矢野経済研究所
(画像=MVProductions/stock.adobe.com)

2026年のAGV/AMR世界出荷金額を9,087億円に拡大予測

~人手不足や人件費上昇、作業の効率化を目指す、世界的な物流搬送自動化の潮流で、市場は本格的な拡大局面に~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、AGV/AMR世界市場を調査し、主要国の関連政策や導入支援制度、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

AGV/AMR世界市場規模推移・予測

矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

1.市場概況

2021年のAGV(Automated Guided Vehicle)/AMR(Autonomous Mobile Robot)世界市場規模はメーカー出荷金額ベースで3,387億円、2022年は前年比118.6%の4,017億円と推計した。

2020年の新型コロナウイルス感染拡大による行動制限で、外出を控えて家に滞在する時間が増え、消費者の購入パターンもオフラインからオンラインに急激に移行し、世界各国でEC市場が拡大した。物流業界ではEC市場拡大に伴う物量増加や人手不足の対策として、物流自動化などを通じた倉庫内業務の効率化需要が高まり、AGV/AMRの導入拡大へと繋がった。
また、世界の製造業が集まる中国や欧州、人手不足が深刻な米州(主に米国)などでは、世界的な半導体や電子部品の不足が製造業の生産に大きな影響を及ぼしたが、生産正常化を進めるなかで製造業各社では自動化に対する認識が高まり、AGV/AMRの導入によって物流搬送に対する自動化率を高めて、人件費の削減や作業効率化の向上を目指す企業が増えた。
さらに、カーボンニュートラルやESGに対する投資が重要視され、フォークリフトも内燃機関式よりも電動式を採用する方向に進むなど産業現場の電動化がトレンドとなり、同時に物流自動化も進展している。

2.注目トピック

製造業向けが約8割で主要需要先に、EC市場の拡大により物流向けも成長基調

AGV/AMR世界市場を需要分野別にみると、製造業向けが約8割、物流向けが2割近くを占めている。
製造業においては、主に資金力のある大手や中堅企業、自動車及び関連業界、エレクトロニクス業界を中心に導入が進んでいる。一方、世界各国でEC市場が拡大したことで、物流向けにおいてはEC業界やアパレル業界、食品業界等の物流倉庫で導入が拡大している。
なお、製造業では安全面などからAMRよりもAGV、標準品よりもカスタマイズした製品の導入が多い。一方、物流向けでは倉庫内のパレットや棚の配置などが変わるなど、作業環境が変化することから、フレキシブルに活用可能なAMRが好まれるケースが増えている。その他、建設などのインフラ産業、空港や港湾における貨物コンテナの搬送、機械式駐車場などで活用されるケースも増えている。

3.将来展望

2023年のAGV/AMR世界市場規模は前年比128.1%の5,146億円になる見込みである。半導体や電子部品の供給不足は解消しつつあり、正常化する見込みでAGV/AMRの生産への影響も減少する見通しである。
北米や欧州、中国などでは、EV(電気自動車)及び二次電池・半導体等関連部品の生産が拡大しており、AGV/AMRの導入が期待される。
また、日本や中国、韓国などの国々では、AGV/AMRの生産や導入に対する支援が行われており、市場拡大の追い風になるものと見られる。
なお、世界各国のEC市場も拡大基調の見通しで、物流向けの需要拡大も期待される。

世界の主要国では、人手不足や人件費の上昇、若者が過酷な労働環境や過重労働を避ける傾向が強まっており、単純な繰り返し作業や重量物のハンドリングなどに対する自動化のニーズが高まりつつある。こうしたことを背景に、2026年のAGV/AMR世界市場規模は9,087億円まで成長するものと予測する。

調査要綱


1.調査期間: 2023年3月~8月
2.調査対象: 日本及び海外のAGV/AMRメーカー、周辺機器及び部品メーカー、SI企業、Raas(Retail as a Service)企業、AGV/AMRを導入するユーザー企業、政府機関、大学・研究所、業界団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、ならびに文献調査併用
<AGV/AMR市場とは>
本調査におけるAGV/AMR市場とは、「一定の領域において、自動で走行し、荷物など人以外の物品の搬送を行う機能をもち、道路交通法に定められた道路では使用せず、工場や倉庫などで物流の移送・搬送の効率向上を目的に使用する車両」で、ISO3691-4(JISD6801)に適合するAGV(Automated Guided Vehicle;無人搬送車)及びAMR(Autonomous Mobile Robot;自律走行搬送ロボット)※を対象とし、メーカー出荷金額ベースで算出した。Amazonが自社用に導入しているAmazon Robotics製AGV / AMRは含まない。

※いずれも無軌道型の車両で、AGVは走行時に誘導体(磁気棒や磁気テープ、光学テープ、QRコード※2、レーザー反射板など)が必要なタイプ、AMRは走行時に誘導体が不要で、稼働領域内の環境地図情報と走行時にセンサーで読み取った外部環境の情報を基に車両の自己位置を推定しながら走行するタイプである。
※2「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
<市場に含まれる商品・サービス>
AGV、AMR、無人搬送フォークリフト、モバイルロボット

出典資料について

資料名2023年版 世界AGV/AMR市場の現状と将来展望
発刊日2023年08月09日
体裁A4 181ページ
価格(税込)330,000円 (本体価格 300,000円)

お問い合わせ先

部署マーケティング本部 広報チーム
住所〒164-8620 東京都中野区本町2-46-2
電話番号03-5371-6912
メールアドレスpress@yano.co.jp

©2023 Yano Research Institute Ltd. All Rights Reserved.
本資料における著作権やその他本資料にかかる一切の権利は、株式会社矢野経済研究所に帰属します。
報道目的以外での引用・転載については上記広報チームまでお問い合わせください。
利用目的によっては事前に文章内容を確認させていただく場合がございます。