トーフミート「TOFU MEAT」オリジナル・ノンシュガー・プレーン
(画像=トーフミート「TOFU MEAT」オリジナル・ノンシュガー・プレーン)

トーフミート(山口県宇部市)は、豆腐を原料としたプラントベースフード(PBF)「TOFU MEAT」を展開している。原料の豆腐を特殊加工することにより一般的な大豆ミートと比較して大豆臭を95%以上低減に成功。料理だけでなくスイーツの材料としても活用することができる。

「TOFU MEAT」の原料となる豆腐は国産大豆100%で消泡剤不使用となっている。「オリジナル」「ノンシュガー」「プレーン」の3タイプを取りそろえる。「BOSSTY CAFE×タニタカフェ」のメニューで採用されるなど、飲食店での導入事例も増えているという。

トーフミートの村上英雄社長は、以前は山口県初のシェアオフィスを運営していたところ、まったく別業種である食品製造業の事業承継の話を持ちかけられた。

トーフミート・村上英雄代表取締役
(画像=トーフミート・村上英雄代表取締役)

承継元の豆腐メーカーである兼氏食品の兼氏佐憲社長から「日本人が豆腐を食べなくなることはない。他がやらないような、付加価値を付けられたら活路を見出せる」との言葉をもらったという。

村上社長自身はこれまで食品業界に携わったことはなかったが、持ち前のチャレンジ精神で事業承継を決意した。

伝承した豆腐製造の技術は全国でも非常に珍しい製法となっており、修得にはかなりの時間を費やしたという。

「TOFU MEAT(トーフミート)」を作ることになったのは、九州のヴィーガンフェスに出展した際、実行委員長に声をかけられたことがきっかけだ。こだわりの豆腐を原料とした「安全で健康的な食材を作りたかった」と振り返る。

〈原材料を選定してヴィーガンやハラルに対応、「地域活性化を含めた会社にしたい」〉
通常、豆腐は冷凍することができないが、「TOFU MEAT」は冷凍可能な商品として開発を始めた。水分値と形状の変更を幾度も行い試行錯誤した結果、現在の仕様に行き着いた。

また、「添加物はもちろん動物性原料も不使用かつハラル食にも対応するため原材料の選定にはかなりの時間をかけた」と説明する。使用する原料へのこだわり以外にも食感を限りなくひき肉に近づけるため加工方法にも工夫を凝らしている。

現在開発を進めているのは「TOFU MEAT(トーフミート)」を使用した加工食品だ。商談先から加工済みの商品を要望されることが多く、餃子やハンバーグだけでなくスイーツなどの加工品開発を急ピッチで進めている。

また、ミンチ肉タイプ以外の「ブロック肉タイプやステーキ肉タイプの要望を受けているのでこちらについても順次開発する必要がある」としている。

加工食品を充実させることを今後の課題に挙げており、常温品やレトルト品の開発も検討している。

また、防災食や宇宙食の展開も構想しており、「ヴィーガンやハラルの方だけでなく、糖尿病などの病気の方々や高齢者でも安全でおいしい代替肉が食べられる世界にしたい」と語る。

海外展開については、商談を進めている段階だが、バイヤーの熱量が高いという。さらに、訪日観光客の増加を背景に、ヴィーガンやハラルに対応するレストランやホテルも増えており、そこに向けて提案していく。

さらに、事業構想として、「単純に『トーフミート』を作るだけにとどまらず、大豆の生産から関わり、自給率の向上と、新規の生産者を増やすことで社会的意義を見出していく。地域貢献を含めた会社にしたい」と意気込む。

〈大豆油糧日報2023年7月18日付〉