NFTの確定申告はどうする?利益・税金の計算方法を紹介

NFTを制作・販売する中で、暗号資産を含む財産的価値を得た場合には、税金を納める必要があります。

しかしNFTの取引は比較的新しい事例であり、どのように課税されるのか判断がむずかしいのが実情です。

国税庁から発信された税金に関する記述は、2022年4月1日公表の『タックスアンサー』と、2023年1月13日に公開された『NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)』のみであることから、これらを基に税務上の判断を行なう必要があるでしょう。

本記事ではFAQの内容に基づき、NFTを取り引きする上で必要とされる所得の分類と計算方法、確定申告について解説します。NFTを取り扱う上で必要な知識です。ぜひ、最後までご覧ください。

【参考資料】
・No.1525-2 NFTやFTを用いた取引を行った場合の課税関係
・NFTに関する税務上の取扱いについて(FAQ)

目次

  1. NFTの所得種類
  2. NFTの税率計算方法
  3. NFT所得への課税時期と確定申告のやり方

NFTの所得種類

所得税・法人税

NFTの取引をする上で、利益を得た場合には所得税あるいは法人税の対象になります。どちらも所得に対する税金ですが、所得税は個人、法人税は法人が対象です。

所得税は個人の所得(会社員・公務員・パート・アルバイトの給与、あるいは個人事業主の事業収入)に課される税金であり、『譲渡所得』『事業所得』『雑所得』のいずれかに分類されます。

NFTを制作し第三者に販売した場合は雑所得。購入したNFTを転売した場合には譲渡所得に区分されます。棚卸資産か準棚卸資産の譲渡を継続的に行う場合など、営利目的で継続的に活動している場合は事業所得に区分されるケースもあります。

所得税の注意点は、各所得を合算して計算する総合課税であるため、NFT取り引きのみが課税されるわけではありません。

税率は累進課税であり、所得金額に応じて、5~45%の7段階で定められています。

一方、法人税は、企業や組合など法人に対して課せられる税金です。所得税とは異なり、累進課税がなく一定の金額が設定されています。法人の規模や所得金額に応じて15〜23.2%が適応されます。

相続税・贈与税

個人からNFTを贈与あるいは相続により経済的価値を取得した場合には、贈与税か相続税が課されます。

贈与税は健在な方から財産となるものを受け取った際に課され、相続税は亡くなられたことによって財産を引き継いだ際に課される税金です。

NFTの内容や性質、取引実態等を勘案し、その価額を個別に評価した上で、納税義務が発生します。

ただしNFTに対する評価基準に定めがないことから、『評価通達5((評価方法の定めのない財産の評価))』に基づき、評価通達に定められた評価方法に準じて評価する必要があります。 また課税時期に市場価値が存在する場合には、市場取引価格により評価しても良しとされました。

相続税の税率は累進課税で計算され、法定相続分に応じた所得金額によって10〜55%の間で変動します。

贈与税も同じく累進課税となり、基礎控除を差し引いた上での課税金額に対して10~55%で計算されます。

源泉所得税

デジタルアートに紐づいたNFTに関しては著作権が存在します。 著作権は制作者に帰属するため、事前の許諾がない状態で利用するには、本来『著作権の使用料』の支払いが必要です。 ※この際の『利用』とは、SNSのアイコンに設定するなどの事例を含みます。

そして日本国内で著作権の使用料を支払う場合、支払者は支払いの際に所得税を源泉徴収する必要があります。

ただしFAQによれば、日本国内での取引において支払者が給与所得者(日本で事業等の業務を行っておらず、給与の支払いもしていない個人)の場合、源泉徴収は必要ないとされました。

また著作権の使用が有償であるとしても、極めて少額であると認められる場合は、NFTの購入代価の支払いの際に著作権の使用料として所得税を源泉徴収する必要はないと記載されています。

消費税

消費税は物品やサービスを消費する際に課税される税金です。日本国内で行われる取引きのほぼ全てが課税対象となります。

NFTの取引も例外ではありません。事業者がNFTを制作し、日本の消費者に販売した場合には事業者に消費税が課されます。消費税の課税対象になる条件は以下の4点に該当する場合です。

・国内取引であること
・事業者が事業として行うものであること
・対価を得て行われるものであること
・資産の販売・貸付・サービスの提供であること

また会社員など事業者でない場合でも、NFTの取引きを反復・継続・独立していると判断されれば事業者として扱われることもあります。

NFTを転売するケースにおいても、事業者として対価を得た場合は消費税の課税対象です。

ただし、基準期間の課税売上高が1,000万円未満の場合は免税となります。加えて開業から2年間は免税事業者となるため、納税の必要はありません。

消費税の税率は10%で計算されます。
※『酒類・外食を除く飲食料品』および『定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞』に関しては軽減税率制度が適応されるため8%で計算される。

NFTの税率計算方法

NFTの取引きで利益を得た場合には、所得税の課税対象になります。

FAQを参照し、NFT取引きで発生する基本的なケースでの計算方法を紹介します。

・NFTを制作して第三者に有償で譲渡した場合(一次流通)クリエイターがNFTを制作しマーケットプレイスで販売した場合、販売で得た利益は雑所得として計算されます。
以下の計算式で算出しましょう。
雑所得の金額 =NFTの譲渡収入-NFTに係る必要経費
・購入したNFTを第三者に転売した場合(二次流通)コレクターが購入したNFTをマーケットプレイスで転売した場合、得た利益は譲渡所得として計算されます。
譲渡所得の金額=NFTの転売収入-NFTの取得費-NFTの譲渡費用-特別控除額

NFT所得への課税時期と確定申告のやり方

年間の所得金額の総額から所得控除を差し引いた金額がプラスになった場合には、確定申告を行う必要が生じます。 なお所得税の課税期間は、1月1日から12月31日までの1年間で計算されます。

前述した通り所得税は総合課税です。NFT取引きによる利益額と損失額を算出したうえで、1年間の所得合計とそれに応じた所得税額を計算し、適正な申告を行いましょう。

確定申告の提出期間は毎年2月16日〜3月15日までの1カ月です。(それぞれの日付が土日・祝日に当たる場合は翌日に変更されます。)

確定申告に必要なものは以下のとおりです。
・確定申告書
・マイナンバーに関する書類(マイナンバーカード・通知カード)
・銀行口座情報がわかるもの
・所得や控除に関する書類・印鑑

加えて白色申告の際には『収支内訳書』、青色申告の際には『青色申告決算書』が必要です。

確定申告書類の様式は税務署で直接もらうほかに、国税庁のホームページからも印刷できます。

NFTの売買にともなう暗号資産の取引は、暗号資産取引所から取引履歴データをダウンロードしておきましょう。保有するNFTについては『取引日次・購入および販売したNFTの種類と数量・送金手数料・取引きに利用した暗号資産の銘柄と数量』を記録しておくと、記帳がスムーズにおこなえます。

これらの必要書類を用意したら、期日内に税務署へ提出します。提出方法は電子申告・郵送・時間外収集箱への投函から都合の良い方法から選択しましょう。

※本記事の内容は全て記事公開時点のものです。また、本記事は納税に関する助言ではありません。納税については専門家に相談した上で個人の責任において適切に行ってください。

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