矢野経済研究所
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2022年度の理美容サロン市場は、前年度比101.2%の2兆704億円

~堅調な回復を維持した美容サロン市場に対し、理容サロン市場は前年度割れでやや停滞~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の理美容サロン市場を調査し、市場規模、都道府県別や施術別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

理美容サロン市場規模推移・予測

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1.市場概況

2022年度の理美容サロン市場は、事業者売上高ベースで2兆704億円(前年度比101.2%)と推計した。2022年度は、新型コロナウイルス感染拡大による行動制限が緩和されたことで、人々の消費マインドは大きく回復しており、実際に支出する場面も増えているとみる。一方で、物品およびサービスの価格や料金が断続的に上昇し続けていることから、低所得層や激減していると言われる中間所得層などの人々の生活防衛意識は高まっている。
コロナ禍において、家庭用の調髪機器を用いたホームケアなどが優位となったことを契機に、理容サロンから足が遠のいている、美容サロンへの来店間隔が長くなっているという状況もある。また、割安なヘアカラー専門店が増加しており、総合サロンでカットもカラーも行っていた顧客が、カラーリングの施術を取りやめて総合サロンの客単価が低下している様子も伺える。そのようなことから、理美容サロン市場は未だ回復の途上にあると考える。

2.注目トピック

施術価格改定の本格化

2022年秋以降、理美容サロンの施術価格の改定が進んでいる。理美容サロンで利用される化粧品類の値上げが本格化したことに加え、光熱費の上昇なども大きな要因である。多くの物品やサービスの価格が全体的に上昇していることから、サロン利用者においても値上げを受け入れる可能性は高いものと想定する。
しかし、総合サロンとは異なる顧客をターゲットとする、料金も低め設定であるサロンでは、競合店との明確な価格差を打ち出しにくいことから、具体的な改定価格の設定や改定発表のタイミングを熟慮している状況にある。コロナ禍を経て、美容サロンへの顧客の戻りは顕著である一方、来店間隔の長期化などは続いていることも背景にある。
理美容サロン業界では、施術価格引き上げ後の顧客動向を注視する必要がある。

3.将来展望

2023年度の理美容サロン市場は、事業者売上高ベースで2兆900億円(前年度比100.9%)と予測する。その内訳は、理容サロン市場が5,902億円(同100.0%)、美容サロン市場は1兆4,998億円(同101.3%)である。
2023年度は、5月に新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に移行し、日常生活や消費行動について、平常時に近いマインドとなっている様子が伺える。また、理美容サロンにおける施術料金の改定は、2023年秋頃までには多くのサロンが料金改定を完了する流れとなっている。こうした施術料金の上昇が、理美容サロン市場拡大の要因の一つとして寄与すると考える。但し、美容サロン市場に比べて理容サロン市場の伸びが小さく、理容サロン市場は2022年度並みあるいは微増に留まる見通しである。

調査要綱


1.調査期間: 2023年3月〜5月
2.調査対象: 理美容チェーン、シェアサロン運営企業、理美容商社・卸、理美容化粧品・機器メーカー等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含)、電話・e-mailによるヒアリング、郵送アンケート調査、ならびに文献調査併用
<理美容サロン市場とは>
本調査における理美容サロン市場とは、国内における理容所(理容室)と美容所(美容室)で提供する施術(理髪・パーマネント、カット、セット・カラー等その他サービス)及び店頭・ECサイトにおける物販サービスの市場をさす。
また、訪問理美容サービス等の出張、無店舗型サービスも含むが、「美容所」登録に該当する「アイラッシュサロン」は含まない。
<市場に含まれる商品・サービス>
理容美容の各施術(理髪・パーマネント、カット、セット・カラー等その他サービス)及び店頭・無店舗での物品販売

出典資料について

資料名2023年版 理美容サロンマーケティング総鑑
発刊日2023年06月09日
体裁A4 419ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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