株式会社Cellestが目指す「日本のライブコマースインフラ化」とは?その想いに迫る

今回は、株式会社Cellestの代表取締役CEO 佐々木 宏志さんにインタビューさせて頂きました。株式会社Cellestは、日本最大級のライブコマース販売事業「ぞうねこちゃんねる」やライブコマースエージェント事務所「セレスト」を運営しています。

この記事では、ライブコマース市場に参入したきっかけや、事業の魅力、さらに今後の展望に迫ってまいります!

株式会社Cellestが目指す「日本のライブコマースインフラ化」とは?その想いに迫る

ー本日はよろしくお願いいたします。

よろしくお願いいたします。

ーまずはじめに、現在展開されているライブコマース販売事業と、ライブコマースのコンサルティング事業について簡単にお教えください。

2017年よりライブコマース業界に参入し、日本最大級のライブコマース販売事業「ぞうねこちゃんねる」を運営しています。「ぞうねこちゃんねる」ではアパレル、コスメ、食品雑貨など幅広い商品を販売しており、現在はTikTokを中心に配信しています。

また、コンサルティング事業に関しましては、ライブコマーサーの育成やサポート、ライブ配信のプランニング、さらにライブコマース事業の新規立ち上げに取り組む企業様のコンサルティング業務を提供しています。

ぞうねこちゃんねる:

株式会社Cellestが目指す「日本のライブコマースインフラ化」とは?その想いに迫る
ZOUTONEKO
ZOUTONEKO ぞうとねこのライブコマース専用ECサイト
zoutoneko-livecommerce.myshopify.com

ー2017年にライブコマース市場に参入されたとのことですが、佐々木さんのご経歴も含めて起業されたきっかけについて教えてください。

もともと、大学在学中にメルカリで物販をしていました。2017年ごろだったのですがメルカリがライブコマース機能を実装しまして、当時この機能はあまり知られていませんでした。私たちはその機能にいち早く気付き、実際にライブコマースで販売してみたところ、一回の配信で商品が飛ぶように売れました。そこで、ライブコマースビジネスに可能性を感じ始めました。

当時はライブコマースの存在が今よりも知られていなかったと思います。実際に調べてみると中国や韓国、東南アジアでは爆発的に広がっているということを知り、直接目で見たいと思い中国や韓国に視察に行きました。実際に現地に行ってみると、街中にライブコマーサーさんがいて、店舗では10人ほどライブコマーサーさんが配信をしている風景を見ました。

1時間ほどライブ配信を見て実際にいくら売れたかを聞いてみると、1時間で約1億円以上売れたという答えが返ってきて、1人の配信者が1ヶ月に何十億円も売り上げているという世界を知りました。

日本だと、インスタグラマーやYouTuberがいわゆるインフルエンサーとして知られていますが、今後は日本でもライブコマーサーという新しいインフルエンサーが力を持つようになると感じ、ライブコマース事業を本格的に始めました。

ー実際に、中国や韓国に視察に行かれてライブコマーサーの影響力を目の当たりにされたのですね!続いて「ぞうねこちゃんねる」の特徴や強みについてお教えください。

まずは運営・サポート体制が組織化されている点が最も大きな強みです。

日本のライブコマース市場では、主婦の方が1人でライブコマーサーをやっていたり、友人やアルバイトを雇ったりと、比較的小規模で運営しているケースが多いんですよね。

ただ、私たちは会社規模で運営しているので、モノを売るための環境が整っており、ライブコマーサーに対するサポートが手厚い点が特徴です。現在、ライブコマーサー1人につき12人のチームで運営していて、例えば、商品を開拓する営業、商品撮影やクリエイティブを作成するデザイナー、データ分析や企画立案をするマーケター、入出荷の物流担当、カスタマーサポート、配信中のサポーターなど、ライブコマースに必要なチームを作ることで配信者がライブだけに集中できる環境を整えているところが強みです。

株式会社Cellestが目指す「日本のライブコマースインフラ化」とは?その想いに迫る

ーライブ配信を見ていると1人で運営しているイメージがあったので、チーム体制で運営しているのは画期的に感じます。ライブコマース販売事業の他にも、ライブコマースのコンサルティング事業も展開されているとのことですが、こちらもどういったきっかけで始められたのでしょうか?

ライブコマース販売事業をはじめてから、6年間に渡り実績や結果を積み上げてきたので、他のライブコマーサーさんからノウハウを教えてくださいと言われることがよくありました。初めは無償で空いた時間にアドバイスをしていましたが、事業として始めた方が、質の高いコンサルティングができると考え、事業として展開し始めました。

ライブコマースエージェント事務所「セレスト」:

株式会社Cellestが目指す「日本のライブコマースインフラ化」とは?その想いに迫る
株式会社セレスト – 日本初ライブコマースのエージェント事務所
cellest.jp

ーなるほど。日本でライブコマース市場が大きくなる上で必要になってくる事業ですね。「ぞうねこちゃんねる」で取り扱っている商品のなかで特に人気なものや、利用者層などに特徴はありますか?

