日本アクセスの関東エリアにおける取引メーカー組織、関東アクセス会は6月30日、都内ホテルで総会を開催した。
総会に先立ち、日本アクセスの佐々木淳一会長があいさつし、社長に在任した2016年からの7年間を振り返った。
「卸売事業」においては、フルライン卸としての業容拡大が進捗した。その中では、温度帯別から得意先別の収支管理へ転換し、“雪印系販売会社”からの脱皮を図ることができた。
また、強みであった低温事業(チルド・フローズン)をさらに強くするとともに、ドライ、生鮮、外食、デリカ事業においても総合力を活用して事業を拡大し、強みとすることができた。「3PL事業(荷主企業に代わって物流企画を提案・受託・実行する事業)」においては、培ってきた物流のノウハウ・インフラの活用により、得意先にとって最適なセンターの立案・企画といった提案を行い、運営を実施。それによる信頼関係が得意先との強固な関係構築に繋がり、なくてはならないパートナー卸として全国の物流拠点・機能を確立した。
「卸売事業では価格競争で帳合が変わることもあるが、3PL事業では価格だけではなく、当社の提案・機能が認められ、得意先とも長期的な強固な関係を構築することができたと思う。そのため毎年約100億円の物流投資を行い、それも3PL事業の機能強化に繋がってきた」(佐々木会長)。
「商品開発」においては、1万社の取引先メーカーとのネットワークを活用したスピーディな対応で、商品開発機能の強化を果たし、差別化による価値訴求を実現した。
定量的には、7年間(2015年度と2022年度の比較)で売上高4300億円増、経常利益80億円増、連結純利益79億円増と業績が拡大した。佐々木会長は「最初の2年間(2016~2017年度)の第6次中期経営計画(中計)では、赤字支店・事業の撲滅を徹底し、その結果徐々に数値管理が浸透していった。現在は限界利益の改善を各営業部門で徹底させている。
第7次中計期間(2018~2020年度)中には、コロナ禍により経営環境が激変した。また2020年度には、岩沼物流センター(宮城県岩沼市)の火災事故で多くのメーカー・物流パートナーにご支援いただき、また弊社社員総出で早期復旧することができた。
2021年度は(コロナ禍等で)顕在化した経営課題を先送りせず、解決を最優先する1年として単年度の計画を策定し、V字回復を果たすことができた。
2022年度からは第8次中計がスタートし、初年度は増収増益で引き続き業界ナンバーワンを維持することができた」など話した。
また、佐々木会長は服部真也社長を始めとする次の世代で成し遂げ、収益の柱にしてもらいたいこととして「EC事業(通販)」「情報卸事業」「海外事業」の3つを挙げた。
「EC事業」では、“Smile Spoon”の屋号でAmazon、楽天、PayPay モールの3大ECモールに出店し、実際にモノを動かすことで消費者の動向を理解するよう努めた。ドロップシップ機能を構築し、日本アクセスの三温度帯センターからピッキング・梱包し、ラストワンマイルの手配をし、購入者まで届けている。
佐々木会長は「この機能はネットとリアルが融合した事業展開を進める上で非常に重要なものだ。バラでの出荷ができるアソートメント機能をシステムに導入し、全国500以上あるセンターから日持ちのしない日配品を消費者にタイムリーに届けるという、Amazonでもなかなかできていない機能が、我々のセンターを活用することで可能となる。このビジネスをぜひ進化させ、収益化させることが次に繋がる」とした。
「情報卸事業」は2019年、トップ外交で得意先40社を訪問して提案、現在は19社にサービス展開し、他社に先駆けて取組を進めているが、収益化までは道半ばだという。
佐々木会長は「コロナを経た行動変容・価値変容をどのようにリアルに認識し、次の行動に移せるかということにこそデジタルの力が必要。我々が行う情報卸は、リテールメディアを活用し、消費者がどのように購買してくれるか、行動変容を、LINE ミニアプリを使ったサービスを通して認識し、それを小売業・メーカーと共有して次の手を打つものだ」とし、さらなる取組深耕を希望した。
「海外事業」では、日本国内が人口減少となる中、成長が見込まれる中国やASEAN 市場を見据え、将来への種まきが必要だとする。
佐々木会長は「当社の強みであるコールドチェーンのノウハウを活かした、商物一体となったビジネスモデル構築を、伊藤忠の力も借りながら、進めていければと思う」とした。
〈冷食日報2023年7月7日付〉