サントリー食品インターナショナルは、3月12日からサントリー緑茶「伊右衛門」(600mlPET他)の味わい・パッケージを大きく刷新し、全国で発売する。本体史上、最高レベルの濃さが特徴だ。2004年3月の発売以来、今年20周年を迎えるロングセラーブランドの新たな取り組みだ。
2月29日に都内で開かれた発表会には、3月9日から放映される「伊右衛門」新CMに出演する堺雅人さんと古川琴音さんが出席した。堺さんは新「伊右衛門」を飲んで、「濃くなったとは聞いていたが、甘さと風味がしっかり感じられた。ペットボトルのお茶とは思えない」と感想を語った。
今回リニューアルする背景には、清涼飲料市場で緑茶飲料はゴクゴク飲めるすっきりした味わいが主流になり、単なる喉を潤すためのペットボトル茶のひとつになって、緑茶の価値が希薄化してしまったことがあるという。
サントリーの「伊右衛門」(本体)も2020年以降の伸長基調から一転、2023年は過去最低の実績になったという。そこで、新商品は既存品に比べて茶葉量を1.5倍にして茶葉の味わいをしっかり感じられる中味にし、旨み抹茶を3倍にすることでなめらかなコクを感じる味わいへ変更したという。
サントリー食品の多田誠司ブランド開発事業部部長は、リニューアルについて次のように話す。「社内からは大きな潮流であるゴクゴクすっきり飲める味わいではなく、濃さに振り切って大丈夫かという声があった。しかし、引き続き物価高が継続している現在、安さや量などに需要が流れる傾向がある一方、わかりやすい質の良さを求める消費傾向も見て取れた」
「濃い味わいのニーズの高まりは、そのひとつのわかりやすい納得感だと思う。今回の濃い伊右衛門の戦略の後押しをしてくれる潮流だと考えている。一度飲めば違いが分かる、濃くて旨い新しい伊右衛門。今できるわれわれの最高傑作だ」
また、緑茶飲料市場の動向については、「各社とも切磋琢磨して技術開発が進んでいるので、市場は微増が続くだろう。ただ、プレーヤーが多いこともあり、今後の成長は今年の結果次第だと考えている」とした。
「伊右衛門」のコミュニケーションは、テレビCMを大刷新するとともに、店舗のバックヤードでの試飲会や店頭づくりに注力するという。発売前のサンプリングは50万本以上を配布する予定としている。