2023年に首都圏から転出した企業が347社、転入した企業は310社となったことが、帝国データバンクの「首都圏・本社移転動向調査(2023年)」によって明らかとなった。(文:日本人材ニュース編集部

首都圏企業「転出超過」となるも、首都圏回帰の動き強まる

2023年に首都圏から地方へ本社を移転(転出)した企業は、年間で347社に上った。22年(335社)に比べて12社(3.6%)の増加となったほか、1990年以降で2番目の高水準を記録した。

また、1990年以降で初めて3年連続で年間300社を超え、首都圏から地方へと本社を移転する流れが続いた。

地方から首都圏へ本社を移転(転入)した企業は、年間で310社に上った。前年(2022年・258社)に比べて52社(20.2%)の増加となり、増加率は2003年(21.5%増)に次ぐ3番目の高さとなった。地方の成長企業などを中心に首都圏へ本社を移す動きが強まった。

この結果、転出企業数から転入企業数を差し引いた「転出超過社数」は前年比 51.9%減となる37社で、3年連続の転出超過となった。首都圏で3年連続の転出超過となるのは、13年連続だった1990-2002年以来21年ぶりとなったほか、転出超過の規模は過去20年で2番目に大きい水準だった。

近況について帝国データバンクでは「地方へ転出する企業数は高い水準を維持しているものの、首都圏の企業吸引力が急回復したことを背景に、地方中堅企業を中心とした“首都圏一極集中”の動きが再び活発化した」と分析する。

首都圏から地方へ転出した企業の業種は、「サービス業」が131社で最も多かった。同業種としては過去最多だった 2021年の156社に次いで2番目の高水準だった。

次いで多い「卸売業」(67社)は前年(50社)から大幅に増加し、家庭向け日用品や食品、機械など幅広い業種で移転が目立った。「卸売業」では、前年から倍増した「運輸・通信業」(15社)と同様に、郊外の大規模な物流センター開設に伴う本社の移転も多く、過去10年では14年(73社)に次ぐ2番目の多さとなった。

一方、「製造業」(54社)と「不動産業」(8社)は前年から大幅に減少し、特に不動産業は過去10年で2番目に少ない水準だった。

2024年の動向について帝国データバンクでは「2024年は新型コロナの5類移行から1年が経過するなど、景況感は順調な回復基調を辿るとみられる。これまでも、景況感の回復局面では商機の創出や、人材の獲得のため首都圏に活動拠点を移す動きが活発化する傾向にある。首都圏へ流入する企業数が高水準で推移する形で、4 年ぶりに首都圏への企業転入が転出を上回る“転入超過”に転じる可能性がある」と指摘した。

参考:帝国データバンク「首都圏・本社移転動向調査(2023年)」

その他の人材採用や人事関連の記事はこちら