(本記事は、中村 圭氏の著書『コピーライターがこっそり教える メールで「失礼な人」にならない方法』=きずな出版、2022年7月22日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
送る直前の「見直し」が、文書の印象をガラリと変える
同じ内容を伝えるにも、伝え方は無数にあります。それこそコピーライターの仕事は、「企業のイメージに合う伝え方は?」「この伝え方だと誤解されて、企業イメージを傷つけないか?」などを考え続ける仕事だとも言えます。
テキスト・コミュニケーション能力のある人は、テキストで「あたたかさ」を感じさせることができます。その積み重ねで関係性が良くなり、仕事が上手く回るのです。
たとえば、相手のスケジュールのミスで、とても大変な思いをしたとします。
これを、
「Aの件、ギリギリ間に合いましたが、ありえないスケジュールだったと思います。次からは、絶対にこんなことがないようにしてください」
などと、自分の感情のままに書くと、関係性は悪くなります。
文章を送る前に、コピーライターのような視点で見直してみることが大切です。
「間に合ったのだから、そこまでキツく表現しなくても良いか」「『ありえない』以外に改善を求める表現はないか?」などと考えるわけです。
そうチェックができると、同じ内容のことでも、
「Aの件、なんとか間に合って良かったですね。次は、もうちょっと余裕を持ってつくれるスケジュールになるとうれしいです。また、いいものをつくりましょう」
というように書き換えることができます。相手の心情を考えながら文面をチェックする癖をつけることで、自分の文章表現の幅も広がっていくわけです。
この考え方はSNSではとくに大事です。
不特定多数に「どう思われるか?」のチェックができていないと、思わぬ非難を浴びたりします。投稿のボタンを押す前に、「この言い方で問題ないかな」と必ずチェックをしたほうがいいです。
メールなどの文面を見たときに、人の感情はプラスにもマイナスにも働きます。その針がどちらに振れるのかを考えて書けると、感情を動かす伝え方ができます。
送る前のちょっとした見直しで、気持ちよくコミュニケーションできるか、できないかが変わります。
あたたかく書き換える技術は、相手との関係性を書き換える技術でもあるのです。