ひろゆきが分析 ネットで広がる詐欺とステマ
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(本記事は、ひろゆき氏の著書『ざんねんなインターネット 日本をダメにした「ネット炎上」10年史』=扶桑社、2023年3月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

【現在のひろゆきが振り返る2011年】
問われる消費者のリテラシー。斬新なサービスが次々に炎上騒ぎ

2011年は年始から炎上騒ぎが発生。共同購入サービス「グルーポン」で販売されていたおせちの内容があまりに酷く、その製造過程も話題になって大炎上しました。

騒動によってグルーポン自体が問題視されたのですが、実際には「グルーポンが悪い」というよりも、「おせちを出しているお店が悪い」というケースです。

それなのに悪印象が大きかったのか、日本ではグルーポンをはじめとする共同購入サービスは徐々に下火になり、2020年にグルーポンは日本での活動を終了。現在も共同購入サービスで残っているのは、目立つところだとGMOが運営する「くまポン」くらいです。

ただ、共同購入自体はシステムとして別に悪いものではありません。

グルーポンはもともと海外の会社でアメリカでは上場しているし、今も世界中で展開されているサービスです。僕もフランスのグルーポンで映画のチケットを安く買った記憶があります。

問題は、グルーポンの仕組みを利用して「豪華なおせちの写真でしょぼいものを送る」という詐欺的行為をした加盟店です。グルーポンに問題があるわけではありません。

いつの時代もですが、新しいサービスが出てくると、それを利用して悪いことをしようとする狡猾な人が出てきます。だから本来なら悪意を抱く加盟店には使えないようにし、期待と実物とのズレが生じないタイプの商品に特化すべきだと思います。

例えば、映画のチケットなどは詐欺のしようがない商品です。そういう措置が行われず、便利なサービスが日本からなくなってしまうのはもったいないと言わざるを得ません。

ステマが横行するのは法律上、仕方がない?

ペニーオークションに疑惑の目が向けられたのもこの年です。さらに2012年に入ると実際に詐欺事件に発展しました。

そもそもペニーオークションとは、入札するごとに入札者が手数料を支払うという仕組みですが、出品者側が価格を高額につり上げ、「最終的に買わせない状態」にして入札時の手数料だけ取るという詐欺が起こりました。さらに出品者側が芸能人に「こんなに安くブランド品が買えた!」などとステルスマーケティングをさせていたのですね。

ネットオークションでの価格のつり上げ自体は、いまだに「ヤフオク!」などでも行われています。しかし、ペニオクの場合は「芸能人がたまたまやったら儲けました」みたいなステマが絡んでいたので、よけい火に油を注いだのですね。

その結果、この頃から「ステマは悪だ」という風潮が定着しました。

とはいえ、ペニーオークションはなくなったものの、インスタグラムを筆頭としたSNSを使って芸能人やモデルを利用したステマが横行している事実は今も変わりません。テレビ番組に出演している芸能人に洋服を貸すのだって、厳密に言えばステマです。

このようにステマが横行するのは、法律上では問題がないからです。宣伝の場合はその旨を「PRマーク」などで表示するパターンが多くなってきていますが、これは法的な縛りからではなく広告代理店業界が自主的に作成した規約です。

法律上での問題がない以上、ステマは今後も生き残り続けるでしょう。消費者としては「世の中はそこらじゅうステマだらけ」と認識することが、唯一の騙されない方法です。

ざんねんなインターネット 日本をダメにした「ネット炎上」10年史
ひろゆき(西村博之)
1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。1999年に開設した「2ちゃんねる」、2005年に就任した「ニコニコ動画」の元管理人。現在は英語圏最大の掲示板サイト「4chan」の管理人を務め、フランスに在住。たまに日本にいる。週刊SPA!では10年以上にわたり連載を担当。「ネット炎上観察記」(2008~2019年)「僕が親ならこうするね」(2019~2022年)を経て、現在は「人に『99%』イエスと言わせる ひろゆき構文」を連載中

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