全国食肉事業協同組合連合会(村上幸春会長)は1月13日、東京都豊島区の武蔵野調理師専門学校で「2023年度食肉惣菜創作発表会ミートデリカコンテスト全国大会」を開いた。
審査の結果、山梨県の自営業、埜村亜希子さんの作品「味噌漬けポークとカリカリほうとうのごちそうサラダ」が最高位の農林水産大臣賞を受賞した。
同大会は、食肉販売店での新しい食肉総菜の開発を目的に、国産食肉を主材料とした新しい総菜のアイデアを一般消費者から募集・競い合うもの。江上栄子審査委員長(江上料理学院院長)ら4人の審査委員から選ばれた優秀作品の中から数点が、総菜の販売や栄養関係の専門家が監修・アレンジをして食肉販売店向けの解説冊子として紹介される。
今年度は全国27道府県から1,415点の応募が寄せられた。大会当日は、各県の予選を勝ち抜いた26人の代表者(16~80歳、1人欠席)が一堂に会し、1時間の持ち時間で計4パックを調理、地元の食材を使用するほか郷土料理をヒントにするなど、それぞれ想像力豊かな作品が披露された。
発表会ではMCを務めたグルメエンターテイナーのフォーリンデブはっしーさんと女優の大島璃乃さんの掛け合いで場を盛り上げ、競技前は緊張の面持ちだった参加者も、発表会・表彰式では安堵した表情を見せ、お互いの健闘を称え合っていた。
埜村さんの作品は、山梨の郷土料理のほうとうをサラダ仕立てにしたメニュー。味噌漬けした豚肉(甲州富士桜ポークを使用)と素揚げした野菜、揚げたほうとうをザクザク混ぜることで、ほうとうのカリカリ感と野菜の甘みを楽しむことができる。発表会で埜村さんは、「ほうとうは私たちの年代でも家庭でつくる機会が少なくなっており、サラダ仕立てにすることで、子どもたちもたくさん食べてくれた。そこからまたほうとうの良さを分かってもらえれば」と説明した。
浜田陽子審査委員(Studio coody 代表取締役・料理研究家)は、「揚げたほうとうはサラダのクルトン感覚でとてもおいしい。豚肉のカタロースのボリューム感と味噌ダレのスパイシーな味わいがマッチしている。そして素揚げした野菜をワインビネガーと白だしで絡めるというひと手間が、豚肉のボリューム感と仲良くなる。こうした料理の勘どころがある良いレシピ」と評価した。
表彰式で江上審査委員長は、「(参加者が考案した)テーマ、お肉、皆さんの優れた知識や技術から生まれた料理がミックスされ、素晴らしい作品が会場に満ち溢れた。大会はこれまで何度も重ねることで進歩し、発展してきた。さらに来年、再来年と重ねることで、皆さんとともに歩みつつ、日本の食肉の需要を広げ、国力増加につなげていくはず」と参加者全員をねぎらった。
その他の受賞は次の通り。
▽農林水産省畜産局長賞=岐阜・水越音葉さん(ポテサラの肉巻き牛力ツ)
▽農畜産業振興機構理事長賞=長野・中澤みずほさん(信州産きのこを使った牛肉のこく旨みそ風味妙め)
▽全国食肉事業協同組合連合会会長賞=島根・増谷来弥さん(チーズ入りササミのミックスナッツみそ田楽)
▽江上栄子審査委員特別賞=佐賀・山﨑月葉さん(スイートチリコチュジャンチキン)
▽中村昌次審査委員特別賞=宮崎・和田湖音さん(新しょうがの甘辛豚バラくるくる巻き)
▽浜田陽子審査委員特別賞=高知・森岡淳さん(高知がいっぱいのナスぎょうざ)
▽きじまりゅうた審査委員特別賞=千葉・横井弘子さん(ゴマでヘルシーなめたけつくね)
〈畜産日報2024年1月16日付〉