(本記事は、ひろゆき氏の著書『ざんねんなインターネット 日本をダメにした「ネット炎上」10年史』=扶桑社、2023年3月29日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
【現在のひろゆきが振り返る2017年】
本当の原因は販売元にある?転売ヤーが嫌われるワケ
ミクシィの子会社であるフンザが運営していたチケット売買サービス「チケットキャンプ」に商標法違反および不正競争防止法違反の容疑がかかり、同社が捜査されて大炎上したのが2017年です。転売ヤーと呼ばれる人たちがチケットを買い占めて高額転売していたので、ネット上では「ざまぁ」という声が溢れまくり、話題にもなりました。
その翌年にチケットキャンプは閉鎖されましたが、恐らく上場企業であるミクシィ的には、ユーザーが離れてしまったとかではなく、捜査のメスが入って面倒くさいのでつぶしてしまったような気がします。
というのも、転売サービスの需要は残っているので、商売という意味では続けても勝算は高かったからです。実際にチケットキャンプがなくなった後もメルカリやヤフオクなど、様々な場所で転売は生き残り続けています。
転売行為を止めたいなら最初から高く売ればいい
そもそも、僕は転売問題の解決は不可能だと思っています。つい最近もメルカリでの高額転売が話題になりましたし、転売ヤーによるプラモデルやゲーム機の買い占めによって、実店舗や公式サイトでの入手が難しくなり価格が高騰しています。
僕は、この問題の本質的な原因は転売ヤーではなく販売元にあるのではないかと考えています。なぜかといえば、販売元が最初から高く売ったり、サブスクリプションサービスのようなシステムを導入したりすれば転売ヤーはいなくなるからです。
安価でいい品は需要がありますが、ネット上で価格が高騰しているということは、さらに高い価格でも買う人がいるということ。つまり、販売元が設定した価格が安すぎるわけです。
もし販売元が「1年以上サブスクリプションサービスに登録している人にしか売りません」というルールを定めれば、登録会員しか買えません。
これはあくまで一例ですが、そういう抱え込み対策というのは、考えればいくらでもあります。それでも中国人バイヤーなどが転売目的で買うのであれば、どんどん価格を高くしていけばいいだけの話です。
本当に転売をなくしたいならそれを実施すべきなのに、実行に移さないのは販売元の問題。世間では高額転売は絶対悪のように言われていますが、販売元が「需要があるものは高く売る」という当然のビジネスをしないほうが問題です。
だから、本当に欲しいと考えている人たちが製品を手に入れられないのは、転売ヤーのせいではなく、販売元が悪いと僕は感じているのです。