「ぞうねこちゃんねる」は利用者の99%が女性です。商品については、ターゲットが広いという点では、やはり“食品”はどなたにもでも買ってもらいやすいです。
他にも、ライブコマースの強みはコマーサーを通して商品の使用感や着用感がわかることなので、アパレルやコスメ商品もライブコマース自体と相性が良く、とても人気ですね。

株式会社Cellestが目指す「日本のライブコマースインフラ化」とは?その想いに迫る

◎9月にCellestさんから発表された「ライブコマースの利用実態」に関するアンケート調査の結果からも利用属性や購入される商品ジャンル、ユーザーが重視している点などを知ることができます。

▼「ライブコマースの利用実態」に関するアンケート調査

株式会社Cellestが目指す「日本のライブコマースインフラ化」とは?その想いに迫る
【Z世代を抜いて35-54歳の利用が最多?!】今注目のライブコマース、ユーザーの利用実態調査を実施
株式会社Cellestのプレスリリース(2023年9月26日 11時30分)【Z世代を抜いて35-54歳の利用が最多?!】
prtimes.jp

ーたしかに、ライブ配信でみると、化粧品のツヤ感や色味がわかるので購入しやすいなと思いますね!現在は、コスメやアパレル、食品など実物の商品を提供されていますが、例えば旅行商品などサービスや体験も商品として販売可能なのでしょうか?

ライブコマースとの親和性は高く、販売も可能だと考えています。 海外だと、旅行商品や保険などいわゆる無形商材が売られていたりします。ライブコマースで旅行を商品として売る場合、泊まるホテルなどに実際に行って細かく説明しながら、通常価格よりも安く予約できるようにすれば、ライブコマースの強みも活かせて購買も期待できると思います。

実際に弊社では、無形商材としてとあるサブスクリプションサービスを販売したことがありますが、外部サイトで契約手続きの工程を踏む必要があったにも関わらず、多くの契約を獲得することができました。

ー販売される商品の可能性は無限大だなと感じます。実際にライブコマースを利用されているユーザーの方からどういったお声をいただきますか?

まずは自分にあった商品が届いたという声をいただくことがあります。Eコマースサイト(以下EC)ですと、思っていたものと違ったものが届くという場合があるのですが、ライブコマースはライブ配信を見ながらQ&Aを繰り返して購入するかどうか決めることができるので、届く商品にがっかりすることがない、自分自身にあった商品が届きましたというお声をいただきます。

あとは、ライブコマースに出会って毎日が楽しくなったという声もいただきます。ライブ配信を毎日欠かさず見にきてくださる方もいるんですよね。日々の習慣や日課にライブコマースを取り入れることで毎日が充実していると言われることがあります。
他にも、外見にコンプレックスがあったり、実店舗に入った時に店員さんに話しかけられるのが苦手で買い物自体が億劫だった人でも、ライブコマースならそういった悩みを解消することができるので、買い物が好きになったという方もいらっしゃいます。

ー買い物に対する意識まで変えられるんですね。企業のビジョンとして「ライブコマースのインフラ化」を掲げていらっしゃいますが、この部分について佐々木様のビジョンに対する考えを詳しくお聞かせください。

日常の買い物でライブコマースを当たり前にしていくことをビジョンに掲げています。

中国や韓国などライブコマースが特に盛り上がっている地域では、ライブコマースを通じてものを買うということが当たり前なんですよね。私たちが物を買うときにAmazonや楽天などのECサイトで買うことが当たり前になっているように、中国や韓国ではライブコマースで商品を買うことが一般化しています。日本ではまだそこまで普及していないので、日常の生活においてライブコマースを当たり前にする、ライブコマースのインフラ化というのを実現したいと考えています。

ーECで買い物することも急速に身近になった気がします。ライブコマース市場の規模は中国が特に大きいと聞きますが、中国で爆発的に広がる理由とは何なのでしょうか?

中国でライブコマースが流行った理由としては、スマホが早期に普及していたことが大きいですね。2013年時点では中国の大体の人がスマホを持っていたのでライブコマース自体にアプローチしやすい環境がありました。

あとは海外だと電子決済が当たり前で、日本みたいに現金社会ではない点も大きいです。

スマホ普及率と電子決済普及率の高さがライブコマースが中国をはじめとした海外で爆発的に広がった理由だと考えています。
ネットで物を買うという行為自体が日本は普及するのに時間がかかっていました。ただ新型コロナの影響で一時外出が制限された結果、ECサイトで商品を購入したり、リモート会議が普及したり、オンライン上で人々の困りごとや課題が解決できる時代になったので、日本でもライブコマースが浸透するきっかけになっていると思います。

ー確かに新型コロナによって非対面でもできることが一気に増えた印象があります。日本において「ライブコマースのインフラ化」を目指す上で、現在課題だと感じることはありますか?

