーハンなどの米飯、お好み焼、今川焼などの供給がままならなかったことで売り上げが思うように伸びなかった。特にお好み焼きなどの和風スナック類は、一昨年の同時期に特売をしていたこともあり、大きく減少した。

カテゴリー別では、パスタ類は約11%増、凍菜類は約3%増、フルーツ類は約5%減、弁当おかず類は前年並み、ハンバーグ、からあげなどの畜産類は約5%増、韓国などのアジアン系を含む中華は前年並み、ラーメンなどの調理めんは約11%増、人気のワンプレート系を含むミールキットは約25%増、冷凍パンや冷凍スイーツを含む洋風スナックは約10%増、お好み焼や今川焼などの和風スナックは約10%減となっている。

おおむね好調だったが、下期はフルーツ類の一部SKUを復活させたことに加え、値上げも浸透、大容量のブルーベリーの動きも良く5%増に持ち直している。和風スナックは先述の通りで、こちらも下期は5%増と、上期で前年割れしたカテゴリーも通期では前年並みの着地を見込む。

――注力カテゴリーは

和風スナックの特売が打てなかった代わりに、パスタや調理めんで特売を組んだ。パスタ類ではくらしモアのPBや、オーマイプレミアムなどトレー付きの商品が好評だった。

調理めんではキンレイの商品は軒並み約10%増と好調。下期に入ってからは、ニチレイフーズの「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」が非常に好評だ。マルハニチロの定番品「新中華街 五目あんかけ焼そば」の売り上げに影響が出ると懸念していたが、相乗効果により売り上げが落ちることはなかった。

またメディアの影響も大きい。動画配信で「冷食を食べてみた」企画などがあると、予想もしない動きを見せることがある。

このほか、ニップンがけん引しているワンプレート商品の人気は高まる一方で、売場のリーチインの扉一枚分拡大させた。当社のPB「平和堂こだわりE‐WA!」にもニップンに協力いただき「EWA!おかずワンプレート」として3品を開発した。

NB品はご飯やめんとメイン、PBではメインとサイド2品で構成している。主食となるご飯やめんを付けない代わりにNBよりも手に取りやすい価格帯で展開した。お客様の用途に合わせて選んでもらえるため、どちらも伸長している。

――来期の取り組みは

ドラッグストアでの冷食の特売などをチェックすると、まだまだ価格対抗していかなくてはいけないと感じる。価格感度はシビアになっており、お客様の中には値上げ前の特売価格も覚えている人もいる。注力カテゴリーは来期も大きく変えず、売上上位の人気商品で特売を組んでいきたい。

昨年リニューアルした「ビバシティ彦根」などの大型店は冷食売場を広くとれるため、ちょっといいものやチャレンジ商品などを展開し、同規模の店に横展開していきたい。一方、小型店では定番品を中心に展開し、お客様の求める必要なものをしっかり揃えていく。

商品施策としては、他店との差別化を図るため、PB「おかずワンプレート」の新商品開発も進めている。NB品と被らないジャンルの商品を開発して品数を増やしていきたい。

このほか、滋賀県産原料を使った冷食の開発も進めている。今後も「平和堂らしさ」のある商品を提供していきたい。

〈冷食日報2024年3月1日付〉