抹茶YouTuberが人生をかけて伝える日本のお茶文化
金子千記(かねこちふみ)さんは、抹茶YouTuberとして、抹茶が身近になるヒントや情報をお届けする『みんちゃんねる』を運営しています。また、抹茶カフェスタッフ、抹茶シェイカー販売、全国各地での抹茶イベントの開催など、多岐にわたって活躍しています。抹茶を身近なものとして広める金子さんに、現在の活動に至った経緯や、今後の展望を伺いました。

抹茶好きが高じてYouTuberに転身

抹茶YouTuberが人生をかけて伝える日本のお茶文化

私は高校の時から抹茶スイーツや、抹茶ラテが大好きでした。ハマりすぎて抹茶と名のつくものは値段も見ずに買ってしまうほどです。専門学校時代はお昼ご飯を食べずに、ランチ代を抹茶アイテムに充てていました。

卒業後は、イベント制作事業に携わったのですが、仕事上、ミュージシャンやスポーツ選手と関わる機会が多く、YouTubeを活用することを推奨してきました。しかし、実際には私自身が、YouTubeについて深い知識を持っていないことに気づいたのです。

自分が詳しくないものを人に勧めるのは良くないと思い、実際に自分でYouTubeチャンネルを開設して運用してみることに。チャンネルのテーマをどうするか悩んでいた時、多くの人から「金子さんといえば抹茶だよね」という声をいただきました。それから抹茶をテーマにしたYouTubeチャンネルの配信を始めました。

せっかくYouTubeをやるなら、仕事につなげたいと当初から考えていました。抹茶のYouTubeチャンネルを、人生で大事にできるものにしないと継続する意味がありません。そこで、イベント制作事業から離れて、お茶関係の仕事だけに専念することに決めました。私の残りの人生を抹茶に捧げようと決意したのです。

抹茶にまつわる商品開発やイベントを企画

抹茶YouTuberが人生をかけて伝える日本のお茶文化

『抹茶』と『緑茶』は似て非なるものです。緑茶は茶葉にお湯を注いで抽出しますが、抹茶は茶葉を粉砕して粉状にしたものなので、お茶の栄養素を丸ごと摂取できるんです。

現在は、抹茶がコーヒーやお味噌汁のように、生活と密着した存在になってほしいという思いで活動しています。具体的には、抹茶を手軽に楽しめるように『抹茶シェイカー』を販売しています。このシェイカーに抹茶と水を入れ、振るだけで簡単に抹茶をつくることができます。

また、日本全国でさまざまな抹茶イベントを開催しています。茶道の先生による本格的なものから、気軽に抹茶を楽しむことができるものまで多岐にわたります。抹茶が専門店でしか楽しめないという既存のイメージを変え、手軽に楽しめるものだということを伝えていきたいです。他にも、お茶専門店のコンサルティングや、お茶カフェのプロデュースなども行っております。

活動を続けていくうちに、品質が高い日本の抹茶を守り続けるためには多くの課題があることがわかりました。たとえば、海外で模倣されて類似品が出回っていたり、お茶を飲む人が減って価格が下がったり、お茶農家の数も減ってきています。

海外では、お寿司やラーメンと並ぶ日本文化の象徴として『Matcha』が広く認識されています。『Matcha』と聞けば多くの人が日本を連想し、実際に日本産の抹茶が高く評価されてます。だからこそ、日本の抹茶の生産を後世にもしっかり残し、より多くの人に親しんでもらうため、抹茶をもっと身近な存在に変えたいと考えています。

『セントパトリックスデー』をメジャーなイベントにする

抹茶YouTuberが人生をかけて伝える日本のお茶文化

日本ではまだあまり知られていませんが、毎年3月17日は『セントパトリックスデー』というお祭りが世界各国で行われています。アイルランドで生まれたお祭りで、クリスマスに似たイメージですね。

この日はみんなが緑色の服を着て、緑色のものを食べ、街中の装飾も緑色、川にも緑色の染料を流して、すべてが緑色に染まります。欧米ではとても盛り上がっていて、国をあげてパレードが行われているくらいです。

日本でも各地で『セントパトリックスデー』のパレードが開催されていますが、まだ十分な認知を得られていないのが現状です。私はこの日をさらに盛り上げ、緑色の飲み物の代表である抹茶の普及を目指しています。そのために、2年前から抹茶シェイカーを製造する企業と協力し、抹茶を使用したビールやドリンクを提案しています。

緑色をテーマにした商品やキャラクターを扱うメーカーにとっては、絶好のチャンスになると思います。目標は、日本のカレンダーに記載されるほどに『セントパトリックスデー』を流行らせ、クリスマスに匹敵するメジャーなイベントに育て上げることです。

また、お茶農家を目指す人々を増やし、お茶づくりへの関心を高めることも重要な目標のひとつ。現状では、お茶農家の事業が親から子へと受け継がれるケースが多いのですが、親族でなくても参入できるように、法人化を含むさまざまな対策ができればと思います。お茶づくりに携わっている方と手を組んで、お茶農家の人材確保を進めていきます。