まず、ライブコマースを知る場所やきっかけがないということが現状の解題としてあります。

今ライブコマースで買い物をしている方は、“ライブコマース“をもともと知っている顕在層になります。つまり、これからライブコマースを利用する可能性のある潜在層にリーチする必要があるんですよね。そういった部分で潜在層にアプローチできるコンテンツを作ったり、ライブコマースを知ってもらう場所を作る必要があると考えています。

もう一点は、企業がライブコマース市場に参入しやすい環境を整えていくことです。というのも現状では、企業がライブコマースを積極的に活用することに対して一部リスクを感じているんですよね。

日本人特有の価値観でもありますが、今や企業がYouTuberに案件を依頼することはよくありますが、少し前だと、新しいプラットフォームから誕生したインフルエンサーに対して社会的な信頼や安心感がないことから、YouTuberに企業案件をお願いするのは企業やサービスのブランドイメージを考えるとリスクであるという認識がありました。ライブコマースも日本にとってはまだ新しい買い物の方法の一つとして認識されており、参入することに対してリスクを感じている企業もいらっしゃいます。ライブコマースの販売実績や可能性を業界の先頭に立って伝えていくことで、企業が安心してライブコマースを導入できる環境や基盤を整えていく必要があると考えています。

ーなるほど。まず、“ライブコマース”に触れる機会やそれらの可能性を正しく伝えていくことが重要になってくるのですね!
今後、ライブコマース市場はどう広がっていくとお考えですか?

結論から言うと、日本でライブコマースは流行ると考えています。

先程中国でライブコマースが流行る理由についてお話した通り、日本でも電子決済がより一般化するにつれてライブコマースの普及も加速すると思います。

ECで商品を購入する人が増えると、実店舗に行かなくても欲しいものを買うことができますよね。例えば、明日洗剤が無くなったとかティッシュを切らしてしまっただとか、生活必需品の買い物はECサイトでも解決できるんです。しかし、テレビだとかパソコン、洗濯機など店舗で実際に商品を見て購入したいという消費者の要望はECでは解決することができないんです。

ライブコマースならライブ配信を通して実際の使用感や機能を詳しく見ることができ、ネットで物を買うということが
以前より、よりいっそう身近な体験になると確信しています。

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ーライブコマースなら、ECでは解決できない消費者の要望を解決してくれるんですね!数年後には、ライブコマースがさらに身近なものになり、あらゆるものが手軽に購入できる時代になりそうですね。 続いて、2023年の6月に初めての資金調達を実施されたとのことですが、今回の資金調達の背景や目的についてお聞かせください。

今年中のリリースを目指してライブコマースのプラットフォームとなるアプリケーションを作っており、この新規開発に向けた投資が今回の資金調達の主な目的となります。オンラインでもまるで実店舗で買い物をしているようなワクワク感の味わえるモール型のライブコマースアプリです。

今まで、SNSを利用して商品を販売、そこからECサイトに遷移させるというパターンでライブコマースを実現してきましたが、配信や商品の売買が一つのアプリで可能なプラットフォームを構築したいと考えています。

ーアプリでライブ配信から商品の購入まで完結できれば、消費者にとっても手軽さを感じて利用しやすいですね。最後に、今後の展望についてもお教えください。

元々販売事業から始めましたが、これまでの実績とノウハウを他の方にも伝えていこうとコンサルティング業を開始しました。ノウハウを教えると、優秀なライブコマーサーが増えていくので、次はライブコマースのプラットフォーム事業に挑戦することで、日本においてライブコマースを浸透させていくことが今後の展望ですね。

私たちは「ライブコマースのインフラ化」をビジョンに掲げていますが、まずは目の前の企業様にライブコマースの可能性を伝えて興味を持ってもらえるよう努力を続けていきますし、優秀且つ稼げるライブコマーサーも育成していく必要があります。プラットフォーム事業も利用者・コマーサー・企業視点で魅力的なプラットフォームでないと浸透しません。自社視点に偏ることがないよう、業界全体の発展を広く考慮した上で、インフラ化を実現したいと思っています。

ー日本のライブコマース市場を切り開く佐々木さんの情熱を知ることができました。消費者の悩みを解決してくれる新しい買い物の手法であるライブコマースの今後が楽しみです。
本日はありがとうございました!

[会社概要]
【会社名】株式会社Cellest
【URL】 https://cellest.co.jp/
【設立年月】2019年7月31日
【代表者】代表取締役CEO 佐々木 宏志 
【所在地】大阪府大阪市中央区淡路町2-3-12 CBMビル 6F

取材・執筆担当:EXPACTライター 三田

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Yuka Mita|note
Yonsei univ. 20 International Commercial
note.com