ディーツフードプランニングの「Deats」パティを使用する、BLACOWS『オルタナティブバーガー』
(画像=ディーツフードプランニングの「Deats」パティを使用する、BLACOWS『オルタナティブバーガー』)

「業界もマーケットもまだないのがプラントベースフード(PBF)だと思う」と、ディーツフードプランニングの大川訓弘社長は話す。

そのため、業界全体を巻き込み、マーケティングの手法を作っていくことをテーマに据える。大川社長によると商品は、手に取りやすい価格、健康面、環境面が重なるのが重要だという。「価格と品質のバランスは取れる、健康と品質のバランスも取れる。だが環境と品質のバランスを取るのは難しい」とする。

値ごろだが品質も良い、または健康に良い上においしいといった両要素を訴求することはできても、環境に良くておいしいという特徴を消費者に訴求するのは難しいという。

「環境問題を消費者にとって身近にする必要がある。フードロスに取り組むスーパーなども多いが、目に見えない部分だ。今は自分で見える商品に、食品残渣を使う仕組みを作ろうとしているところだ」と説明する。

大川社長は、日本のPBF市場がまだ盛り上がっていないのは、マーケットの手法が確立されていないからだと指摘する。「消費者だけではなく、メーカーや問屋など、皆が良くなる流れを作らなければ良いものにならない。日本のマーケットの難しいところだ」と話す。

〈価格・健康・環境などに貢献するコンソーシアム的な仕組みを作る〉
ディーツフードプランニングは、おからとこんにゃくを使用した代替素材「Deats」を、価値を認めてもらう売り方にシフトしていく。これまで、同商品の大豆の臭いを消す研究を約20年重ねてきた同社の次の戦略だ。

例えば、「Deats」を25%配合したパティ4枚入りを購入した場合、4枚中1枚分は「Deats」を食べた計算となる。おからなど食品残渣を使用したアップサイクルフードな商品を食べることによって、社会や環境に貢献できることを、数値化して明確に分かるような仕組み作りを検討している。

「コンソーシアム的な仕組みを作り、価格、健康、環境に貢献したいと考える他の企業と一緒になって動きたい。その取り組みのシンボルが当社だ」と、手掛けているマーケティングの手法を明かす。現在、賛同する企業が約10社集まっており、さらに増える見込みだ。

ディーツフードプランニングは今後、海外展開に力を入れていく。メイドインジャパンを大事にしており、元々奈良県に本社があったが、東京発のPBFにしたいとの思いから、東京に本社を移した。

「当社はこんにゃくやおから、日本のもったいない精神を、アップサイクルに込めて伝えている。他にも、こんにゃくが育つ中山間地域の一次産業に貢献したい。またフードロスで悩む企業の商品を生き返らせる手助けや、貧しい国や地域に食料提供をしたい。仏教や西洋文化など全てを受け入れてきた日本の思想は、ディーツにも込められている考え方だ。世界中の企業や人々に、日本の得意としているものを伝えていきたい」と今後の展望を述べる。

「『Deats』を『無』臭ではなく『空(くう)』にした」と大川社長は持論を語る。「Deats」は、大豆臭をなくすことで、さまざまな代替食品を開発することに成功している。こんにゃく由来のためカロリーも0に近い。適宜付け加えられる余地があることから、同商品は世界中の人に合わせられる食べ物だと主張する。

「本物にはなれないが、本物よりおいしい存在になることができる。本物のデメリットを取り除き、足すことができる」と話し、「PBFのネガティブなイメージを、他企業とともに払拭したい」と意気込む。

さらに、「こんにゃくはメーンになるような食材ではないので、価格面や健康面などで、いつの間にか貢献するような、謙虚な食品でありたい」とした上で、「これからは、モノづくりからマーケットのコトを売っていく。当社を理解してくれる企業とともに、人の役に立つことをしっかりと考える。下期からはその取り組みを強化する」と今後の施策を述べた。

〈大豆油糧日報2023年7月11日付〉