矢野経済研究所
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国内の主要な空調衛生設備工事事業者75社の2018年度工事売上高は、前年度比10.3%増の1兆3,218億円

~資機材・労務費の高騰及び工事件数の増加により、設備工事売上高は堅調に推移~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役:水越 孝)は、国内の主要な事業者75社を対象として、空調衛生設備工事に関する法人アンケート調査を実施し、2014年度から2018年度までの空調衛生設備工事の売上高推移を明らかにした。

空調衛生設備工事事業者75社の設備工事売上高推移
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1.調査結果概要

本調査では、国内の主要な空調衛生設備工事業者75社を対象として、法人アンケート調査を実施した。2018年度の空調衛生設備工事売上高(75社の設備工事売上高合計)は、前年度比110.3%の1兆3,218億円となった。国内の空調衛生設備工事は、資機材・労務費の高騰が継続して工事費用の㎡単価が上昇していることに加え、工事件数が堅調に推移していることを要因として増加した。各企業は、収益性の高い案件を選別して受注が可能な状態が続いていることから、引き続き受注環境の良さが伺える。

近年、主要な空調衛生設備工事事業者において、受注件数に占める保守リニューアル比率の増加に向けた取り組みが進められている。これは、新築需要の減少が懸念される2020年以降を見据えた取り組みである。これまでは市場環境の好況もあって、各社とも新築設備工事に注力する傾向があったが、まだまだ続く再開発工事案件に関しては収益性の低下が見込まれるため、選別受注と保守・リニューアル工事の受注に注力することによる収益性の確保が問われている。今後、バブル時期に建てられた建築物がリニューアル時期を迎えることなど、環境や省エネ技術を駆使した更新工事に関する需要への対応が、各社とも重要になってくると考える。

2.注目トピック

人材確保+α、人材育成への注力と業務効率化に取組む

空調衛生設備業においては、職人不足が常態化している上に仕事量が急激に増加したため、職人・専門の下請工事業者などの確保という課題が、解決の糸口が見えない状態となっている。

実際に人手不足による受注の見送りや先送り等、人手不足に関するコメントがほぼ全ての企業から得られており、各社とも打開策を模索している。多くの空調衛生設備工事事業者が、自社内における施工管理者の確保及び技術者等の管理、人材の育成に注力している。また、専属の協力工事会社数を増やすために、優秀な協力会社への優遇制度の設置や社内の研修会への参加を促すなどの取り組みを行っているが、本質的な人手不足の解消には至っていないのが実情である。
新たな取り組みとしては、現場人員の業務から事務作業を切り離し、事務職員が現場事務を行う分業の実施など、現場人員の身体的負荷の軽減を図る動きもある。