矢野経済研究所
(画像=laddawan/stock.adobe.com)

デジタルコンテンツ市場は各サービス分野で今後も拡大を持続

~NFT市場は投機から実用へ~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、デジタルコンテンツ(SNS、電子書籍、動画配信、音楽配信、EC、インターネット広告、ゲーム、情報配信サービス、NFT)市場を調査し、市場概況、主要企業動向を明らかにした。

1.調査結果概要

デジタルコンテンツ市場は、スマートフォンまたはPC等を通してインターネットで利用できるサービス全般をさし、各分野において様々なサービスが広がっている。

SNS市場は企業や自治体、政党・政治家などによる情報発信やプロモーションの一貫でのSNS活用が進んだことに加え、インフルエンサーに関連したサービスを用いて企業向けのマーケティング支援を行う企業も増えて活況を呈している。

電子書籍市場は紙媒体の書籍に存在する再販売価格維持制度(出版社が書籍価格を決定し、小売業者・書店で定価販売をさせる制度)が無いため、出版社と連携して値下げや無料キャンペーンなどの施策を行うことができる。なお、紙媒体の書籍を出版社が戦略的に販売促進することができる主なタイミングは、初版発刊時とIP化(メディア化・映画化等)の2回あるとされているが、電子書籍を戦略的に販売促進することができるタイミングは紙媒体と比較すると多く、販売方法には様々な可能性がある。

動画配信市場はコロナ禍における在宅時間の増加により動画コンテンツの視聴時間が増えたことや、各社の独占コンテンツやオリジナルコンテンツの内容を考慮した上での視聴者のサービス加入などもみられており、動画の視聴を日常的に取り入れることが定着しつつある。5Gサービスの環境整備や対応機器の普及などによる市場の拡大余地は大きい。

音楽配信市場はスマートフォンの普及とともに消費者がサブスクリプション(定額制型)音楽配信サービスを利用し始めたことや、コロナ禍でコンサート活動が全く出来なくなったアーティスト達が無料の動画プラットフォーム等に動画も含めた音楽配信を積極的に行うようになったことも相乗効果となり、オンラインを活用したサブスクリプション(定額制型)音楽配信サービスなどが好調に推移している。

インターネット広告はWeb動画広告の伸長が顕著となり、なかでも動画配信サイトやアプリなどのコンテンツ内に表示されるインストリーム動画広告の制作数が大きく増加した。ソーシャルメディアのサービス上で展開されるソーシャル広告も年々存在感を増しており、今後も安定した成長が見込まれる。

ゲーム市場はサブスクリプション型ゲームの拡大が高い注目を集めた。ゲームコンテンツは競争の過程で多様化しており、様々な分野のゲームをいくつも購入してプレイするのは費用面で難しくなっている。同サービスの利用者にとっては、遊びたいゲームをダウンロードもしくはストリーミングして好きな時に遊べる利便性や、プレイするゲームの種類や遊ぶ回数が増えるごとに、複数のゲームを都度単品で購入するよりも割安に感じられるという利点がある。新型コロナウイルス感染症拡大の影響によりダウンロード版のゲームの販売が伸長するだけでなく、サブスクリプション型ゲームの浸透が進んだ。

2.注目トピック

NFT市場

2021年~2022年にかけて高騰を続けてきたNFT(非代替性トークン)※市場であるが、2022年後半から失速し、現在は規模が縮小している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響により経済活動が停滞し、行き場を失った投機的資金が市場に流れ込んだために起きた事象との見方も業界内にある。しかし、2023年は様々な分野でNFTに実用的な機能が実装され始めている。

一方で、未だに明確な法的枠組みは無いのが現状であり、事業活動を行う際は法律や著作権の観点から、個別具体的に活動内容を検討する必要がある。加えて技術的な側面でも専門知識が無い場合はまだまだ参入障壁が高い。今後、企業や個人がNFT市場に参加するためにはこれらの課題に向き合って解決していく必要があり、法律面および技術面において環境が整備されることが期待されている。

※NFTとは、ブロックチェーン上で発行・取引される「偽造不可な鑑定書・所有証明書付きのデジタルデータ」である。

調査要綱


1.調査期間: 2023年3月~5月
2.調査対象: デジタルコンテンツ(プラットフォーマー/SNS/電子書籍/動画配信/音楽配信/EC/インターネット広告/ゲーム/情報配信サービス/NFT)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、ならびに文献調査併用
<デジタルコンテンツ市場とは>
本調査におけるデジタルコンテンツ市場は、スマートフォンまたはPC等を通してインターネットで利用できるサービス全般をさし、主にSNS、電子書籍、動画配信、音楽配信、EC、インターネット広告、ゲーム、情報配信サービス、NFTを対象としている。
<市場に含まれる商品・サービス>
SNS、電子書籍、動画配信、音楽配信、EC、インターネット広告、ゲーム、情報配信サービス、NFT

出典資料について

資料名2023年版 デジタルコンテンツ市場動向調査
発刊日2023年05月31日
体裁A4 370ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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