1店舗で月売上1億円? ホリエモンが称賛する「一蘭」の独自スタイル
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(本記事は、堀江 貴文氏の著書『死なないように稼ぐ。: 生き残るビジネスと人材』=ポプラ社、2021年3月24日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

『一蘭』は味の他にもさまざまな工夫があってすばらしい。

相場より少し値段は高いものの、ラーメン自体もおいしいと思う。

でも、もっともすごいのは「接客リスク」がないところだ。意識するようになってから、「接客リスク」のない飲食店を探してみたが、ほとんどなかった。

それほど『一蘭』はすごいということだ。

まず、『一蘭』はお客さんから見えない内側でラーメンを作っている。アルバイトのスタッフが「笑顔」なのか「しかめっ面」なのかが見えない。つまり、「あの店員、感じ悪いな」と思われるリスクがほとんどない。

「いらっしゃいませ」は機械が率先していってくれる。ここでも、「スタッフが挨拶してくれなかった」「感じが悪い」といったクレームとは無縁ということだ。

ひとりひとりがブースで区切られていてお客さんが長居することはなく、それにまつわるトラブルもないだろう。

お客として初めて『一蘭』に入ったときは、オーダーシートを書く意味が正直わからなかった。でも、そうすることでオーダーミスがなくなると気づいた。

少し話は変わるが、『一蘭』では「セントラルキッチン」も導入している。

セントラルキッチンとは、複数の店舗の調理を集約する施設やシステムのことだ。規模のメリットでコストを下げることができ、味や品質のムラを防ぐことができるのがメリットだ。

ただし、とんこつラーメン屋の場合はデメリットも大きい。店舗で作っているからこそ、その様子や匂いがおいしそうに感じられて集客につながるのだ。

その集客効果がなくなってしまっているのに『一蘭』は人気なのだから、それ以上の魅力を提供できているということだ。

細かいところまで常識を疑い、必要のないものを削って効率を高めているので、収益性はかなり高くなっているはずだ。

10年くらい前に『一蘭』のアトレ上野店ができたときには1日で4000食分くらい売りあげたそうだ。客単価も1000円くらいと高め。単純計算で1月に1億円以上の売上だ。1店舗で立派な会社規模の売上だ。

徹底して考えられているので、『一蘭』の代表取締役社長である吉冨学さんは日本のレイ・クロックだと思っている。

レイ・クロックはマクドナルドの創業者。フランチャイズ展開することで世界最大のファストフード店に育てた立役者だ。

マクドナルドは、1940年代に生まれた「オートメーション」を取り入れたのが画期的だった。自動車を生産するために「フォード」の工場で行われていたオートメーションを、ハンバーガーショップに応用したのだ。

スマホが普及し、キャッシュレス決済も広まってきた今なら、飲食のいろんな業態でオートメーションは応用できる。

スマホでオーダーできてセルフで提供すれば、ホールにスタッフはいらなくなる。皿洗いと清掃が外注できれば、ワンオペで店舗を回すこともできるだろう。

常識を疑い、オートメーションなどの工夫を取り入れれば、ラーメンやハンバーガーでなくてもライバルを出し抜くことは可能だ。

死なないように稼ぐ。: 生き残るビジネスと人材
堀江 貴文
1972年福岡県生まれ。91年東京大学入学、のち中退。96年、有限会社オン・ザ・エッヂ設立。02年、旧ライブドアから営業権を取得。04年、社名を株式会社ライブドアに変更し、代表取締役CEOとなる。06年1月、証券取引法違反で逮捕。11年4月懲役2年6ヶ月の実刑判決が確定。13年3月に仮出所。著書に『拝金』ほか多数。

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