食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

〈末端需要は手羽元など安価なアイテムが中心、モモ停滞感つづく〉
1月5日の初市は、日経加重平均でモモ正肉が706円、ムネ正肉が377円でスタートした。モモは第3週目まで700円台を維持していたものの、4週目からは700円を割り、一段安となった。一方、ムネは380円台を付ける日もみられたが、月間を通して概ね370円台での推移と安定した相場展開となった。末端需要は3連休明け以降、消費者の財布の紐が固くなることに加え、1月としては気温が高めに推移したことで鍋物需要も振るわなかったようだ。ただ、牛肉から豚肉や鶏肉に需要がシフトする流れが続くなか、鶏肉のなかでも単価の高いモモは低調、値ごろ感のあるムネや手羽元が堅調とアイテムによって明暗が分かれる結果となった。

1月の月間平均は日経加重平均でモモが701円(前月692円)、ムネが377円(前月同)となり、正肉合計で1,078円(1,069円)となった。前年同月が国内における高病原性鳥インフルエンザによる供給不安感からモモ、ムネともに年間を通じて最高値を付けた反動もあり、前年同月比ではモモ104円安、ムネ45円安と前年価格を大きく下回った。

〈供給見通し〉
日本食鳥協会がまとめたブロイラー生産・処理動向調査によると、2月の生体処理羽数は前年同月比4.5%増、処理重量が同4.4%増とともに4%台の増加を見込んでいる。地区別にみると、北海道・東北地区は羽数4.5%増、重量4.4%増で全国集計値と同様の増加率を見込み、南九州地区も羽数4.6%増、重量5.2%増と前年を上回るとしている。この先、厳しい寒さが続けば増体に影響を及ぼすことも考えられるが、気象庁の予測によると、ことしは西日本、東日本ともに暖冬傾向が継続するとしており、順調な生産が続くものとみられる。

一方、農畜産業振興機構の鶏肉需給予測によると、2月の鶏肉輸入量は前年同月比26.9%増の5万9,800tと6万t近いボリュームに上ると予測している。ブラジルの輸入停止措置解除に伴い、12月には5万tを超える輸入があったことに加え、同月のブラジルの船積み数量も5.5万tに上っており、通関が切られる2~3月の輸入量も比較的多めのボリュームとなることが予想される。

〈需要見通し〉
2月は需要の端境期となることもあり、末端の荷動きは総じて良くはないようだ。さらに、中旬以降、都心でも最高気温が20度近くまで上昇することが予想され、引続き暖冬の影響で鍋物需要も振るわない可能性が高い。こうしたなか、モモは相変わらず停滞感がみられ、ムネもここにきて「一服した感がある」(関東の荷受け筋)との声も。消費者の生活防衛意識が高まるなかで、手羽元は生鮮、冷凍品ともに引合いが強く、2月も安価なアイテム中心の荷動きとなることが予想される。

一方、輸入品は外食需要の回復などから一定の出回り量を維持するものの、前述の通り、2月も多めの輸入量が予想され、これに実需がどこまで追いついてくるかは不透明だ。ただ、相場も下げ基調にあることから、この先、国産との値差が広がれば、輸入品にシフトする可能性も考えられる。

〈価格見通し〉
2月は順調な生産が続くことに加え、需要面では、畜種を問わず食肉全体の消費が芳しくないなかで、鶏肉も需要が好転する材料は少ない。1日の相場は日経加重平均でモモ693円、ムネ374円でスタートした。これからモモは月後半にかけて徐々に下げ基調となることが予想される。そして、ムネはモモに引っ張られる格好でわずかに下げる可能性もあるが、基本的には横ばいで推移するものとみられる。このため、月間平均では日経加重平均でモモが680~690円程度(農水省市況690~700円程度)、ムネが370円程度(380円程度)と予想する。

〈畜産日報2024年2月9日付〉