事業計画書に記載する11項目
前述の通り、事業計画書に既定のフォーマットはありませんが、一般的に記載される主な項目とポイントをご紹介します。
①企業概要
企業の基本情報は機械的に記載してしまいがちですが、読み手視点で一工夫できるポイントがあります。
企業概要欄に記載する事項 | ポイント |
---|---|
商号・屋号 | 会社名は省略せず、支店や子会社などがある場合は、併記します。 |
住所 | 立地が好条件であり、事業に影響する場合はその旨記載します。 |
連絡先 | 電話番号のほか、ホームページのURLやメールアドレスも記載します。 |
開業年月日 | 創業からの成長スピードを把握できるため、開業年月を記載します。 |
代表者名 | 別途詳細ページがある場合、氏名だけにとどめます。 |
従業員数 | 単なる人数だけでなく、部署別の従業員数など具体的に記載します。 |
役員 | 代表取締役のほか、社外取締役や監査役まですべて記載します。 |
株主構成 | 株主の氏名や持株数のほか、代表者との関係なども記載します。 |
取引先・取引関係 | 販売先や仕入れ先の確保、取引条件も重要なポイントになります。 |
②経営陣のプロフィール
一般的に融資の申込みや出資を受けるためのプレゼンテーションにおいて、経営陣の経歴、スキルの情報は、事業が今後どのように進められるかの推測につながるため、極めて重要な判断材料になります。
特に金融機関や投資家が重視するポイントであるため、事業計画書においても詳細や具体内容を記載しアピールする必要があります。
③事業概要・事業コンセプト
事業概要はどのような顧客とターゲットに、どのような商材をどのように展開するのか、事業に詳しくない人でも理解しやすいように記載する必要があります。 例えば、ターゲットは属性だけでなく、趣味・嗜好、生活スタイルなどにも言及します。また、競合となる事業との違いや、ユーザーが受けるベネフィットなども合わせて記載するとイメージしやすくなります。
合わせて事業のアイデアや構想を具体的に整理した、事業コンセプトを記載することで、第三者がこの部分を読めば、会社が何をしようとしているのかを把握することができます。
④ビジョン・理念
事業計画書において、ビジョンや理念の記載は重要です。なぜなら、例えば現時点では難しい金額の融資あるいは出資を望む場合、その理由を説明するためにビジョンや理念の共有が必要になります。
一般的にビジョンや理念は、「何のために事業を行うのか?」から突き詰め、なりたい姿やあるべき理想像を言語化していくものです。その際に、目標を数値化して設定しておくとよいでしょう。
⑤組織状況
事業計画書に記載する組織状況には、事業計画書に記載した事業をどのような人員配置や勤務体制で行うのかを記載します。
⑥自社の強み・弱み
自社の強み・弱みには、過去の業績、内外の環境を踏まえた自己分析の結果を記載します。SWOT分析の4つの視点で行うのがよいでしょう。
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⑦市場や競合他社の状況
事業を行う業界の市場規模やトレンド、競合他社の状況などを記載します。また将来予測も加え、プラス面とマイナス面の両方を記載すると良いでしょう。
市場に関する状況など規模が大きなデータについては総務省の統計データ、公表されている業界団体のデータのほか、自社で独自に収集したデータや分析を用いると、より精度の高い情報を伝えられます。
⑧商品・サービス概要
実際にどのような商品やサービスを提供するのか、特に主要商品については競合他社と比較しながら特徴、優位性を積極的にアピールしましょう。
⑨実行計画
事業計画において目標を細分化して期日を設定します。関係者間でやるべきことが明確になり、現状と目標のギャップを確認できるとともに、モチベーションを高められるなどのメリットが生まれます。縦軸に実行すべき事項を、横軸には担当部署を置いたチャート図を用いるなど、わかりやすい表現を心がけます。
⑩人員計画
事業を進めるにあたり、具体的にどのような体制で進めるのかを記載します。単に必要な人員数だけでなく、プロジェクト完了までに必要と思われる人件費なども記載します。
大まかな人件費の算出は、以下の流れで行うとよいでしょう。 1)事業達成に必要な業務を洗い出し、各業務に必要な人員数を算定します。 2)目標達成までに必要な年数を乗じて、延べ人数を算出します。 3)延べ人数に平均賃金を乗じて、事業目的を達成するために必要な人件費を算出します。
「目標達成のためのコスト管理をどのように行っているのか」を融資担当者や出資者に理解してもらうことが、この項目の大きな目的です。
⑪財務計画
財務計画は事業に必要な資金を整理し、事業の見通しを検討する上で欠かせません。具体的には「資金計画」「収支計画」を記載します。
資金計画では、事業に必要な金額、用途、そして資金をどこから、いくら調達するのかを記載します。 収支計画では、事業を運営するための収支を予測し、事業年度ごとの売上、費用、利益を記載します。