手打ちうどんの世界で独自のアプローチと情熱で注目を浴びている小野ウどんさん。うどんというシンプルな食べ物が、奥深さと魅力によって新たな形で人々に愛されています。今回は小野ウどんさんが手打ちうどんにかける思いと、今後のビジョンについて伺いました。
音楽と手打ちうどんを融合させたパフォーマンス
2013年にうどん職人として修行をスタートし、3年間厳しい修行の後、独立を決意しました。しかし、開店に必要な費用の見通しがつかず、収入も厳しかったので、他の仕事に転職するかどうか考えていました。
それでも修行をやめると、うどんをつくる機会が失われるのではないか危機感がありました。「このまま逃げるのは良くない」と思い、自宅でうどんをつくることにしました。ただ、自宅での練習が進むと消費が追いつかず、うどんがたくさん残ってしまいました。
2016年、収益よりもうどんを楽しんで食べてもらえる人を求め、出張うどんを始めました。自宅でうどんをつくっている際、YouTubeで動画も撮影していました。音楽を聴きながら作業していたのですが、一曲が終わってもうどんが打ち終わらない状況でした。
それに違和感を感じ、一曲が流れる間にうどんを打ち終わることを心掛けるようになりました。この変化が、手打ちうどんのパフォーマンスを向上させるきっかけとなりました。
小さな違和感から始まったパフォーマンスは、音楽をやっている人からのアドバイスもあり、音をつけたり楽器のように扱う方向へと変化しました。以前はバンドでベースを演奏していたため、人前でのパフォーマンスは苦手ではありませんでした。
うどん職人として働くなかで、低い給料への不満や体力的な負担が大きいと感じていたことも、動機のひとつです。それを解決するため、そして職人としての価値を高めるために、うどん打ちのプロセス自体に価値を見いだす形でのパフォーマンスに取り組みました。
手打ちうどんの奥深さは人生にも通ずる
コロナ禍でパフォーマンスや出張イベントが制限されたため、うどん教室を開始しました。手打ち文化を普及させることで、職人の技術がどれほど優れているかを多くの人に実感してもらいたいと考え、うどん教室を展開するに至りました。
私の熱意の源泉として、うどん教室が重要な役割を果たしています。教える過程で自らも学びがあり、知識の幅が広がっています。教えるなかで新たな疑問が絶えず生まれ、教育方法の向上につながっています。
手打ちうどんには、科学やスポーツといった多様な要素が組み合わさっています。仮説は立てられますが、生物学的な要因も影響するため、必ずしも予想どおりにはいきません。この不確実性は人生にも通じていて、予定調和のない人生の方が面白いと私は考えています。うどんづくりも同様に奥深いです。
手打ちうどんで特にこだわっているポイントは、食感です。1日寝かす”宵練り”が一般的ですが、私の場合は時間的な制約から“朝練り”を採用しています。
短時間でいかに良い食感を表現できるかを追求するため、特に小麦の選定に力を入れています。また、中心が太く端が細いという特殊なうどんを開発し、噛み応えを高めています。
うどんを核とした多角的なアプローチ
うどん打ちにおいては、常に美しいパーフォーマンスを披露できるように心掛けています。現在、『うどんの総合格闘技手打ち大会』を開催していて、次が2回目になります。うどんの美味しさだけでなく、技術やビジュアルにも焦点を当てた大会で、手打ちバトルをさらに広げていきたいです。
浅草に店舗を構えていますが、単に飲食の提供だけにとどまらず、うどん体験も行っています。最高のうどんを味わうためには、自らつくる体験が不可欠だと信じています。
多角的なアプローチで事業を展開していますが、すべては“うどん”という核に集約されています。異なる取り組みでも、根底にはうどんへの情熱があり、結果的に全体がつながっていると考えています。だから挫折しそうになったときでも、別の方法で続けられる力があれば、最終的には成功へとつながると信じています。
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