矢野経済研究所
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パッケージ印刷市場は回復フェーズに

~2022年度はコスト上昇分に対する価格転嫁効果も大きく作用し、前年度比5.2%増と高い伸長率に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のパッケージ印刷市場の調査を実施し、各市場・各需要分野の動向や参入企業動向、将来展望を明らかにした。

パッケージ印刷市場規模推移・予測

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1.市場概況

2022年度の国内パッケージ印刷市場規模(事業者売上高ベース)は1兆4,395億1,800万円、前年度比5.2%増と近年にない高い伸長率になった。コロナ禍の行動制限緩和に伴い、旅行やイベント等への外出が増えて人流が回復傾向となり、また政府の水際対策が大幅に緩和され、インバウンド(訪日外国人客)需要が上向いた。景気が回復する中、総じて2022年度における軟包装・紙器需要については堅調だった。さらに、原材料費や物流費等が高騰する中で、コスト上昇分に対する価格転嫁効果も、2022年度の伸長における大きな要因の1つとなった。

2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行されたことによる人流の更なる回復やインバウンド需要の本格回復などを背景に、景気は内需主導で持ち直しが続く見通しの中、2022年度の流れを継続する形で、軟包装・紙器需要は拡大する見込みである。そのため、2023年度の国内パッケージ印刷市場規模は前年度比1.1%増の1兆4,550億円と前年度から引き続き拡大を見込む。

2.注目トピック

原材料の品不足が顕在化、ユーザーの前倒し発注も相まって市場は混乱

2022年度の軟包装市場では、主に食品分野において原材料の調達危機による混乱が顕在化した。調達危機に陥った主な原材料は酢酸エチル、OPP(Oriented Polypropylene:二軸延伸ポリプロピレン)、アルミ箔、ナイロン(PA66)となり、2021年秋頃から品不足が鮮明となった。また、それに重なるように、コロナ禍からの経済回復に伴い世界各地における原材料需要が拡大し、需要過多となっていたことも原材料不足を更に深刻化させた。また、この需給バランスの崩壊が原材料の価格高騰を助長させた要因ともなった。

さらに、こうした原材料の品不足に加えて、調達不安や度重なる値上げを背景に、顧客(ユーザー企業)の前倒し発注が相次いだことで、コンバータ各社においても軟包装材の供給が滞った。原材料が入手困難な状況の中、顧客からの発注に対して、コンバータ各社が納期を提示できない状態が続いたことで、市場は2022年秋頃まで混迷を極めた。

こうした前倒し発注により、2022年度上期における軟包装需要は旺盛となったが、原材料の供給状況が落ち着くとともにその反動減が出たこと、また、そもそも原材料を工面できず、需要の取りこぼしがあったことなどから、通期で見ると軟包装市場全体におけるプラス影響はほぼなかったと推測する。

3.将来展望

2024年度の国内パッケージ印刷市場規模は、前年度比1.0%増の1兆4,695億円と予測する。コロナ禍の需要変動が一旦終了し、ある意味リスタートとなる紙器市場では、人口減少や省包装化、軟包装化といった従来からの構造的なマイナス要因がまた顕在化してくる可能性がある。一方、軟包装市場は食品やトイレタリー用品などの堅調な需要を背景に、引き続き微増から増加のトレンドで推移すると予測する。

調査要綱


1.調査期間: 2023年5月~7月
2.調査対象: 軟包装印刷コンバータ、アルミニウム加工箔メーカー、紙器印刷コンバータ 、及び関連メーカー
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話によるヒアリング、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
<パッケージ印刷市場とは>
本調査におけるパッケージ印刷市場とは、軟包装分野と紙器分野を対象とし、これらの分野のコンバーティング(印刷加工)市場を指し、事業者売上高ベースで算出した。

軟包装は、プラスチックフィルム包装材を指し、アルミニウム加工箔包材も含む。
紙器は、主に外装用途で使われる紙製の箱を指し、紙コップや液体カートンなどの液体容器や紙袋は含まない。また、紙器の中でも板紙に印刷加工が施された紙箱を対象にしており、仕上げ紙(くるみ紙)で包み、貼り込んで作られる貼箱や印刷加工がされてない簡易箱、また段ボールについては対象外としている。但し、段ボールにおいて、用途が重なっているマイクロフルート(F段、G段)や一部の板紙との合紙品は含む。
<市場に含まれる商品・サービス>
軟包装、紙器

出典資料について

資料名2023年版 パッケージ印刷市場の展望と戦略
発刊日2023年08月07日
体裁A4 380ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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