(本記事は、堀江 貴文氏の著書『死なないように稼ぐ。: 生き残るビジネスと人材』=ポプラ社、2021年3月24日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
「金融リテラシー」をすぐに学び直そう
実は江戸時代までは、日本人の「金融リテラシー」の高さは世界でも有数だった。
だからこそ、複雑な計算が必要な年貢システムにも対応できたし、いち早く貨幣経済にも移行できた。
江戸時代には和算学者や和算家と呼ばれる人がいた。村を回って各地の寺子屋で「幾何学」と「数列」を中心に教えていたのだ。でも、明治時代の後半から「工業化」が進んだことで、農民たちはいわゆる「サラリーマン」になっていった。
お金を借りる農民や商人が減ると「複利計算」はだんだんいらなくなる。
それに合わせて教育の内容も変化し、工業や化学などを重視した教え方に変わっていったのだ。
教育内容が変わったことで、みんなそれしか学ばなくなっていった。
現在に目を向けると、日本人は先進国のなかでも「金融リテラシー」が低い。
「投資」と「投機」、「直接金融」と「間接金融」の違いを理解している人も少ないのではないだろうか。
それも当然といえば当然だ。義務教育で「お金の本質」についてまったく教えていないのだから。
学校や大人が子どもに植えつけてきたのは「お金儲けのために働くのはよくない」「コツコツ貯金することが大切」といった歪んだ考えである。
もちろん「拝金主義」になれというつもりはないが、偏向した教育で育てられた日本人が高い金融リテラシーを身につけるのは難しいだろう。
でも、できることはある。今から「学んだり」「学ばせたり」すればいいのだ。
だいぶ前のことだが、ある日、高級住宅街でエレベーターに乗ったら、外国人の子どもが3人乗ってきて英語で話しかけてきた。インターナショナルスクールで催される「花見祭り」のチケットを売っていたのだ。
興味はなかったが、あまりにも熱心に営業してくるので、250円のチケットをそれぞれの子から1枚ずつ、計3枚買ってしまった。
お小遣い稼ぎなのかどうかはわからないが、似たようなエピソードを友人から聞いたこともある。
外国人は日本にいても、子どもに「稼ぐこと」を実体験で学ばせているのだ。雇われることを前提にした日本の教育とは大違いといえるだろう。
僕は投資先のことを知るために、今でも知らない分野は徹底的に調べて「学ぶ」。
しかも「ゼロ高等学院」も立ちあげているので、「学ぶ」ことに関する質問を受けることも多い。そのなかでも多いのが「数学を勉強する意味はあるんですか?」といった質問だ。もちろん、大いに意味がある。
金融や科学技術は「数学」をベースに発展してきたので、その基本を知っていると「世の中の見え方」が変わり、解像度があがる。
曇りガラス越しに見ていた景色が、一気に開けてクリアになるイメージだ。
いろいろなことを学ぶほど、あるタイミングで知識がつながって、「物事の本質」がわかるようになってくる。
苦手な分野ほど知識が欠落しているので、疎かった人ほど「金融」や「数学」を学び直してみてほしい。